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不利益な変更は原則としてできない

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労働契約法の規定

労働契約法第10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

e-Gov法令検索 2020/08/23

労働契約法第10条に次のようにあります。

つまり、

1.労働者の受ける不利益の程度
2.労働条件の変更の必要性
3.変更後の就業規則の内容の相当性
4.労働組合等との交渉の状況
5.その他の就業規則の変更に係る事情

を考慮して、個々のケースごとに(裁判所が)判断するということです。

程度とか、相当性という言葉について、その具体的な水準は示されていませんが、相当に高度な程度を求められると理解してください。

例えば、「変更の必要性」については、単に業績不振というだけでは十分でなく、精一杯の努力(役員報酬の減額、賞与の減額、人件費以外の経費削減など)をしたが、業績を改善させることができず、最後の手段として給料に手をつけざるを得ない状況だという納得性のある説明が必要です。

上述の条件を満たしていないまま就業規則の変更を行うと、変更内容は無効とされることになります。

諸条件をクリアし、就業規則を労働基準監督署に届け出し、従業員へ周知したときは、これに同意しない労働者に対しても変更後の就業規則を適用できます。

第四銀行事件 最高裁第二小法廷9.2.28
当該規則条項が合理的なものであるとは、当該就業規則の作成又は変更が、その必要性及び内容の両面からみて、それによって労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認できるだけの合理性を有するものであることをいうと解される。
特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものというべきである。
上記の合理性の有無は、具体的には、次の事情等を総合考慮して判断すべきである。
・労働者が被る不利益の程度
・使用者側の変更の必要性の内容・程度
・変更後の就業規則の内容自体の相当性
・代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
・労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応
・同種事項に関する我が国社会における一般的状況等

以上のような例はありますが、実際に裁判になったとき、個別の事情が考慮されるのでどういう判決になるかはわかりません。

結論としては、就業規則の不利益変更は、できないことではありませんが難しいということです。やる場合は、上記に述べた条件を頭に、慎重に進める必要があります。