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雇用延長の選択肢

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雇用延長の義務

高齢者雇用安定法により、企業に対して60歳を超えても雇用を延長することを義務付けました。

企業は、

1.定年の65歳への引上げ
2.定年後再雇用制度の導入
3.定年の定めの廃止

という3つの選択肢から雇用延長の方法を選択できます。

(高年齢者雇用確保措置)
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高齢者雇用安定法)第9条 定年(65歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止

e-Gov法令検索 2020/08/27

再雇用制度が多く選択されている

大多数の企業は、定年後再雇用制度を採用しています。

「どの選択肢を選ぶかは労働者は選べないですよね」

「そうです。これは、就業規則によって、それぞれの会社が決めることです」

「定年制度が無くなるのが一番良いような気がしますが?」

「定年の廃止は、雇用における年齢による差別を廃止するという意味では画期的ですが、日本の賃金体系は年功序列になっているので、定年間際の人はそれなりに高給になっています。そのまま定年を延長すると、会社は高い賃金の人を継続して雇用しなければならなくなります。」

「それに、高齢になるということは、いろいろな能力が衰えてくるのも仕方ありません。ところが、日本では仕事の能力が衰えてきても簡単に辞めさせることができません。この二つを心配して、定年の廃止に踏み切る会社はめったにないのが現実です」

「定年の引き上げはどうですか?」

「確かに定年無しよりは企業の負担が少ないですが、それでも、多くの企業は踏み切れないでいます」

「それで再雇用が圧倒的なのですね」

「はい、継続雇用の場合は、60歳の定年でいったん退職させて、あらためて短期の雇用契約を結ぶので、過去の賃金、役職、待遇などは一度、ご破算になり、賃金や労働時間も含めて、待遇を新たに決めることができるわけです。」

「会社にとっては財政的な負担を軽減させることができ、また短期の雇用契約なので、健康状態が悪くなるなどの変化が見られた場合の対応が可能だと考えられているのです」

「それに、子会社や関連会社などを使うことも認められているので、企業にとっては選択肢が広がります」

「なるほど、会社にとっては採用しやすい制度なのですね」

「そうです、反面、従業員にとっては厳しい面があります。会社にとってのメリットと裏返しですが、賃金を大きく下げられるので生活に影響がでます。そして、期間契約労働者になるので雇用が不安定になるのはいなめません」

「加えて、これまで持っていた管理職としての権限も失うことが多いので、やる気を失う人がでるのが問題です。会社としては給料が下がっても、これまでつちかった知識や経験を会社のためにフルに活用してほしいと望むのですが、かみ合わない悩みがあるようです」

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退職証明書について

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退職証明書とは

退職した従業員から退職証明書がほしいと言ってきました。ハローワークに提出する離職証明書などは交付しましたが、別途に退職証明書を出す必要があるのでしょうか?

従業員から退職の証明を求められたときは、遅滞なく証明書を交付する義務があります。労働基準法にその定めがあります。

(退職時等の証明)
労働基準法第22条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
3 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
4 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。

e-Gov法令検索 2020/08/17

退職証明書

第1項がいわゆる「退職証明書」についての規定です。解雇理由証明書と違って請求時期の制限はありません。退職後でも請求に応じなければなりません。

退職証明書に記載するべき事項は次の通りです。

□ 使用期間
□ 業務の種類
□ その事業における地位
□ 賃金
□ 退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)

退職証明書の用途としては次のような場合があります。

□ 複数の企業に所属していないことを証明するために次に就職する会社に提出する
□ 国民年金や国民健康保険に加入するため、社会保険の被保険者資格がないことを証明するために市区町村の窓口に提出する
□ その他退職の事実を証明するために利用する

退職時には必要かどうか分からないことが多く、必要がなければ破棄してもらえばよいので、労働者からの請求がなくても念のために全ての退職者に交付するのが一般的です。

退職証明書には、労働者からの請求があれば解雇の事由を記載しなければななりません。解雇の理由を記載した「退職証明書」は、内容的には解雇理由証明書と変わりないので、解雇理由証明書の代わりに請求されることがあります。

解雇理由の記載を求められたときは、解雇理由証明書と同様の注意を払って作成しなけれなりません。

解雇理由証明書

第2項が、いわゆる「解雇理由証明書」についての規定です。

解雇理由証明書について

請求されない事項について

第3項は、記載事項についての補足です。「退職証明書」「解雇理由証明書」共に、労働者が書かないでほしいと求めたことを書いてはいけません。

秘密の記号について

第4項は、「秘密の記号」を書いてはならないという規定です。労働者に不利益になることを、交付文書にこっそり潜りこませてはならない、という意味です。

退職証明書の書き方

第22条第1項に指定された事項を記載していれば任意の様式で交付することができます。ただし、労働者が請求しない事項を記入してはいけません。

退職証明書の様式

退職証明書

令和 年 月 日

〇〇株式会社
代表取締役〇〇〇〇

       殿

貴殿は当社を令和 年 月 日に退職したことを証明します。

1 あなたの勤務期間
2 あなたが従事した業務
3 社内における地位
4 賃金
5 退職の事由(該当する欄にチェックを付します)
  □ 自己都合による退職
  □ 当社の勧奨による退職
  □ 定年による退職
  □ 契約期間の満了による退職
  □ 移籍による退職
  □ その他(具体的には )による退職
  □ 解雇(別紙の理由による。)

記載を希望されない事項については、未記入とします。

(第2ページ)

解雇の理由

1 天災その他やむを得ない理由(具体的には、           によって当社の事業の継続が不可能となったこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

2 事業縮小等当社の都合(具体的には、当社が、           となったこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

3 職務命令に対する重大な違反行為(具体的には、あなたが           したこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

4 業務については不正な行為(具体的には、あなたが           したこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

5 勤務態度又は勤務成績が不良であること(具体的には、あなたが           したこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

6 その他(具体的には、           )により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

――――――

解雇の理由については、該当しない項目を削除して適宜番号を変更して作成します。解雇された労働者が解雇の理由を請求しない場合には、解雇の理由を記載した第2ページは交付しません。

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離職証明書と離職票

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離職証明書または離職票とは

従業員が退職したときは、会社は、退職した従業員についての「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を従業員の離職日の翌日から10日以内に、ハローワークに提出しなければなりません。
退職時の雇用保険の手続き

雇用保険被保険者離職証明書(以下「離職証明書」といいます)は、3枚複写になっており、下2枚が「雇用保険被保険者離職票―1と―2」(以下「離職票」といいます)になっています。

離職証明書は複写式の専用用紙で提出しなければなりません。この用紙は、ネットからダウンロードして入手することはできません。ハローワークに取りに行く必要があります。

業務ソフトからプリントする独自書式は、事前にハローワークで「印刷物による届出の承認申請」をして承認を得れば提出可能になります。電子申請による場合は、専用用紙も承認も必要ありません。

提出を受けたハローワークは、書類を点検し、離職票に検印を押して返却します。

ハローワークで受け取った離職票は、会社から元従業員に交付しなければなりません。離職票が発行された段階ではすでに退職しているので、一般的には郵送で交付します。

元従業員は受け取った離職票をハローワークに提出します。離職票の記載内容をもとに失業等給付の支給額等が決まります。

離職票の用途

離職票は、退職した従業員がハローワークで失業給付を受給する手続きをする際に必要です。

必要な被保険者期間を満たさず、失業等給付の受給対象とならない場合などの理由で、従業員が離職票の交付を希望しない場合は、「雇用保険被保険者離職証明書」の作成は必要ありません。

退職後に間を空けずに次の就職する会社が決まっているときも、交付の希望がないのが一般的です。

記入の要点

賃金の支払い状況

離職証明書の左半分には、1年間の賃金の支払い状況を記載します。賞与や退職金はこの場合はは賃金には含まれません。

離職翌日の応当日
8月30日の退職など、離職日の翌日に応当する日が各月にない場合はその月の末日を記載します。

欠勤控除による賃金減額
欠勤による減額があった月については、賃金支払基礎日数を減らして記載することになり、備考欄に「〇日間欠勤」と記載します。

継続して30日以上賃金支払がなかった
疾病により継続して30日以上賃金の支払いがなかった場合は、備考欄に、賃金支払がなかった期間及びその日数、ならびに原因となった疾病名を記載します。

休業手当を支払った
休業手当が支払われた場合、該当する期間の行の備考欄に休業日数と休業手当の額を記載します。また、事業主が休業について雇用調整助成金の支給を受けている場合は、備考欄の余白部分に「雇調金」と記載し、助成金支給決定年月日を記載します。

賃金支払基礎日数

賃金支払基礎日数とは、基本給が支給された日数のことです。有給休暇も対象です。

賃金支払基礎日数は月給制か日給制かなど、給与形態によって変化します。

月給制(完全月給制)の場合

月額賃金が固定されているので暦の日数を書きます。たとえば4月なら30日、2月で閏年なら29日というふうに記入していきます。

日給月給制の場合

日給月給制の場合、離職票の賃金支払基礎日数の書き方は2通りになります。

欠勤を控除する部分は共通ですが、休日のような勤務が不要な日を基本給の指定対象とするかしないかで扱いがわかれます。

対象とする場合の欠勤控除の計算方法は「基本給÷所定労働日数×欠勤日数」で、対象としない場合は「基本給÷歴日数×欠勤日数」となります。

被保険者期間

失業等給付の支給を受けるためには、離職をした日以前の2年間に、「被保険者期間」が通算して12か月以上(特定受給資格者または特定理由離職者は、離職の日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上)あることが必要です。

この「被保険者期間」は、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月を1か月と計算します。

離職日が令和2年8月1日以降の方については、被保険者期間の計算が次のようになります。

離職日から1か月ごとに区切っていた期間に、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月、または、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1か月として計算する。

受給資格の有無は重要です。慎重にチェックしましょう。

離職の理由

離職証明書の右側の欄に、離職理由を記入する部分があります。離職理由が自己都合によるものなのか、倒産など会社の都合によるものかなどによって、基本手当の給付日数が変わります。事実を記入しましょう。

離職証明書に記載した離職理由について、事業主と離職者で主張が異なる場合は、ハローワークが事実関係を調査して、離職理由を判定します。

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雇用保険の特定理由離職者

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特定理由離職者とは

特定理由離職者とは、正当な理由のある自己都合退職をした人です。

有期の雇用契約を希望したのにも関わらず更新されなかった人や、心身状態が悪くなった、急な家庭環境の変化などの理由でやむを得ず離職した人が該当します。

特定理由離職者の範囲

1.有期雇用労働者の雇止め

期間の定めのある労働契約の期間が満了し、その者が当該更新を希望したにもかかわらず、更新についての合意が成立せず、そのことにより離職した者は特定理由離職者になります。

この理由により特定理由離職者に該当すると、基本手当の3ヶ月間の給付制限がない他に、給付日数の優遇措置があります。

ただし以下の2点に該当する場合は特定受給資格者になります。

特定受給資格者

□ 有期契約で3年以上雇用されている場合で契約更新されずに退職した
□ 有期契約で「契約更新あり」にも関わらず契約更新されなかった

また倒産等の理由で雇用契約が更新されなかった場合は特定受給資格者になります。

したがって、特定理由離職者に該当するのは、労働契約において、契約更新条項が「契約の更新をする場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではないような場合です。

2.正当な理由のある自己都合により離職した者

この理由により特定理由離職者に該当すると、基本手当の3ヶ月間の給付制限がありません。

(1)体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者

(2)妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者

(3)父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者

(4)配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者

(5)次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者

(a)結婚に伴う住所の変更

(b)育児に伴う保育所等の利用又は親族等への保育の依頼

(c)事業所の通勤困難な地への移転

(d)自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと

(e)鉄道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等

(f)事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避

(g)配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避

(6)その他、特定受給資格者に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

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定年後再雇用の手続き

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定年退職する従業員を再雇用する手続き

雇用契約書の取り交わし

新たに雇用する形になるので、賃金や労働時間が変わればもちろん、変わらなかったとしても、新たに、会社から労働条件を通知し、雇用契約書を取り交わす必要があります。
採用時の労働条件の通知

労働者名簿に、変更事項の追記として、定年退職と再雇用を記載します。再雇用の際に新たに労働者名簿を調整してもかまいません。

社会保険の同時得喪の手続き

定年後継続雇用の適用をうけ、それにより賃金が低下した場合には、被保険者資格喪失届および被保険者資格取得届を同時に、定年退職日の翌日付けで提出します。「同時得喪」という手続きです。

賃金が低下した場合、原則的な処理では、差し引かれる社会保険料はすぐには変わりません。通常の手続きでは4ヶ月目から社会保険料が変更になります。この手続きによって、社会保険の月額変更に該当することを待たずに、標準報酬月額を引き下げることができ、社会保険料負担を軽減することができます。
社会保険の手続き(採用時) →社会保険の手続き(退職時)

その後、契約更新に伴いさらに賃金が下った場合も、何度でも同日得喪によって即時改定が可能です。随時改定のような2等級以上の変動という要件もありません。

資格取得時の標準報酬月額は、再雇用時の月の給与額を「保険料額表」に当てはめて記載します。

手続きの際は、定年退職したことが証明できる就業規則等の添付が必要です。

健康保険被保険者証は扶養者分も含めて、返却してもらいます。

あらためて資格取得の手続きが完了したら、新しい健康保険被保険者証が発行されるので従業員に渡します。必要に応じて「健康保険被保険者資格証明書」の交付手続きを行います。

健康保険被保険者資格証明書とは、健康保険被保険者証の発行までの間、保険証の代わりに利用できる証明書です。

被扶養者がいる場合は、被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者資格取得等届を提出します。本人の印鑑、および扶養家族の状況によっては添付書類が必要になります。

再雇用後の1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が、他の一般従業員の4分の3未満になると社会保険の加入条件から外れるため、資格取得ができません。

雇用保険の手続き

雇用保険については、特に手続きは必要ありません。

ただし、労働条件の変更によって、所定労働時間が週20時間未満になる場合は、雇用保険の加入条件から外れるため、資格喪失届が必要になります。