高年齢被保険者と高年齢求職者給付金

Last Updated on 2025年7月5日 by

高年齢被保険者とは

65歳以上の雇用保険加入者を「高年齢被保険者」といいます。高年齢被保険者の年齢制限はありません。

高年齢被保険者の加入資格は、一般の労働者の加入資格と同じです。

□ 1週間の所定労働時間20時間以上
□ 31日以上の雇用見込みがあること

事業主は、上記の要件を満たす労働者を雇用したときは、年齢にかかわらず、雇い入れ日の翌月10日までにハローワークへ資格取得届を提出しなければなりません。

継続して勤務している雇用保険加入者が65歳に達した以降も雇用を続けた場合は、自動的に高年齢被保険者に切り替わるため、新たな手続きは必要ありません。

被保険者資格の特例

複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができます。

□複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
□2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
□2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

高年齢求職者給付金

高年齢被保険者は、一般被保険者と、給付の扱いで違いがあります。特に多きな違いは、失業したときに基本手当が支給されず、高年齢求職者給付金が支給されることです。

6ヶ月以上雇用保険に加入している高年齢被保険者は、失業したときに高年齢求職給付金を受給することができます。高年齢求職給付金は一般の雇用保険加入者が受け取る基本手当に代わる失業給付です。

基本手当と違って、高年齢求職給付金は一時金です。基本手当日額の50日分または30日分が支給されます。老齢年金と併給できます。

その他の給付金

高年齢被保険者は条件を満たせば、「育児休業給付金」、「介護休業給付金」、「教育訓練給付金」も受給することができます。

担当者の説明

登場人物

Aさん(65歳になる退職予定の従業員)
Bさん(人事担当者)

Bさん:
「Aさん、退職後の失業給付についてのご質問ですね。Aさんは65歳になっているので高年齢求職者給付金の対象になります。」

Aさん:
「はい。65歳を過ぎると普通の失業手当は受けられないと聞いて、気になっているのですが……」

Bさん:
「受け取れないということはありません。65歳になるまでの人が失業したときは、雇用保険の『基本手当』の対象になりますが、65歳からは『高年齢求職者給付金』の対象になるということです。ここからは『高年齢求職者給付金』について説明させていただきますが、まず、この給付金は一時金で受給できることが特徴です。」

Aさん:
「一時金ってどういうものですか?」

Bさん:
「月に一回というような形で支給されるのではなく、一括で支給されるものです。Aさんの場合、雇用保険の加入期間が1年以上ありますから、50日分の基本手当日額をまとめて受け取ることになります。」

Aさん:
「なるほど、まとめてもらえるんですね。毎月もらう形じゃないんですか?」

Bさん:
「はい。65歳未満の失業手当は28日ごとの支給ですが、高年齢求職者給付金は一度に支給されます。
さらに、支給回数に上限がないので、今後また再就職して離職された場合も、条件を満たせば何度でも申請できます。」

Aさん:
「年金をもらっていると減らされるんでしょうか?」

Bさん:
「そこは安心してください。高年齢求職者給付金は年金と併給可能なので、年金を受け取りながらも受給できます。」

Aさん:
「申請手続きはどうすればいいんでしょうか?」

Bさん:
「退職後にハローワークで、離職票を提出して求職の申し込みをしてください。
その後、失業認定を受けて、7日間の待機期間が終わったら支給されます。
なお、受給の申請は退職日の翌日から1年以内に済ませないと無効になるので気をつけてくださいね。」

Aさん:
「ありがとうございます。再就職したい気持ちもありますし、手続きしてみます。」


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