雇用保険の日雇労働被保険者

労働保険

日雇労働被保険者とは

雇用保険における日雇労働被保険者となるための要件は、大きく分けて「日雇労働者であること」と「適用地域・事業に該当すること」の二つがあります。

「日雇労働者」の定義に該当すること

以下のいずれかに該当する労働者を「日雇労働者」といいます。

  1. 日々雇用される者
  2. 30日以内の期間を定めて雇用される者

ただし、上記の条件を満たしていても、以下のいずれかに該当する場合は、一般の被保険者などに切り替わるため、日雇労働者とはなりません(日雇労働被保険者資格の継続認可を受けた者を除く)。

  • 前2か月の各月において18日以上、同一の事業主の適用事業に雇用された者
  • 継続して31日以上、同一の事業主の適用事業に雇用された者

適用区域・事業に該当すること

「日雇労働者」の定義に該当する者が、以下のいずれかの条件を満たした場合に、日雇労働被保険者となります。

  1. 適用区域内に居住し、適用事業に雇用される者
  2. 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
  3. 上記以外で、公共職業安定所長(ハローワーク所長)の認可を受けた者(任意加入)

要件に該当する日雇労働者は、その要件に該当するに至った日から5日以内に居住地を管轄する公共職業安定所長に届出をしなければなりません。

この届出によって公共職業安定所長から日雇労働の実態があるなど日雇労働被保険者であると確認された場合には、日雇労働被保険者手帳が交付されます。

【重要】一般の雇用保険の適用除外との関係

一般の雇用保険では、原則として「1週間の所定労働時間が20時間未満」の労働者は適用除外となりますが、日雇労働被保険者については、所定労働時間に関係なく雇用保険が適用されます。

日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙を貼付

日雇労働被保険者の保険料は、一般の被保険者のように給与から天引きして翌月にまとめて納付するのではなく、日々の雇用に応じて納付する仕組みになっています。

  • 納付方法: 事業主(会社)は、雇用保険印紙をあらかじめ購入し、日雇労働者が持っている日雇労働被保険者手帳に、就労した日数分の印紙を貼付し、消印することによって保険料を納付します。
  • 納付計器: 印紙の代わりに、専用の機械である「印紙保険料納付計器」を使用して納付を記録する方法も認められています。

日雇労働被保険者を雇用する事業主は、印紙の購入・受払状況や、納付計器の使用状況を毎月ハローワークへ報告する義務があります。

日雇労働求職者給付金

失業した日雇労働被保険者は、失業の日の属する月の前2ヶ月において通算して26日分以上の印紙保険料が納付されている場合に、公共職業安定所において失業認定を行った上で、日雇労働求職者給付金が支給されます。

一般の被保険者に切り替わるとき

一般被保険者への切り替わり条件

日雇労働被保険者が、同一事業主のもとで一定期間以上継続して雇用されるようになると、雇用保険の一般の被保険者に切り替わります。

切り替わるための主な条件と、会社が必要な手続きは以下の通りです。

主要な切替基準:

以下のいずれかに該当した場合、その翌月の初日から一般被保険者となります。

  1. 2か月連続で18日以上の雇用
    • 継続する2か月の各月において、同一事業主の適用事業に18日以上雇用された場合。
  2. 31日以上の継続雇用
    • 同一事業主の適用事業に継続して31日以上雇用された場合(31日以上雇用されることが見込まれる場合を含む)。

留意点:

  • 上記の条件を満たしても、その労働者が週の所定労働時間が20時間未満であるなど、一般の被保険者の適用除外の要件に該当する場合は、一般被保険者にはなれません。
  • ただし、本来は日雇いで生計を立てており、一時的に継続雇用となった場合などで、労働者が日雇労働被保険者資格の継続を希望し、かつ都道府県労働局長の認可を受けた場合は、日雇労働被保険者のままでいることも可能です。

会社がする手続き

労働者が上記の条件を満たして一般被保険者に切り替わった場合、会社は以下の手続きをハローワークで行う必要があります。

(1) 資格取得手続き(新規の一般被保険者として)

  • 提出書類: 雇用保険被保険者資格取得届
  • 提出期限: 一般被保険者となる事実があった日(上記の切替基準に該当した日)から10日以内
  • 添付書類:
    • 当該労働者の日雇労働被保険者手帳(資格喪失手続きを兼ねる)
    • その他、雇用契約書など継続雇用となった事実が確認できる書類を求められる場合があります。

(2) 雇用保険印紙の納付停止

  • 一般被保険者に切り替わった日以降は、日雇労働被保険者手帳への雇用保険印紙の貼付は行いません。
  • 切替基準に該当した月までの印紙保険料について、漏れなく納付されているか確認し、印紙保険料納付状況報告書などでハローワークへ報告します。

この手続きによって、日雇労働者として納付していた「印紙保険料」から、一般被保険者として給与から控除し、毎年一括で納付する「一般保険料」へと保険料の徴収方法が変わることになります。