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その他の規程

職務権限規程のサンプル(2)

Last Updated on 2025年8月5日 by

50人規模の企業を想定した、実務的な形式の「職務権限規程」の例を示します。あくまで一例ですが、実際の社内規程や運用ルールのたたき台として活用いただけます。

職務権限規程(例)

第1章 総則

第1条(目的)

本規程は、当社における職務遂行に関する権限の範囲および承認手続を定め、組織運営の効率化と責任の明確化を図ることを目的とする。

第2条(適用範囲)

本規程は、当社に勤務するすべての役職員に適用する。

第2章 決裁権限

第3条(稟議・決裁の区分)

社内の意思決定は、以下の区分に基づいて決裁されるものとする。

決裁区分説明
起案担当者が稟議書・申請書を作成し、関係部門に提出する行為
承認所属上位者が内容を確認・同意する行為
決裁最終的に会社としての意思決定を行う権限

第4条(決裁権限基準表)

以下の表に基づき、金額や内容に応じて決裁権限を定める。

【例:金額に応じた購買決裁】

内容担当者課長部長役員
備品購入(1万円未満)
備品購入(1万円以上~10万円未満)起案
備品購入(10万円以上~50万円未満)起案
備品購入(50万円以上)起案

【例:契約の締結】

内容営業担当営業課長営業部長社長
顧客との契約(金額100万円未満)起案
顧客との契約(100万円以上500万円未満)起案
顧客との契約(500万円以上)起案

【例:人事・労務関係】

内容担当者課長管理部長社長
アルバイト採用起案
正社員採用起案
人事評価の一次査定
昇給・昇格案の決裁

第3章 承認・報告・通知

第5条(承認の原則)

決裁に先立ち、関係部門の承認を受けなければならない場合は、その承認がなければ決裁は有効とならない。

第6条(報告義務)

次の業務については、決裁後、関係部門および上位者に速やかに報告しなければならない。

内容報告対象
クレーム対応報告所属課長および品質管理責任者
取引先の信用不安情報営業部長および経理課

第4章 雑則

第7条(権限の委任)

やむを得ず決裁権者が不在の場合、所定の職位の代理者が決裁を代行できる。ただし、その際は代理決裁である旨を明記し、後日報告を要する。

第8条(規程の改廃)

本規程の改廃は、社長がこれを決定する。

付表:職務別の主要決裁権限一覧(抜粋)

業務項目一般社員課長部長社長
見積書作成(定型)
見積書作成(特注案件)起案
出張申請起案
出張旅費の精算起案
社外セミナー参加申請(5万円未満)起案
社外セミナー参加申請(5万円以上)起案

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