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労働保険

労働保険料の申告と納付

Last Updated on 2024年3月5日 by

年度更新の手続き

労働保険料は、毎年、支払った賃金をもとに支払うべき保険料を計算して納付しなければなりません。この手続きを「年度更新」といいます。

労働保険(雇用保険と労災保険)の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間分を、概算で年度の初めに納付しておき、1年後に、確定した保険料を申告して概算額との過不足を清算するという方法を毎年繰り返しています。

継続事業の場合は、5月末頃の発送で、緑の封筒で年度更新に必要な資料が送られてきます。

送付されてくる書類は「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」の用紙と説明書等です。

タイトルのように、労働保険料だけでなく一般拠出金が含まれます。

関連記事:石綿健康被害救済法一般拠出金

年度更新の期限は、6月1日から40日以内、つまり7月10日までです。最終日は年度によって若干異なることがあるのでご注意ください。

事業を開始した初年度は労働局からの書類送付はありません。事業を開始した日から50日以内に「労働保険保険関係成立届」を提出するとともに「労働保険概算保険料申告書」を提出し労働保険料の概算納付をしなければなりません。

関連記事:事業を始めた時の労働保険手続き

保険料申告書の書き方

申告書には、あらかじめ労働保険番号、事業の所在地・名称、保険料率等が印書されています。

賃金総額の算出

労働保険料を計算するには、まず賃金総額を計算します。

厚生労働省ホームページ「労働保険関係各種様式」のページに、エクセルで賃金集計等ができる「年度更新申告書計算支援ツール」が掲載されています。

賃金総額に入るもの入らないもの

計算の対象になる「賃金」とは、手当や賞与を含めた総支給額です。また、年度更新では4月1日から3月31日の賃金を計算します。この期間に支払いが確定した賃金は、算定期間中に支払われなくても対象となります。

賃金総額は、給与や手当など、労働者に支払ったほぼ全ての給付が対象になりますが、一部、除外できるものがあります。次の一覧表を参考にしてください。

関連記事:労働保険料の対象になる賃金ならない賃金

労災保険と雇用保険は対象となる従業員が若干違うので賃金を集計するときに注意が必要です。

労災保険はパート・アルバイトも含めたすべての従業員の賃金が対象です。

雇用保険は雇用保険の被保険者だけが対象です。

賃金総額に保険料率を掛ける

賃金総額が決まれば、労災保険料率、雇用保険料率、一般拠出金料率をそれぞれ掛けて保険料を計算します。

保険料率は変更になることがあるのでご注意ください。

また、事業内容が変化して、以前に該当していた業種がそぐわなくなっていることもあります。実態にあわせて業種を変更する必要があります。

雇用保険の保険料は一部を労働者から徴収します。

関連記事:給与計算の際の雇用保険料の計算

概算保険料

概算保険料の計算では、賃金総額は見込額になります。この際、今年度に支払われる賃金の見込み額が、前年度賃金総額の半分以上であり倍額を上回らないときには、前年度の賃金総額を今年度賃金総額として概算保険料を計算します。

つまり、よほど大きな変動がなければ前年の賃金総額で保険料を計算することになります。

確定保険料の計算で用いた保険料率と違うことがあるので、申告書の記載にご注意ください。

申告と納付

「概算・確定保険料申告書」を書き上げたら所轄の労働基準監督署に持参又は郵送で提出します。申告書の1枚目は労基署が受け取り、2枚目に受理印を押して会社控として返されます。下段の納付書(領収済通知書)はそのまま返却されるので、金融機関に行って記載の金額を納付します。

労基署に寄らないで金融機関だけで済ますこともできます。その場合は、会社控に受理印はありませんが、納付書に受領印をもらえるので特に支障ありません。

なお、納付するべき金額が無い場合は労基署へ提出するだけですが郵送してもかまいません。

年度更新は電子申請ですることもできます。電子申請の場合は電子証明書の取得、パソコンの利用環境の設定などが必要です。GビズIDアカウントを取得して電信申請を行う場合は電子証明書は不要です。また、労働保険料の納付は電子納付や口座振替を利用できます。これらを利用することで窓口に行くことなく年度更新の手続きをすることができます。

概算保険料の額が40万円(労災保険又は雇用保険が一方のみ成立している事業にあっては20万円)以上の場合、又は労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は、3回に分けて納付ができます。

この場合は、7月10日、10月31日、1月31日の3回が納期になります。

労働保険料を滞納すると延滞金が課せられます。

関連記事:労働保険料の延滞金

一括有期事業

建設の事業や立木の伐採の事業のうち、一括有期事業として成立している事業については、継続事業と同様に年度更新の手続を行いますが、建設の事業や立木の伐採の事業は「二元適用事業」なので、申告書は労災保険に係る分と雇用保険に係る分とをそれぞれ別個に作成します。申告書の記入については、概ね継続事業の場合と同様です。

メリット制

労働災害の多寡によって保険料率が増減する制度があります。

関連記事:労災保険のメリット制

労災保険料率

令和6年4月1日より労災保険料率が改定されます。

1.労災保険率を業種平均で0.1/1000引き下げます(4.5/1000 → 4.4/1000)。全54業種中、引下げとなるのが17業種、引上げとなるのが3業種です。

2.一人親方などの特別加入に係る第2種特別加入保険料率を改定します。全25区分中、引下げとなるのが5区分です。

3.請負による建設の事業に係る労務費率(請負金額に対する賃金総額の割合)を改定します。

詳しくは厚生労働省ホームページで


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