Last Updated on 2025年6月17日 by 勝
取締役会の招集手続き
総務課長:今日は、取締役会の招集について勉強しよう。しっかり覚えてもらいたいから、どんどん質問してください。
新入社員: まず、誰が招集できるか教えてください?
誰が取締役会を招集するのか?
課長: 通常、代表取締役が取締役会の招集権者として定款で定められていることが多いね。でも、もし定款に特別な定めがなければ、各取締役全員が招集権を持っているんだ。
新入社員: へぇ、そうなんですね!じゃあ、代表取締役が招集する場合、どういう手続きになりますか?
代表取締役による招集
課長: 代表取締役が取締役会を開こうとする場合、開催日の1週間前までに、全ての取締役と監査役(監査役を置いている会社の場合)に、開催することを通知する必要があるんだ。この1週間という期間は、定款で短縮することも可能だよ。
他の取締役による招集
新入社員: もし招集権限を持っていない取締役が取締役会を開きたい場合はどうすればいいんでしょうか?
課長: その場合は、まず招集権を持っている取締役、例えば代表取締役に対して、会議の目的を記載した書面を提出して、取締役会の招集を請求するんだ。
課長: もし招集権を持つ取締役が、その請求があった日から5日以内に、請求の日から2週間以内の日を開催日とする招集通知を出さなかった場合は、その招集を請求した取締役が自分で取締役会を招集することができるようになるんだよ。
監査役による招集
新入社員: 監査役も取締役会を招集できるんですか?
課長: そうだね。監査役は、取締役が会社の目的外の行為をしたり、法律や定款に違反するような行為をしている、またはする恐れがあると判断した場合に、そのことを取締役会に報告する義務があるんだ。
課長: その必要があると監査役が認めた時は、招集権限のない取締役が招集するのと同じ手続きで、まず招集権者(代表取締役など)に招集を請求する。それでも応じない場合は、監査役が自分で取締役会を招集できるんだ。これは、会社のガバナンスを守る上でとても重要な役割だね。
招集の方法
新入社員: 招集通知は、必ず書面で出さないといけないんでしょうか?
課長: いい質問だね。株主総会の招集通知とは違って、取締役会の招集通知は必ずしも書面である必要はないんだ。口頭でも有効とされている。
課長: ただ、実務上は、通知したことの記録を残すためにも、書面(PDFなどをメールに添付する形も含む)で送付することがほとんどだね。メールに添付して送ることが多いのは、手軽で確実だからだよ。
全員に通知する義務
課長: 招集通知は、全ての取締役と監査役に送らないといけないんだ。もし、一部の取締役に意図的に通知しないで取締役会を開催した場合、たとえ会議が成立する最低限の人数(定足数)が満たされていたとしても、その決議は無効になる可能性があるから、ここは特に注意が必要だよ。
通知を省略することもできる
新入社員: 全員に通知しなければならないということは、通知を省略することはできなのですね。?
課長: いい視点だね。実は省略もできる。しかし、これは特別なケースで、取締役と監査役の全員が同意している場合に限られるんだ。
課長: 例えば、毎月特定の日に「定例取締役会」を開くことを全員が事前に合意して議決しておけば、その定例会については、毎回招集手続きをする必要はないんだよ。これも効率化の一環だね。
議題の通知について
新入社員: 議題も事前に通知するべきなんでしょうか?
課長: 理論上は、取締役会は会社の業務に関するあらゆることを話し合う場だから、事前に具体的な議題を示さなくてもいいことになっているんだ。
課長: ただ、これはあくまで法律上の建前だね。実務上は、充実した審議をするために、事前に議題や議案を通知して、関連資料も配布するのが一般的だよ。いきなり議題を提示されても、議論が深まらないからね。
課長: また、会議の最後に「その他」という議題を設けることが多いけれど、これは「全般的なことが審議対象だ」という意味合いだ。もし「その他」という議題がなくても、各取締役はどんな議題でも提案できるから、その点は覚えておいてね。
課長: だから、もし突然、代表取締役の解任決議の動議が提出されたとしても、「突然すぎる」という理由で、その審議や採決を拒否することはできないんだ。これは取締役会が、会社の重要な意思決定機関であることの表れだよ。
課長: 取締役会は会社の経営に直結する重要な会議だから、招集のルールをしっかり理解しておくことはとても大切だよ。