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取締役と監査役

取締役会付議事項について

Last Updated on 2023年9月25日 by

取締役会の権限を明確にする

会社法362条「取締役会の権限等」においては、以下の事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することはできないとしており、取締役会で決定する必要があるとしています。

一定の事項については、社長といえども勝手に決めることはできないということです。

□ 重要な財産の処分及び譲り受け
□ 多額の借財
□ 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
□ 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
□ 募集社債の金額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
□ 取締役の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして、法務省令で定める体制の整備(大会社である取締役会設置会社では、法定義務)
□ 定款の定めに基づく取締役、会計参与、監査役、執行役または会計監査人の会社に対する責任の免除の決定

実際に取締役会規程あるいは内規で取締役会に付議する事項を定めるときは、上のままでは不十分です。例えば「多額の借財」とありますが、「多額」とはいくらかということは、会社の規模、収益の状況によって異なります。

ですから、その会社ごとに、代表取締役に任せておいて心配のない金額を設定し、それ以上の借財について取締役会に付議することになります。「〇千万以上の借入金」「〇億円以上の借入金」などと具体的に定める必要があります。

会社法362条以外で取締役会の決議が必要な主な事項

□ 自己株式の取得株数、価格等の決定
□ 株式分割
□ 株式無償割当てに関する事項の決定(ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない)
□ 公開会社における新株発行の募集事項の決定
□ 一に満たない端数の株式の買取りに関する事項
□ 公開会社における新株予約権の募集事項の決定
□ 株主総会の招集の決定
□ 取締役による競業取引および利益相反取引の承認
□ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書の承認

第三者に対する責任

取締役会での決議が必要な事項であるにもかかわらず、代表取締役が、勝手に執行してしまった場合は、その行為は有効なのでしょうか。一概には言えませんが、代表取締役の独断による契約を無効とするという裁判例もあるようです。

取引先に多額の貸し付けをしたり保証人になってもらうようなときには、取締役会の議決を経ているかどうかを確認するために議事録の写しを求めるなどの慎重な行動が必要です。

規程にする

取締役会付議事項を決定したら、取締役会規程に付属文書として組み入れておきましょう。

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