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取締役と監査役

取締役や監査役に懲戒処分を科すことができるか

Last Updated on 2023年10月12日 by

就業規則を適用する懲戒処分について

就業規則は従業員に適用するものです。その就業規則を取締役や監査役に適用することはできません。したがって、通常の意味での懲戒処分を取締役や監査役に科すことはできません。

ただし、取締役部長のように、取締役と部長という従業員としての身分を合わせ持っている場合は、従業員としての行為に非違行為があれば、その部分について就業規則を適用して懲戒処分することができます。

監査役は従業員としての身分を持たないので、就業規則を適用する懲戒処分はできません。

解任することができる

株主総会で解任する

取締役や監査役は、株主総会を開かなければ解任することができません。

解任の決議は普通決議ですから、過半数の賛成で決議することができます。ただし、当該取締役が株主であれば、その株主総会において反対することができます。したがって、過半数を持つ大株主を解任することはできません。

また、解任できたとしても、正当な理由がない解任だと、解任によって生じた損害を賠償請求されるリスクがあります。

裁判所に解任を請求する

株主総会で解任できない場合でも、3%以上保有の株主は、取締役の職務執行に関する不正行為や法令・定款に違反する重大な事実の証明ができるのであれば、当該取締役の解任の訴えを裁判所に請求することができます。

辞任した場合の手続き

本人から自ら退任の申し出をしたときは株主総会の手続きはいりません。退任の意思表示が会社に到達したときに辞任の効力が生じます。直ちに役員の変更登記を行います。

退任や解任によって取締役や監査役の定員を満たさなくなったときは、欠員を補充しなければなりません。

関連記事:取締役や監査役に欠員が生じたときは

代表権の解任は取締役会

代表取締役の代表権の部分を解任することは、取締役会の決議で行うことができます。ただし、代表権がなくなっても、取締役としては会社に残ります。

不法行為の差止め請求をする

取締役や監査役の解任手続きを開始しても違法な不正行為をやめない取締役や監査役について、株主は裁判所に対して不正行為の差止めを請求することができます(会社法360条)。

この手続きは具体的な不正行為を特定して請求しなければなりません。

職務執行停止の仮処分

会社の損害を防ぐための対応として、違法行為の差止めだけでは会社の損害を防止できない場合には職務執行停止の仮処分(民事保全法23条2項)という手段もあります。

解任の請求、不法行為の差止め請求や職務執行停止の仮処分は、裁判所に提起するので、弁護士への依頼が必要です。

刑事責任を追求できる

取締役や監査役が不正行為を行い、その行為が会社法や刑法の規定に違反している場合には、法的な責任を追及することができます。

例えば、会社において一定の権限を有する者が、自己若しくは第三者の利益のため、または会社に損害を加えるために会社の任務に背く行為をし、会社に財産上の損害を加えた場合には、特別背任罪が成立します(会社法960条)。

損害賠償を請求できる

取締役や監査役が不正行為を行い、それによって会社に損害をもたらした場合には、損害賠償を請求することができます。


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