小規模企業でも利用しやすいように最大限簡略化した育児介護休業等規程のサンプルを紹介します。
はじめに
このサンプルは、小規模企業向けに最大限簡略化しているので、個々の企業の実情や従業員の状況によっては、別途詳細な規定や運用が必要となる場合があります。
育児介護休業等に関する法令は改正されることがありますので、最新の情報を常に確認し、必要に応じて規程を修正してください。
育児介護休業等規程(サンプル)
〇〇株式会社育児介護休業等規程
第1条(目的)
この規程は、育児介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉の増進を図るとともに、これらの労働者の職業生活と家庭生活との両立に資することを目的に、育児休業、介護休業その他の制度について定める。
第2条(育児休業の取得)
従業員は、子が1歳に達する日まで(一定の場合は1歳6か月又は2歳に達する日まで)、育児休業を取得することができる。
育児休業の申出は、原則として休業開始予定日の1か月前までに会社に申し出るものとする。
第3条(介護休業の取得)
従業員は、要介護状態にある家族を介護するため、対象家族1人につき通算93日まで、介護休業を取得することができる。
介護休業の申出は、原則として休業開始予定日の2週間前までに会社に申し出るものとする。
第4条(子の看護休暇)
小学校3年生修了までの子を養育する従業員は、1年に5日(対象となる子が2人以上の場合は10日)を限度として、子の病気やけがの看護のため、予防接種や健康診断のため、感染症にともなう学級閉鎖のため、入学式・卒園式への参加のために、子の看護休暇を取得することができる。
子の看護休暇は、時間単位で取得することができる。
第5条(介護休暇)
要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員は、1年に5日(対象となる家族が2人以上の場合は10日)を限度として、介護休暇を取得することができる。
介護休暇は、時間単位で取得することができる。
第6条(育児・介護のための所定外労働の制限)
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員、または要介護状態にある家族を介護する従業員は、会社に申し出ることにより、所定外労働の制限を受けることができる。
所定外労働の制限の申出は、原則として開始予定日の1か月前までに会社に申し出るものとする。
第7条(育児・介護のための時間外労働の制限)
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員、または要介護状態にある家族を介護する従業員は、会社に申し出ることにより、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働の制限を受けることができる。
時間外労働の制限の申出は、原則として開始予定日の1か月前までに会社に申し出るものとする。
第8条(育児・介護のための深夜業の制限)
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員、または要介護状態にある家族を介護する従業員は、会社に申し出ることにより、深夜業(午後10時から午前5時まで)の制限を受けることができる。
深夜業の制限の申出は、原則として開始予定日の1か月前までに会社に申し出るものとする。
第9条(育児のための短時間勤務)
3歳に満たない子を養育する従業員は、会社に申し出ることにより、短時間勤務の措置を受けることができる。
短時間勤務の措置の申出は、原則として開始予定日の1か月前までに会社に申し出るものとする。
第10条(給与等)
育児休業期間中および介護休業期間中、子の看護休暇および介護休暇中の給与は支給しない。
育児・介護のための所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児のための短時間勤務を適用したことにより勤務しなかった時間の給与は支給しない。
休業中の社会保険料は労働者負担分を会社が一時的に立て替えて従業員に請求する。
第11条(不利益取扱いの禁止)
従業員が育児休業、介護休業その他の制度を利用したことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
第12条(担当者)
従業員に対して育児休業、介護休業その他の制度について説明し、相談を受ける担当者を指名する。
第13条(その他)
この規程に定めのない事項については、育児介護休業法その他の関係法令および会社の就業規則によるものとする。
附則
この規程は、2025年〇月〇日から施行する。
このサンプルの特徴
必要最低限の制度(育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、時間外労働・深夜業・所定外労働の制限、短時間勤務)に絞り込んでいます。
申出の具体的な書式や添付書類など、小規模企業であればその都度対応しやすいと判断される詳細手続きは省略し簡潔な記述に留めました。
このサンプルに規定していない事項については、関係法令や就業規則に準じる旨を明記することで不足を補っています。
労働基準監督署は受け付けてもらえると思いますが、助成金等の関係では詳細さに欠けるとして修正を余儀なくされる場合があるかもしれません。
貴社の実情に合わせて適宜修正・加筆してご利用ください。
詳細に規定した例
関連記事:育児・介護休業法の全体像を解説
会社事務入門>就業規則以外の社内規程>このページ