契約書とは
契約書の目的と役割
契約書は、当事者間の合意内容を明確にし、紛争を未然に防ぐための重要な法的文書です。主な役割は以下の通りです。
- 合意内容の明確化: 契約書は、口頭での合意や曖昧な約束を、書面として具体的に定めます。これにより、「言った、言わない」のトラブルを防ぎます。
- 証拠の保全: 契約書は、合意内容が存在したこと、そしてその内容が何であったかを示す強力な証拠となります。裁判になった場合など、法的効力を発揮します。
- 権利と義務の確定: 当事者が何をすべきか(義務)と、何を受け取ることができるか(権利)を明確に定義します。
契約書作成の基本原則
有効な契約書を作成するためには、いくつかの原則があります。
- 合意は口頭でも成立する: 法律上、契約は必ずしも書面である必要はありません。口頭でも成立します。しかし、紛争防止のため、特に重要な取引では書面化が強く推奨されます。
- 契約自由の原則: どのような内容の契約を結ぶかは、原則として当事者の自由です。ただし、法律に違反する内容(例:公序良俗に反する契約)は無効となります。
- 明確性: 誰が、何を、いつ、どこで、どのように行うのかを、曖昧さのない明確な言葉で記述することが不可欠です。例えば、「誠実に努力する」といった抽象的な表現は避け、具体的な行動を記載すべきです。
契約書の主な構成要素
契約書は通常、以下の要素で構成されます。これらの要素が、契約書の内容を体系的に整理し、法的効力を担保します。
- 表題(タイトル): 「業務委託契約書」「売買契約書」など、契約の種類を明確に示します。
- 前文: 契約当事者の名称と、両者が合意に至った背景や目的を簡潔に記載します。「甲と乙は、以下の条項に基づき、〇〇に関する契約を締結する。」といった形式が一般的です。
- 本文(条項): 契約の核心部分であり、最も重要です。
- 目的: 何のための契約かを定めます。
- 契約期間: 契約の有効期間を定めます。
- 権利と義務: 契約当事者それぞれの具体的な権利(例:代金の請求)と義務(例:商品の引き渡し)を定めます。
- 対価(支払い条件): 支払う金額、支払い方法、支払い期日などを定めます。
- 解除条件: 契約を一方的に解除できる条件(例:相手方の債務不履行)を定めます。
- 損害賠償: 違反があった場合の損害賠償の範囲を定めます。
- 秘密保持: 業務を通じて知った秘密情報をどのように扱うかを定めます。
- 準拠法・管轄裁判所: 紛争が発生した場合に適用される法律と、訴訟を提起する裁判所を定めます。
- 後文: 契約書の作成部数や、効力発生の時期などを記載します。
- 署名欄: 契約当事者が自筆で署名し、押印します。これにより、契約内容に合意したことを証明します。日本では、署名と押印がセットで行われることが一般的です。
契約書を作成する際は、これらの要素を漏れなく含み、当事者双方にとって公平で明確な内容にすることが大切です。内容に不安がある場合は、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
契約書作成の各論
契約書を作成するには細かなルールがあります。法律によって定められたルールと、慣習によるルールがあります。細かい決まりが多いのですが、契約に携わる以上は知っておきたいことばかりです。
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