2026年10月の同一労働同一賃金ガイドライン改定のなかで、「雇用管理上の措置」の部分について、企業が具体的に「何をどう運用すればよいのか」について整理しました。
待遇の相違等についての説明方法
説明を求められた際の対応方法として「口頭+資料」または「内容を全て網羅した分かりやすい資料の交付」のいずれかが明確にルール化されました。
具体的には、以下のいずれかの方法で対応する必要があります。
パターンA:資料を活用して口頭で説明する(面談スタイル)
- 厚生労働省が提供する「待遇差の説明書」モデル様式などをベースに、自社の「正社員と有期雇用者の比較表」を事前に作成しておきます。
- 労働者から説明を求められたら、面談を実施し、その比較表を提示しながら「なぜ手当や基本給に差があるのか(職務内容、責任の重さ、転勤の有無など)」を口頭でひとつずつ説明します。
パターンB:全て記載した分かりやすい資料を交付する(書面配付スタイル)
- 基本給の決定方法、各種手当の支給要件、賞与・退職金の有無や計算方法、正社員との違いとその理由が「一目でわかる説明書(制度概要書)」を作成します。
- 説明を求められた際(または採用時にあらかじめ)、その資料を交付して「ここに全て記載しています」と渡します。
ポイント
資料無しでの口頭説明や、社内規定等の条文をそのまま見せるだけの説明は「説明を果たした」と認められなくなります。「誰が見ても分かる資料(シート)」をあらかじめ用意しておくことが最も手軽で確実な対応策となります。
公正な評価に基づいて賃金を決定・昇給に反映する
「パートだから一律時給○円」「昇給は一律10円」といった形ではなく、職務の内容・成果・能力・経験などを適切に捉えて賃金(時給・各種手当)を決める仕組みを作ることが求められます。
例えば、以下のような仕組みを作ります。
- 評価シート(チェックリスト)の導入・簡易化パート・有期雇用者向けの「評価表」を作成します(例:「一人でレジ打ちができる」「新人指導ができる」「無遅刻無欠勤」など具体的な項目)。
- 定期的(年1〜2回など)な評価の実施店長や上司が評価シートに基づき、能力や貢献度をチェック(公正な評価)します。
- 昇給・賞与への反映とフィードバック評価結果に応じて「ランクA:時給+30円」「ランクB:時給+10円」のように賃金へ反映させます。また、本人に「ここが評価されたので時給が上がりました」と伝える(フィードバックする)ことで、公正性の納得感が高まります。
正社員等への転換制度の明示とウェブサイトでの公表
正社員登用制度について、「社内への明示(努力義務)」と「自社ウェブサイト等での外部公表(推奨)」が求められています。
社内への明示(雇い入れ時や社内周知)
- 実施すること: 労働条件通知書や就業規則、社内イントラネットなどに、正社員転換制度の具体的な内容を記載します。
- 記載すべき具体例:
- 対象条件: 勤続1年以上で、直近の評価が○ランク以上のパート
- 試験内容: 面接および筆記試験(年1回・〇月実施)
- 過去の実績: 「昨年度は〇名が正社員に登用されました」といった具体的な実績値
Webサイト(自社HPや厚生労働省サイト)での公表
- 実施すること: 自社のコーポレートサイト、採用ページ、または厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」「両立支援のひろば」などに以下の情報を掲載します。
- 掲載例:
「当社ではパート・有期社員から正社員への登用制度を設けています。過去3年間の登用実績:2023年度 2名、2024年度 3名、2025年度 1名」
企業が準備すべき具体物
| 項目 | 企業が作成・用意すべき具体物 |
| 説明方法 | 正社員とパートの「待遇差比較・理由説明シート」(1〜2ページの比較表) |
| 公正な評価 | パート・有期雇用労働者用の「簡易人事評価シート」と「時給改定(昇給)ルール」 |
| 転換制度 | 正社員登用制度の「応募要件・試験時期・過去の登用人数」をまとめた案内文 |
