電子申請を活用した新入社員受入事務の流れを解説

採用

十年一昔といいますが、10年前と比較して、今の新入社員の入社手続きは、電子申請や労務管理システム、電子契約サービスの活用により、大幅にペーパーレス化・効率化されています。

ここで、電子申請をフルに活用した、現在の人事担当者による新規採用者受け入れの事務仕事の流れを時系列でご紹介します。

新入社員受け入れの事務仕事の流れ

【フェーズ1:入社前準備・情報収集】

  1. システムアカウント準備と初期設定
    • 人事担当者は、労務管理システムなどに新入社員の基本情報(氏名、内定日など)を登録し、アカウントを発行します。
  2. 新入社員へ情報入力・同意を依頼(システム経由)
    • 新入社員へメールでシステムへのログイン情報と依頼事項を通知します。
    • 新入社員は、システム上のWebフォームで以下の情報を自ら入力します。
      • 基礎情報(住所、連絡先など)
      • 扶養家族情報
      • 緊急連絡先
      • マイナンバー(安全な方法で収集)
      • 給与振込口座情報
      • 通勤経路情報
    • 同時に、労働条件通知書・雇用契約書(電子契約サービス利用)や誓約書などの重要書類を確認し、電子署名または同意を行います。
  3. 人事担当者による情報確認・差し戻し
    • 人事担当者は、システム上で新入社員が入力・提出した内容を確認します。不備があればシステムを通じて差し戻し(リマインド)し、修正を促します。

【フェーズ2:入社日直前・当日】

  1. 行政への電子申請書類の作成・一時保存
    • 新入社員が入力した情報(氏名、生年月日、住所、入社日など)が自動的に社会保険・労働保険の申請書データに反映されます。(労務管理システムとe-Govの連携機能を利用)
    • 人事担当者は、入社日前にe-Gov連携システム(またはe-Gov)内で申請データを作成し、一時保存しておきます。
      • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
      • 雇用保険 被保険者資格取得届
  2. 入社日の資格取得届の送信(電子申請)
    • 入社日(または定められた期限)に、人事担当者は一時保存していた申請データをe-Gov経由で行政機関へ送信(電子申請)します。
    • (電子署名に必要な電子証明書は事前に準備済み)

【フェーズ3:入社後・事務処理完了】

  1. 電子公文書の確認・ダウンロード
    • 数日後、行政機関での処理が完了すると、e-Gov連携システム(またはe-Gov)に公文書(電子公文書)が格納されます。
    • 人事担当者は、申請状況を確認し、公文書をダウンロードして適切に保存します。
      • 雇用保険被保険者証、健康保険被保険者証の交付通知など
    • 不備があった場合は、行政から届く補正通知に従って、速やかにデータを修正し再申請(電子申請)します。
  2. 新入社員への交付物・連絡
    • ダウンロードした公文書のうち、新入社員へ交付が必要な書類(例:雇用保険被保険者証、健康保険証の到着連絡など)を、必要に応じてシステム経由で本人に通知・交付します。
    • 新入社員の入社情報に基づき、勤怠管理システムや給与計算システムへの連携が行われます。(システムが連携している場合)

この一連の流れにより、紙でのやり取りや書類の押印、郵送、行政窓口への持ち込みがほぼなくなり、人事担当者の事務作業は「データ入力・確認」「電子申請の送信」「公文書の電子保管」へと大きく変化しています。