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採用の事務

派遣元と派遣先が講ずるべき措置

Last Updated on 2021年7月28日 by

雇用安定措置

派遣元は、同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある派遣労働者について、派遣終了後の雇用継続のために、以下の措置を講じる義務があります。

1.派遣先への直接雇用の依頼
2.新たな派遣先の提供
3.派遣元事業主による無期雇用
4.雇用を維持したままの教育訓練、紹介予定派遣等、安定した雇用の継続を図るための措置

同一の組織単位に継続して3年の派遣見込みがあれば、上記のいずれかの措置を講じる義務があります。
同一の組織単位に継続して1年以上3年未満の派遣見込みがあれば、上記のいずれかの措置を講じる努力義務があります。
派遣元に雇用された期間が通算1年以上の派遣労働者に対しては、上記の2~4の措置を措置を講じる努力義務があります。

キャリアアップ支援措置

派遣元は、派遣労働者に、キャリアアップを図るために、次の措置を行う義務があります。(キャリアアップ支援措置の実施は派遣許可基準の一つになっています)
1.すべての派遣労働者に対する段階的かつ体系的な教育訓練の実施
2.希望する派遣労働者に対するキャリア・コンサルティングの実施

派遣先(就業先)は、派遣元から求めがあった場合には、就業する派遣労働者に対し、教育訓練を受けられるよう可能な限り協力しなければなりません。

キャリアコンサルティングの相談窓口は、キャリアコンサルティングの知見を有する相談員または派遣先と連絡調整を行う担当者を配置することとされています。「知見を有する」というのは、経験等があるという意味であって必ずしも資格を求めているものではありません。

直接雇用の推進

1.①派遣先の事業所等の組織単位ごとの同一業務に1年以上継続して派遣を受け入れ、②その業務のために派遣修了後に新たに労働者を雇い入れる場合、③その派遣労働者から直接雇用の依頼があったときは、派遣先は、その派遣労働者を直接雇用するよう努めなければならない(努力義務)。

2.派遣先は、派遣先の事業場等で働く正社員の募集をするときは、その事業所等で1年以上受け入れている派遣労働者に対して、募集情報を周知しなければならない(義務)。

3.派遣先は、その事業場等で働く労働者(正社員にかぎらず)を募集するときは、同一の組織単位の業務に継続して3年間派遣就業の見込みがある特定有期雇用派遣労働者で派遣元から直接雇用の依頼があった者に対して、募集情報を周知しなければならない(義務)。

待遇についての説明義務

派遣元は、派遣労働者の求めに応じて、以下の点について、派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を図るために考慮した内容の説明をする義務があります。
1.賃金の決定
2.教育訓練の実施
3.福利厚生の実施

賃金の決定・教育訓練・福利厚生に関する配慮義務

派遣先は、派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を図るため、以下の配慮義務があります。
1.派遣元事業主に対し、派遣先の労働者に関する賃金に関する情報提供等を行うこと
2.派遣先の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合に、原則として同じ業務に従事している派遣労働者にも実施すること
3.派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する一定の福利厚生施設の利用の機会を与えること

派遣元は、派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を図るため、以下の配慮義務があります。
1.派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準、その他の要素を勘案して賃金を決定すること
2.同種の業務に従事している派遣先の労働者との均衡を考慮しつつ教育訓練を実施すること
3.同種の業務に従事している派遣先の労働者との均衡を考慮しつつ福利厚生を実施すること

配慮義務というのは、具体的に取り組むことが求められるもので、一般の努力義務よりも強い義務です。

マージン率などの情報提供

派遣元事業主は、労働者や派遣先事業主がより適切な派遣会社を選択できるよう、インターネットなどにより派遣会社のマージン率などを情報提供する義務があります。
マージン率=(労働者派遣に関する料金額の平均額)−(派遣労働者の賃金額の平均額)÷労働者派遣に関する料金額の平均額

マージン率などの「など」の部分は以下のとおりです。
① 派遣労働者の数
② 派遣先の数
③ マージン率
④ 教育訓練に関する事項
⑤ 労働者派遣に関する料金額の平均額
⑥ 派遣労働者の賃金額の平均額
⑦ その他参考となると認められる事項

この情報提供義務は、労働局や派遣先への提出義務ではなく開示する義務です。ホームページへの掲載、パンフレットへの掲載、事務所への掲示などの方法で行います。

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