Last Updated on 2025年8月13日 by 勝
病気や障がいの有無で採否を判断することは、就職差別につながるため、原則として健康状態に関する質問はしないのが一般的です。
面接で尋ねてよいこと、尋ねてはいけないことの例
尋ねてもよいことの例
- 仕事への意欲や熱意
- 職務経歴やスキル、経験
- 応募職種への適性や興味
- これまでのキャリアビジョン
- 長所や短所
尋ねてはいけないことの例
- 病歴や障がいの有無
- 家族構成や家族の病歴
- 信仰している宗教
- 支持政党や政治思想
- 本籍地や出生地
病歴などを聞いてはいけないか?
体調が悪いように見えるのですが
Q:面接の時に、体調が悪いようにみえるのですが、どこか悪いところがあるのですか、持病がありますか、治療しているのですか、などと聞いてもよいのでしょうか?
A:もし、面接担当者が応募者の体調が悪いように見えたとしても、それは単に緊張しているだけかもしれませんし、面接の場で健康状態について尋ねることは、応募者に不信感や不快感を与えることにもつながります。
配慮の必要性を判断したいのですが
Q:健康上の配慮が必要な人であれば、採用して配属が決まってから分かるよりも面接時点で知っていたほうが配慮可能だと思うのですが、そういう意図でも健康状態について聞いてはいけませんか?
A:おっしゃるように、採用後の配属や業務内容を検討する上で、事前に健康状態を把握しておきたいというお気持ちはよく理解できます。しかし、面接で応募者の健康状態について尋ねることは、いくつかの法律や原則に照らして慎重に検討する必要があります。
健康状態を尋ねることが不適切な理由
就職差別の疑念を招く:たとえ安全配慮が目的であっても、応募者は「病歴があるから不採用になったのではないか」という疑念を抱く可能性があります。これは、公正な採用選考の原則に反する行為と見なされるリスクがあります。
プライバシーの侵害:健康情報は個人のプライベートな情報の中でも特に機密性が高いものです。業務遂行に直接関係しない広範な質問は、プライバシーの侵害として問題になる可能性があります。
法律違反のリスク: 健康状態を理由に採用を見送った場合、状況によっては、法的な問題に発展するリスクもゼロではありません。
応募者の不信感:面接で健康状態を根掘り葉掘り聞かれることで、応募者が企業に対して不信感を抱き、入社意欲を失ってしまう可能性があります。
リスクを回避する方法
これらのリスクを回避しつつ、安全を確保するために、以下のような方法を検討することをお勧めします。
業務内容を明確に伝える:面接の早い段階で、危険業務が含まれること、例えば、仕事内容に高所作業や機械の運転が含まれること、そして安全上の観点から、めまいや意識消失などの症状がある方には危険が伴うことを明確に伝えます。これにより、応募者自身が「この仕事は自分には難しいかもしれない」と判断する機会を提供できます。
必要な配慮の有無を尋ねる:「業務を遂行する上で、会社として配慮すべき点や、何かお困りのことはありますか?」といった質問は、健康状態を直接尋ねるのではなく、あくまで業務遂行に必要な配慮があるかどうかを尋ねるものです。これにより、ご本人から申し出があるかもしれません。
ただし、この場合、聞いた後に不採用にすることは大きなリスクを伴うことに留意が必要です。病歴ではない理由で不採用にしたとしても、最終的に不採用になれば、病歴等の理由で採用しなかったと受け取られる可能性が高いからです。
採用決定後、入社手続きの中で確認する: 採用が内定し、入社が決定した後に、業務を遂行する上で特別な配慮が必要な点がないか、ご本人に確認するのが一般的な方法です。この場合も、あくまで業務遂行に必要な情報に限定して尋ねることが重要です。
内定後の健康診断を活用する:採用内定後、入社前に健康診断を受けてもらい、その結果を産業医が確認することも一般的な方法です。産業医は、健康診断の結果に基づいて、就業上の注意点や配属先の変更など、企業に対して医学的な見地からの助言を行います。企業は、その助言を基に適切な配慮を行うことができます。
ご本人からの申し出を待つ: 健康上の配慮が必要な場合、ご本人から会社に申し出てもらうのが最もスムーズな方法です。安心して相談できるような、オープンな社内文化を築いておくことも大切です。
まとめ
面接の時点では、あくまで応募者の能力や適性を評価することに集中し、健康状態については、採用が内定した後の手続きの中で確認するという流れが望ましいでしょう。そうすることで、企業のコンプライアンスを守りつつ、応募者との信頼関係を築くことができます。