Last Updated on 2025年9月14日 by 勝
大規模な地震や台風、さらにはテロなどの災害が頻発する現代において、建物の防災対策はますます重要になっています。その中心的な役割を担うのが防災管理者です。今回は、防災管理者の仕事内容から、防火管理者との違い、そして兼務のメリットまで、わかりやすく解説します。
防災管理者の仕事内容
防災管理者の主な任務は、火災以外のあらゆる大規模災害から人命と財産を守ることです。建物の規模や用途によって選任が義務付けられており、具体的な業務は以下の通りです。
- 防災管理に係る消防計画の作成・届出: 地震や台風、その他の災害発生時の行動計画(避難方法、情報伝達、応急救護など)を策定し、消防署に届け出ます。
- 防災訓練の実施: 計画に基づいて、避難訓練や応急救護訓練などを定期的に実施します。これにより、従業員や利用者が災害時に冷静かつ適切に行動できるように備えます。
- 防災資機材の備蓄・維持管理: 食料、水、懐中電灯、救急用品など、災害時に必要となる資機材を備蓄し、常に使用可能な状態に維持します。
- 防災教育の実施: 従業員に対し、災害に関する知識や行動を周知させるための教育を行います。
防火管理者との違い
防火管理者と防災管理者は、似ているようで異なる役割を担っています。最も大きな違いは、対象とする災害の種類です。
防災管理者 | 防火管理者 | |
対象災害 | 火災以外の災害(地震、台風、津波、大規模テロなど) | 火災のみ |
主な業務 | 防災計画の策定、防災訓練、防災資機材の備蓄・管理など | 消防計画の策定、消火・避難訓練、消防用設備の管理など |
選任義務 | 大規模な建物(延べ面積、階数、用途などの条件を満たすもの) | 収容人員が一定数以上の建物 |
簡単に言えば、防火管理者が「火災」の専門家であるのに対し、防災管理者は「あらゆる大規模災害」の専門家です。
防火管理者との兼務について
防災管理者が選任義務のある建物では、多くの場合、防火管理者の選任義務も発生します。そのため、両方の資格を持つ者が兼務することが一般的であり、推奨されています。
兼務のメリット
- 業務の一元管理: 2つの業務を1人が担うことで、防火と防災を一体的に捉え、より効率的かつ効果的な管理が可能になります。
- 責任範囲の明確化: 災害の種類を問わず、建物全体の安全管理を一貫して行えます。
- コスト削減: 外部に委託する場合、別々に依頼するよりもコストを抑えられます。
兼務するためには、甲種防火管理者の資格を持つことが前提となります。甲種防火管理者は、防災管理者の資格も同時に取得できる講習を受講するのが一般的です。
防火管理と防災管理は、どちらも建物の安全を守る上で欠かせない役割です。防災管理者の選任義務がある建物では、ぜひ両方の資格を兼ね備えた人材を配置し、災害に強い会社を目指しましょう。