ビルオーナー必見!複合用途ビルの防火管理体制を徹底解説

防火・防災

複数のテナントが入居するビルを所有している皆さん、その防火管理体制は万全でしょうか?一つの建物に多様な用途が混在する「複合用途防火対象物」では、特別な防火管理体制が求められます。今回は、ビルオーナーが知っておくべき「統括防火管理者」の役割と、ビル全体の防火管理について解説します。

複合用途ビルの防火管理体制とは?

多くのテナントが入居する複合用途ビルでは、各テナントが個別に防火管理を行うだけでは不十分です。建物全体で連携し、火災の発生を抑え、もしもの事態に備えるための統括的な管理体制が必要になります。

その中心を担うのが、ビル全体を管理する「統括防火管理者」です。

ビルオーナーの役割:統括防火管理者の選任

ビルオーナーには、統括防火管理者を選任する義務があります。この統括防火管理者は、ビル全体の防火安全を確保するための最高責任者です。

体制としては、統括防火管理者がビル全体を統括し、その下に各テナントの防火管理者が連携するという形になります。これにより、ビル全体として統一された防火管理が可能になります。

統括防火管理者の4つの主要な役割

統括防火管理者の主な業務は、以下の通りです。

ビル全体の消防計画の作成・届出

統括防火管理者は、ビル全体を見渡した「統括消防計画」を作成し、消防署に届け出ます。この計画には、ビル全体の避難経路、共用部分の管理、火災発生時の情報共有方法などが含まれます。各テナントの防火管理者は、この全体計画に基づいて、それぞれのテナントの消防計画を策定します。

防火・避難施設の点検と維持管理

共用部分の廊下や階段、非常口、ゴミ置き場などの管理は非常に重要です。統括防火管理者は、これらの場所が常に避難の妨げにならないよう、定期的に点検・整備を行います。また、防火扉やシャッターといった防火設備が正常に機能するかの管理も大切な役割です。

共同での消防訓練の実施

ビル全体で行う消防訓練の方法や実施日を決定し、各テナントの防火管理者に周知・実施を促します。訓練を通じて、火災発生時にテナント間で連携して避難・通報・初期消火が行える体制を構築します。

防災センターの運営と管理

多くのテナントが入居する大規模なビルでは、防災センターが設置されています。統括防火管理者は、この防災センターの運営と管理にも責任を持ちます。防災センターの要員は、建物の規模や用途に応じて、防災センター要員講習の受講や自衛消防技術認定証の資格が必要です。これらの要員が適切な知識を持ち、緊急時に迅速に対応できるよう管理します。

まとめ

複合用途ビルの防火管理は、単に消火器を置くだけでは不十分です。ビル全体の防火管理を統括し、各テナントと連携することが、入居者や来訪者の安全を守る上で不可欠です。

ビルオーナーの皆様、統括防火管理者の選任と、その役割の正しい理解を通じて、安全で安心なビル運営を目指しましょう。


会社事務入門防火管理者は守りのスペシャリスト!あなたは「防火管理者」という仕事をご存知ですか?>このページ