Last Updated on 2025年9月14日 by 勝
「防火管理者」という言葉を聞いたことはありますか?飲食店を経営する上で、法律で定められた重要な役割です。今回は、防火管理者がなぜ必要なのか、あなたの店が対象となるか、そしてその選任方法まで、分かりやすく解説します。
収容人員30人以上で防火管理者が必要になります
すべての飲食店に防火管理者が必要なわけではありません。消防法では、火災の被害を最小限に抑えるため、特にリスクが高いと判断される建物に防火管理者の選任を義務付けています。
飲食店は、不特定多数のお客様が出入りする「特定防火対象物」に分類されます。このため、従業員とお客様を合わせた「収容人員」が30人以上になる場合、防火管理者を選任しなければなりません。
項目 | 飲食店(特定防火対象物) |
---|---|
選任義務 | 収容人員30人以上 |
収容人員の計算 | お客様の数 + 従業員の数 |
例えば、お客様が25人入る店でも、従業員が5人いれば収容人員は30人となり、防火管理者の選任が必要になります。
甲種と乙種、どちらの資格が必要?
防火管理者には「甲種」と「乙種」の2種類があり、建物の規模によってどちらの資格が必要かが決まります。
- 甲種防火管理者:
延べ床面積が300㎡以上の建物で防火管理者になれます。 - 乙種防火管理者:
延べ床面積が300㎡未満の建物で防火管理者になれます。
甲種防火管理者はすべての建物に対応できるため、将来的に店舗拡大を考えている場合は、甲種の資格を取得しておくと良いでしょう。
防火管理者は誰がなれる?
防火管理者は、店長や経営者自身が務めるのが一般的です。重要なのは、実際に防火管理業務を遂行できる「管理的・監督的な立場」にある人物であることです。
そのため、勤務時間が限られるパートやアルバイト従業員を選任することはできません。
小規模な店舗でも油断は禁物!
たとえ収容人員が30人未満で防火管理者の選任義務がない店舗でも、火災のリスクは常に存在します。ガスコンロやIH調理器など、飲食店は火を使う場所が多いため、火災予防には最大限の注意が必要です。
防火管理者がいなくても、以下の防火対策は徹底して行いましょう。
- 消火器の設置と点検: 誰でも使える場所に設置し、定期的に点検します。
- 避難経路の確保: 出入口や通路には物を置かず、常に確保しておきます。
- 火の元管理の徹底: 営業終了後には、必ずすべての火元を確認しましょう。
忘れずに!選任手続きと消防訓練
防火管理者の選任義務がある場合、営業開始時までに資格を取得し、速やかに「防火管理者選任届」を管轄の消防署に提出する必要があります。
また、選任後は、年に2回以上の消火訓練と避難訓練の実施も義務付けられています。
火災は、お店の財産だけでなく、お客様や従業員の命を危険にさらすものです。防火管理者は、お客様に安心して食事を楽しんでもらうための「安全の証」でもあります。この機会に、ご自身の店舗の防火体制を見直してみてはいかがでしょうか。