Last Updated on 2025年9月14日 by 勝
「防火管理者」という言葉を聞いたことはありますか?火災から人々の命と財産を守るために、消防法でその選任が義務付けられている専門家です。今回は、その防火管理者の役割と、どのような建物に必要とされるのかをわかりやすく解説します。
防火管理者の4つの主要な役割
防火管理者の主な任務は、建物の火災予防と、万が一の際の被害を最小限に抑えるための体制づくりです。具体的には、以下の4つの業務を中心に行います。
1. 消防計画の作成と届出
建物の状況に合わせた消防計画を作成し、所轄の消防署に届け出ます。これは、火災発生時の初期消火や避難誘導、火気の使用ルールなどを定めた、いわば建物の防火・防災マニュアルです。
2. 消防訓練の実施
消防計画に基づいて、消火訓練と避難訓練を定期的に実施します。これにより、従業員全員が火災発生時に適切に行動できるように備えます。
3. 消防用設備等の維持管理
消火器や自動火災報知設備、スプリンクラーなどが、いざという時に確実に作動するよう、定期的に点検・整備を行います。
4. 火気の使用や危険物等の管理
建物内での火気の使用や、危険物の取り扱いに関するルールを定め、火災の原因となる行為を未然に防ぎます。
防火管理者が必要な「防火対象物」とは?
防火管理者を選任しなければならない建物は、消防法で定められた「防火対象物」のうち、一定の規模や用途に該当するものです。
防火対象物は、不特定多数の人が出入りする特定防火対象物と、主に特定の関係者が利用する非特定防火対象物の2つに大別されます。
特定防火対象物\<br>(不特定多数が利用) | 非特定防火対象物\<br>(主に特定の人が利用) | |
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対象となる建物 | 映画館、ホテル、病院、飲食店、百貨店など | 事務所、共同住宅、工場、学校、倉庫など |
選任が必要な 収容人員 | 30人以上 | 50人以上 |
防火管理者の 種類 | 収容人員300人以上の場合は甲種、それ以外は甲種または乙種 | 収容人員300人以上の場合は甲種、それ以外は甲種または乙種 |
防火管理者の選任を怠った場合、罰則が科される可能性があります。ご自身の管理する建物が防火管理者の選任義務に該当するかどうかは、管轄の消防署に確認することをお勧めします。