Last Updated on 2025年8月7日 by 勝
目次
テレワークにかかる費用負担の考え方
テレワークを導入する際、会社と従業員の費用負担のルールを明確にすることは、トラブル防止のために非常に重要です。ここでは、主な費用項目と、それぞれの負担の考え方について解説します。
パソコン、周辺機器(初期費用)
- 考え方:業務のために必要なPCやモニター、ヘッドセットなどは、原則として会社が支給するのが一般的です。従業員の私物PCを使わせることもありますが、情報漏洩などのセキュリティリスクが高まるため、会社支給を推奨します。
- ポイント:
- オフィスで使用している備品をそのまま持ち帰って利用する、という方法も検討できます。
- 会社が備品を支給することで、セキュリティ対策も一元管理できます。
通信費、電気代(ランニングコスト)
- 考え方:自宅のWi-Fi通信設備や照明器具、パソコン用の電源等を業務に使うことになります。普段は家にいない人が家にいることになるので、夏場のエアコンや冬場の暖房費は想定外に多くなるかもしれません。それらの費用を正確に算出しようとすれば計算が大変煩雑になります。そのため、多くの企業では、実費精算ではなく、これらの費用をまとめて「テレワーク手当」として定額を支給する方法を採用しています。この方法が、管理がシンプルで、従業員の公平感も保ちやすいからです。
- 手当の金額目安:通信費や電気代、燃料代など、業務で増加するコストを想定して算出します。
- 注意点:
- この手当は、給与として扱われる可能性が高いため、所得税や社会保険料の算定対象となることがあります。(要:税理士相談)
- 支給額を決定する際は、この点を踏まえて検討する必要があります。
3. 家具(机・椅子など)の費用
- 考え方:従業員が自宅にある家具を使用する場合は、特に会社からの費用負担は生じないケースが多いです。しかし、健康面への配慮から、オフィスチェアやデスクを会社が提供する、または購入費用の一部を補助する制度を設ける企業も増えています。
- ポイント:
- 従業員が快適に働ける環境を整えることは、生産性向上にもつながります。
4. 外部の作業場所を利用する費用
- 考え方:住宅環境あるいは個別事情によって、自宅で業務を行うのが困難な場合もあります。その場合、コワーキングスペースやサテライトオフィスなど、会社が指定する場所を業務のために利用することがありますが、その利用料は会社が負担するのが妥当です。
- ポイント:
- 事前に利用可能な場所や費用の上限などを明確に定めておきましょう。
5. 通勤手当
- 考え方:一時的臨時的なテレワークは別ですが、テレワークが通常体制になれば出社する日が減るため、通勤手当は見直す必要があります。定期券の支給を停止し、実際に出社した日のみの交通費を実費精算する方法が、最も公平で無駄がない方法です。
- ポイント:
- 就業規則に、テレワーク時の通勤手当に関する規定を明確に記載し、従業員に周知することが不可欠です。
ルール策定のポイント
テレワークにおける費用負担については、以下の点を就業規則に明記することが最も重要です。
- 費用負担の項目ごとに、会社と従業員の負担範囲を明確にする。
- ランニングコストは「テレワーク手当」として定額を支給する。
- 通勤手当は、テレワーク日数を考慮した実費精算に切り替える。
これらのルールを定めることで、従業員が安心してテレワークに取り組める環境を整えることができます。