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テレワークを導入する企業が準備することと実施上の注意点

Last Updated on 2025年8月6日 by

テレワーク(在宅勤務)を導入したい会社が、導入をスムーズに進めるために、準備すべきこと、スケジュール、注意点をまとめて解説します。

テレワーク導入準備

テレワーク導入までに準備すべきこと

テレワークを円滑に開始するためには、以下の3つの側面から準備を進める必要があります。

環境面の準備

通信環境: 従業員の自宅に安定したインターネット回線があるかを確認します。必要に応じて、モバイルWi-Fiルーターの貸与なども検討します。

PC・周辺機器: 社用のノートPCを貸与するのが基本です。在宅勤務での作業効率を上げるために、Webカメラ、ヘッドセット、モニター、マウスなどの貸与も考慮しましょう。

セキュリティ対策: 会社支給のPCには、ウイルス対策ソフトの導入、PCのロック機能(パスワード設定)、リモートアクセス時のVPN(仮想プライベートネットワーク)設定を徹底します。

作業スペースの確保: 従業員が自宅で業務に集中できる、適切な作業スペースを確保できているか確認します。

制度面の準備

就業規則の改定: テレワーク勤務に関する規定を就業規則に追加します。具体的には、対象者の範囲、勤務時間、休憩時間、勤怠管理の方法、費用負担(電気代・通信費など)について定めます。

テレワークにかかる費用を会社はどのくらい負担すればよいか?

勤怠管理の方法: タイムカードに代わる勤怠管理システム(勤怠管理アプリやクラウド型システム)を導入し、正確な労働時間を把握できるようにします。

人事評価制度の見直し: 業務プロセスを可視化し、成果を重視した評価制度への見直しを検討します。

費用負担: テレワークにかかる費用(通信費、光熱費など)のルールを明確にし、就業規則に記載します。

運用面の準備

コミュニケーションツール: 社内連絡や情報共有のために、チャットツール(Slack、Teamsなど)、Web会議ツール(Zoom、Google Meetなど)を導入します。

情報共有体制: 紙ベースでの書類管理から脱却し、クラウドストレージ(Google Drive、OneDriveなど)を活用した情報共有体制を構築します。

教育・研修: テレワークで働く従業員向けに、ツールの使い方やセキュリティ意識を高めるための研修を実施します。

準備のスケジュール(3ヶ月モデル)

導入までに3ヶ月程度の期間を見込むと、スムーズに進められます。

期間実施内容
1ヶ月目計画・調査フェーズ・テレワーク導入の目的と目標を明確化・対象者の選定とヒアリング(自宅の環境など)・必要な備品やツールの洗い出し・就業規則の見直し、規程の作成に着手
2ヶ月目準備・整備フェーズ・就業規則の改定と社内周知・必要なPC、周辺機器、ツールの購入・設定・勤怠管理システムやコミュニケーションツールの選定・導入・セキュリティ対策の実施(VPN、ウイルス対策ソフトなど)
3ヶ月目試験運用フェーズ・対象者向けにテレワークに関する研修を実施・少人数で試験的にテレワークを開始・運用上の課題や問題点を洗い出し、改善・本格導入に向けた最終調整

テレワーク導入時の注意点

コミュニケーション不足: 在宅勤務では、対面での何気ない会話が減り、コミュニケーション不足に陥りがちです。定期的なオンラインミーティングの実施や、雑談用のチャットチャンネルを設けるなど、意識的なコミュニケーションの機会を作りましょう。

情報セキュリティ: 紙の書類を自宅に持ち帰らない、私用PCを使わない、会社の機密情報を共有ツール以外で扱わないなど、情報漏えいを防ぐためのルールを厳格に定めます。

労働時間の管理: テレワークでは、従業員が働きすぎたり、逆にサボってしまったりする懸念があります。勤怠管理を徹底するとともに、適度な休憩を促すなど、従業員の健康管理にも配慮しましょう。

不公平感の解消: テレワーク導入の対象が一部の従業員に限られる場合、不公平感が生じることがあります。対象者の選定基準を明確にし、社内で丁寧に説明することが重要です。

これらの準備と注意点を踏まえることで、従業員が安心して働けるテレワーク環境を構築できるはずです。まずは、対象者となる従業員と密にコミュニケーションを取りながら進めていくことをお勧めします。


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