Last Updated on 2025年8月6日 by 勝
クラウド業務ソフトの基本的な説明と、事務所に導入することのメリットを分かりやすく解説します。
あわせて、給与計算や確定申告といった人事・労務・経理系の業務ソフトがクラウド化された時期と、現在の代表的なクラウド業務ソフトの種類・製品について整理してご説明します。
目次
クラウド業務ソフトとは?
クラウド業務ソフトとは、インターネットを通じて利用する業務用ソフトウェアのことです。
従来のようにPCにソフトをインストールするのではなく、Webブラウザからアクセスし、クラウド上のサーバーにあるソフトを利用します。
経理・会計、給与計算、勤怠管理、労務管理、販売管理、顧客管理(CRM)、税務申告など、ほぼすべての業務に対応するクラウド型ソフトがあります。
クラウド業務ソフトの普及時期
初期(2007年〜2012年ごろ)
- 2007年:「弥生会計オンライン」など、PCインストール型のソフトがクラウド対応を一部始めた。
- 2012年ごろ: freee や マネーフォワード など、完全クラウド型の会計ソフトが登場。
- この頃から中小企業・個人事業主を中心に、クラウドソフトの利用が広まり始めた。
本格普及(2015年〜)
- スマートフォンやタブレットでも操作可能なクラウド業務ソフトが増加。
- マイナンバー制度(2016年施行)の導入により、個人情報の安全な管理が求められ、クラウド対応が急速に進んだ。
- 特に、freee、マネーフォワード、弥生、SmartHR などが台頭。
事務所にクラウド業務ソフトを導入するメリット
① 場所を問わず仕事ができる
- 自宅・出張先・サテライトオフィスなど、どこからでもアクセス可能
- テレワークや営業担当のモバイルワークにも対応しやすい
② 法改正にすぐ対応
- 社会保険料率や税制、電子帳簿保存法などの改正にも自動でアップデート対応
- 法令遵守(コンプライアンス)に強くなる
③ バックアップ・セキュリティが強固
- クラウドベンダーが自動でデータを複数拠点にバックアップ
- 専門的なセキュリティ対策が施されており、自社でのサーバー管理が不要
④ 複数人で同時に作業できる
- 経理・人事・上司など、複数担当者がリアルタイムにデータを共有・更新可能
- 申請・承認の流れもスムーズに
⑤ システム保守・管理の手間が減る
- ソフトのインストール・更新・バグ修正などが不要
- IT部門や外注管理の負担が軽減
⑥ コスト管理がしやすい
- 月額・年額でのサブスクリプション方式
- 初期投資を抑えて導入でき、不要になれば解約も可能
導入をおすすめするケース
- ✅ テレワークや外勤が多い
- ✅ 給与や人事、経理の手作業が多く属人化している
- ✅ システム更新・保守の負担が大きい
- ✅ 拠点が複数あり、情報を一元管理したい
- ✅ 法改正のたびにマニュアル対応が大変
代表的クラウド業務ソフト
以下の各業務分野についてクラウド業務ソフトを3つずつ紹介します。ほかにも優れたクラウド業務ソフトがたくさんあります。
【1】人事・労務管理システム
入社手続き、雇用契約、労務管理、年末調整などをクラウドで完結。
ソフト名 | 特徴 | 評判・おすすめポイント |
---|---|---|
SmartHR | 入退社手続、雇用契約、年末調整をWebで完結 | UIが非常に分かりやすく、サポートが丁寧。法改正対応が迅速。 |
jinjer人事 | 組織管理、従業員データの一元化に強い | 人事管理機能に特化。グループウェア的な利用も可能。 |
マネーフォワードクラウド人事管理 | 給与や勤怠と同一基盤で連携可能 | 他のマネーフォワード製品との統合管理が可能で効率的。 |
【2】給与計算ソフト
毎月の給与計算、賞与、社会保険料、年末調整まで一元管理可能。従業員のマイページから明細確認も。
ソフト名 | 特徴 | 評判・おすすめポイント |
---|---|---|
マネーフォワードクラウド給与 | 勤怠・人事と連携して計算を自動化 | 会計との親和性が高く、経理部門とも連携しやすい。 |
freee人事労務(給与計算機能含む) | オールインワン型の給与+労務 | 非会計職でも扱いやすいシンプル設計。 |
jinjer給与 | jinjer勤怠・人事との連携が前提 | システム統一でコストパフォーマンスが高い。使いやすい設計。 |
【3】勤怠管理システム
打刻から勤怠集計まで。給与計算や労務ソフトと連携。スマホ打刻・ICカード対応。
ソフト名 | 特徴 | 評判・おすすめポイント |
---|---|---|
KING OF TIME | 国内最大手、打刻方法の選択肢が豊富 | 100人以上でも安定稼働。機能の拡張性が高い。 |
ジョブカン勤怠管理 | シンプル操作で多機能。コストも抑えめ | 中小〜中堅企業に人気。導入しやすさが強み。 |
jinjer勤怠 | 人事・給与と連携しやすい | 勤怠の他、工数管理・残業管理も標準対応。デザイン性も高評価。 |
【4】会計・経理ソフト
仕訳・帳簿作成・決算書の自動化。会計事務所との共有も容易。
ソフト名 | 特徴 | 評判・おすすめポイント |
---|---|---|
マネーフォワードクラウド会計 | 自動仕訳・決算書作成・銀行連携 | 中堅企業にも対応可能な柔軟性と操作性。 |
freee会計 | 簿記知識がなくても直感操作 | ベンチャー・新興企業に強み。視覚的にわかりやすいUI。 |
弥生会計 オンライン(クラウド) | 会計処理の自由度が高く、慣れている人向け | 会計事務所との親和性が非常に高い。 |
【5】税務申告・年末調整サポート
青色・白色申告に対応。銀行口座やクレカと自動連携し、帳簿作成を効率化。e-Tax対応。
ソフト名 | 特徴 | 評判・おすすめポイント |
---|---|---|
MagicTax(マジックタックス) | 法人税・消費税申告書を自動作成 | 会計ソフトと連携し、税務申告を効率化。税理士との共有も可。 |
A-SaaS(エーサース) | 会計事務所向けのクラウド型税務ソフト | 会計士・税理士の利用も多く、外部連携に強い。 |
達人シリーズ(NTTデータ)オンプレ/クラウド混在 | 信頼性高く、税理士事務所にも浸透 | クラウド対応も進んでおり、法定調書・申告ソフトの定番。 |
【6】オールインワン型(総合パッケージ)
ソフト名 | 特徴 | 評判・おすすめポイント |
---|---|---|
freee for ビジネス | 会計・給与・人事・勤怠すべて一元管理 | バックオフィス全体を効率化。中小〜中堅企業にも対応。 |
マネーフォワードクラウド(スイート) | 各機能がモジュール型で連携自在 | 必要な分だけ導入可能。会社の成長に合わせて拡張できる。 |
jinjerシリーズ(統合) | 人事・勤怠・給与を一つの画面で管理 | 一体感のある操作性とUI。モバイル対応も良好。 |
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