Last Updated on 2025年8月23日 by 勝
電子契約書とは
電子契約書は「紙の契約書をデジタルで完結させたもの」です。契約書を書面印刷・署名・押印して取り交わす代わりに、インターネット上で契約を交わす仕組みです。通常は電子契約サービスを提供する会社と契約してシステムを利用します。
電子契約書のメリット
- 印紙税が不要
- 紙の契約書に必要な印紙代が不要になるのでコストが削減できます。
- スピードが早い
- 押印・郵送・押印・郵送のやり取りが不要になります。メール通知だけで作業がすすみます。
- 業務効率化
- 契約締結から保存までオンラインで完結します。外出先や在宅勤務中でも対応可能です。
- 改ざん防止・証拠力確保
- 電子署名やタイムスタンプで「誰が・いつ署名したか」が記録されます。
- 契約書の保管・検索が容易
- 契約書がクラウドで整理・検索でき、紙ファイルの保管スペースが不要になります。
- 環境にやさしい
- 紙・印刷が不要になるためエコです。
電子契約書のデメリット
- 相手先の同意が必要
- すべての取引先が電子契約に対応しているわけではありません。導入時は「当社は電子契約を基本としますが、ご希望があれば紙契約も対応します」と案内しておくとスムーズです。
- システム利用料が発生
- 電子契約サービスの月額費用や送信料がかかります。
- ITリテラシーの差
- 相手が操作に慣れていないと、手続きが渋滞することがあります。
- 保存ルールに注意
- 税務上の保存は「電子帳簿保存法」に則る必要あります。社内の運用ルール整備が必要です。
- 電気・ネット環境への依存
- 停電やシステム障害時にアクセスできないリスクがあります。
電子契約サービスを利用する
電子契約を導入するには、通常は電子契約サービスを提供する会社と契約してそこのサービスを利用します。
電子契約サービスの提供会社は多数あります。それぞれが契約書作成から署名・送信・管理までクラウド上で完結する利便性を提供しています。
クラウドサイン、電子印鑑GMOサイン、契約大臣、freeeサイン、SMBCクラウドサイン、Dropbox Sign、Adobe Acrobat Signなどがあります。
電子契約サービスの機能
- 契約書アップロード:PDFやWordなどで作成した書類をアップロードしてプロセスをスタートします。
- 電子署名・タイムスタンプの付与:改ざん防止など、法的証拠力が確保されます
- 相手先への送信・署名依頼:メールリンクなどを通じ、相手は簡単に署名可能です。
- 契約書の保管・管理・検索:テンプレート管理やワークフロー対応のケースもあります。
- 法令対応:電子署名法や電子帳簿保存法への準拠を備えているサービスが多いです。
電子契約サービスを利用する手順の例
当方の操作
- 契約書を用意
WordやPDFで契約書を作成し、パソコンに保存しておきます。 - 電子契約サービスにログイン
クラウドサインやDocuSignなどのサービスにアクセスし、自分のアカウントでログインします。 - 新しい契約を作成
サービスの画面で「新規契約」や「契約書を送る」といったボタンをクリックします。 - 契約書ファイルをアップロード
「ファイルを選択」ボタンを押し、パソコンに保存してある契約書PDFを選んで登録します。これが「アップロード」の操作です。つまり「アップロード」とは、紙の契約書を印刷・郵送する代わりに、PDFファイルを契約サービスのシステムに取り込む操作のことです。 - 署名してもらう相手を指定
相手先のメールアドレスを入力します。 - 署名位置を設定(サービスによっては不要)
契約書のどこに署名や押印を入れるかをマウスで指定します。 - 送信ボタンを押す
相手に「契約の確認依頼メール」が届きます。
相手側の操作
- メールのリンクを開き、契約内容を確認します。
- 「同意」「署名」ボタンをクリックします。
- これで契約成立です。双方の署名入りPDFが保存されます。
電子契約サービスは必須か
結論からいうと、電子契約サービスの会社を必ず使わないと電子契約できないわけではありません。
契約は「申込み」と「承諾」の合意があれば成立するので、メールで「この条件で契約します」と双方がやり取りするだけでも契約は成立 します。
ただし実務では、以下の理由で専用サービスの利用が安心・便利とされています。
- 本人確認が難しい
メールやPDFのやり取りだけだと「本当に本人が承諾したのか?」と後で争われる可能性があります。 - 改ざん防止
PDFはあとから書き換え可能です。専用サービスは「タイムスタンプ」「電子署名」で改ざんを防止できます。 - 保存・管理のしやすさ
送った契約書をクラウド上で一元管理できます。
少額の取引や信頼関係がある相手なら、メールやPDFのやりとりだけで取引する場合があります。しかし、契約書や覚書を取り交わすような重要な取引では、証拠力を確保するために電子契約サービスを使うのが一般的です。
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