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人事情報などの機密情報へのアクセス制限について解説

Last Updated on 2025年8月10日 by

賃金台帳などの機密性が高い資料へのアクセス制限は、複数の方法を組み合わせて行われます。主な方法として、従業員の権限に応じたアクセス制限、端末の制限、認証方法の強化などがあります。

従業員の権限に応じたアクセス制限

これは最も基本的な方法です。従業員を役割や職務に応じてランク付けし、アクセスできる情報の範囲を厳密に定めます。

職務に応じた権限設定: 賃金台帳や労働者名簿には、給与計算や人事管理を行う担当者のみがアクセスできるようにします。一般の従業員や、それ以外の部署の管理職は、原則として閲覧できないように設定します。

「職務権限表」の作成: 誰がどの情報にアクセスできるか、書面や電子データで明確に定めた「職務権限表」を作成・運用することで、アクセス権限を管理します。

接続できる端末の制限

特定の端末やネットワークからのみアクセスを許可する方法です。これにより、不正な端末からの情報漏洩リスクを減らします。

IPアドレス制限: 社内の特定のネットワーク(例:経理部のLAN)に接続された端末からのみ、賃金台帳のデータベースにアクセスできるように設定します。

デバイス認証: 会社が許可した特定のPCやタブレット端末でなければ、クラウドサービスにログインできないように設定します。これにより、個人のPCやスマートフォンからのアクセスを制限できます。

認証方法の強化

パスワードに加えて、複数の認証要素を組み合わせることでセキュリティを強化します。

二段階認証(Two-Factor Authentication, 2FA): IDとパスワードに加えて、登録済みのスマートフォンに届くワンタイムパスワードや、生体認証(指紋・顔認証)を併用してログインする方法です。

シングルサインオン(SSO): 複数のクラウドサービスを、一度のログインで利用できるようにする仕組みですが、高度な認証と組み合わせることでセキュリティを維持しつつ利便性を高めることができます。

これらの方法は、単独ではなく複数組み合わせて実施することで、より強固なアクセス制限を構築できます。たとえば、「人事部の担当者(権限設定)が、会社のPC(端末制限)から、二段階認証で(認証強化)、賃金台帳にアクセスする」といった運用が一般的です。

多くのクラウドサービスが対応しているアクセス制限

一般的なクラウドサービスは、ほとんどが多種類のアクセス制限に対応しています。特に、ビジネス向けに提供されているクラウドサービスでは、高度なセキュリティ機能が標準装備されていることが多いです。

権限管理

多くのクラウドサービスは、ユーザーごとに役割(ロール)を設定できます。たとえば、「管理者」「編集者」「閲覧者」といった役割を割り当て、賃金台帳のような機密性の高いファイルには、人事担当者のみがアクセスできる「人事管理者」ロールを付与するといった運用が可能です。

IPアドレス制限

特定のオフィスやネットワークからのアクセスのみを許可するIPアドレス制限も、多くのサービスで利用できます。これにより、社外からの不正なアクセスを防ぐことができます。

二段階認証(多要素認証)

パスワードに加え、スマートフォンアプリやメールに送信されるワンタイムパスワードなど、複数の認証要素を組み合わせる多要素認証(MFA)は、セキュリティ強化の基本として広く普及しています。多くのクラウドサービスでこの機能が提供されています。

ただし、これらの機能が標準で含まれているかどうかは、利用しているクラウドサービスのプランや契約内容によって異なります。無料プランや個人向けプランでは、利用できる機能が限定されている場合があるため、機密性の高い情報を扱う場合は、法人向けの高セキュリティなプランを選択する必要があるかもしれません。

導入前には、利用を検討しているサービスが、自社の求めるアクセス制限に対応しているか、機能リストやサポート窓口で確認することをお勧めします。


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