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文書の管理

文書管理のあらまし

Last Updated on 2023年10月22日 by

文書管理とは

文書管理とは、文字通り、社内の様々な文書の管理をすることです。ただ書類を保管しておけばいいのではなく、文書の作成から活用・伝達、保存、破棄までの流れ、つまり、文書のライフサイクルに沿って適切に管理することをいいます。

管理の対象となる文書は、紙だけでなく電子データもあります。

文書管理の目的

コンプライアンスの強化

適切な文書管理を実施することによってコンプライアンスを強化することができます。会社は法律等に基づいて、機密情報や個人情報などの守秘義務のある文書を適切に管理することが求められています。

文書管理を適切に行えば文書の保管場所や閲覧者などが明確になるので、情報漏洩を防ぐことができ、会社の信頼喪失や損害賠償責任、場合によっては刑事罰が科せられるリスクを現象させることができます。

業務の効率化

文書管理ができていない場合、文書を探す手間がかかることで無駄な時間がかかったり、重要な文書を紛失してしまう可能性が高まります。

日常業務の中で書類を探すことに費やしている時間は、一日のなかではわずかな時間でも、年間合計すれば相当な時間になり、全従業員の時間を足せば膨大な時間になるといわれています。

適切な文書管理によって探す時間がすくなくなれば、大きな業務効率化が達成できます。

また、あるべき場所に文書が保管されていることで、必要な人がすぐに閲覧できることは、情報の有効活用ができるということでもあります。

文書管理規程を作る

文書管理規程に盛り込むべき事項は次のとおりです。

適用範囲
文書管理規程がどのような文書を対象としているのかを定めます。基本的には会社で扱う文書すべてに適用することが望ましいのですが、会社によっては、重要文書のみ、あるいは特定部署のみなどに限定して文書管理をスタートさせることもあります。

文書の定義
紙の資料のみが対象なのか、データ化されたものも含むのかを決めて文書を定義づけます。

責任部署
文書管理について責任を持つ部署を定めます。一般的には総務などの管理部門が責任部署になります。

アクセス権
アクセス権は重要です。紙で保管している場合は倉庫やキャビネットの施錠管理、データとして保管している場合はフォルダへのアクセス権をです。

禁止事項
文書管理は、文書漏えいなどの不正を防止する目的もあります。厳重な管理が必要な文書を乱雑に扱ったり、持ち出したりすることを禁止しておく必要があります。

保存ルール
文書をどこにどのように保管するのか定めます。データ化された文書については、社内サーバーに保管するのかクラウドを利用するのかも決めます。

文書の保存期間
法令で保存期間が定められている文書についてはそれに従い、それ以外の文書も内容に応じて適切な保存期間を設定しましょう。
書類の保存期間

廃棄ルール
保存期間を終えた文書の廃棄方法について定めます。書類によって裁断や溶解処理を指定します。データ化された文書についても確実な廃棄方法を定めておきます。

罰則
文書管理規程に違反した場合の罰則についても定めます。ルールを決めた以上は罰則も必要です。

文書管理規程のサンプル

文書管理の方法

文書を分類する

文書の分類を決める必要があります。

一つは重要度による分類です。「機密」「重要」「一般」などの区分を作りましょう。

次に分野別の分類です。「人事」「営業」などの大分類、「顧客別」などの中分類などを設定します。

これらの分類設定は、会社の規模や実情にあわせて行いましょう。最初から緻密にやろうとするとうまく行きません。

分類を決めて、会社にある全ての文書に分類が設定できるようにします。例えば、労働者名簿は、「機密」と「人事」のラベルがつきます。文書を分類すると管理しやすいことはもちろん、検索もしやすくなるので業務を効率化できます。

ファイリングシステムを採用する

ファイリングシステムの活用は文書管理の基本と言えます。いくつかの方法があります。

バインダー方式は、バインダーや紙ファイルに書類を綴じる方式です。日常的にバインダーに綴じていけば、自然に文書の種類別の管理ができます。また、背表紙に年度を記載することで年度別管理も容易です。

背表紙が見える棚に保管すると一覧性があって便利ですが、かさばるので、規模の大きい会社だと保管スペースの問題が出て来ます。

バーティカル方式は、書類を種類ごとにフォルダーにはさんで、キャビネットやファイリングボックスに垂直に保管する方式です。書類を綴じないので出し入れしやすいのがメリットですが、書類を紛失しやすいこと、紛失しても長期間気付かないのがデメリットです。

システムツールを活用する

文書管理システムとは文書を電子化して管理する仕組みです。

紙文書での文書管理には文書の紛失の防止やセキュリティの強化、情報入手のスピード化には限界があります。

電子化すれば、デジタル上でスピーディーに処理できます。ペーパーレス化も実現可能です。

文書管理システムにはおもに以下のような機能があります。

・検索・閲覧機能
・アクセス権限管理などのセキュリティ機能(万が一情報が漏洩しても誰がいつ参照したのか履歴が残るため、容易に追跡することができる)
・文書の暗号化機能(盗難や改ざんに対応できます。)
・バックアップ機能(事故や災害が起きても文書を復元し、速やかに業務復旧させることができます。)
・保管期限、更新日の管理機能(破棄を自動化することもできます。)
・書類の申請・承認などワークフロー機能

文書管理の効果

・書類紛失のリスクを軽減できる
・業務の透明性を確保できる
・情報の共有化ができる
・情報入手がスピードアップする
・保管スペースを大幅に削減できる
・印刷コストを削減できる

ただし、社員個人が文書を整理して使いやすくするだけでは不十分です。企業全体に文書管理を取り入れることで大きな成果が期待できます

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類を電子データ等により、保存する方法について定めた法律です。2022年度に一部の要件が緩和されたことで、データ保管できる重要書類が増えました。

e-文書法と電子帳簿保存法


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