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この書類、いつまでとっておく?知っておきたい法定保存期間ガイド

Last Updated on 2025年8月7日 by

「あれ、この書類、もう捨てていいのかな?」

オフィスの書類棚や自宅の引き出しを整理していると、ふとそんな疑問にぶつかることはありませんか?

法律で定められた保存期間があることを知らずに捨ててしまい、後で困ったことになったら大変です。

かといって、何年も前の書類をただ保管し続けるのもスペースの無駄になってしまいます。

今回は、ビジネスや日常生活でよく目にする書類の法定保存期間と、その起算日(いつからカウントが始まるか)について、わかりやすく解説します。

保存期間一覧表

法律で保存期間が決められている書類があります。このページは書類の保存期間の一覧です。

保存期間書類名
永久定款
登記関係書類
10年【会社法】
「会計帳簿」など
仕訳帳、総勘定元帳、貸借対照表など
「営業に関する重要な書類」 株主名簿、株主総会議事録など
他に、その会社にとって重要な書類
7年【法人税法、所得税法】
仕訳帳、総勘定元帳、貸借対照表など、決算に関して作成された書類
(上記の帳簿は、税法では7年ですが、会社法により10年の保存が義務付けられています。ご注意下さい。)
注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などの書類
【国税通則法】
給与所得者の扶養控除等異動申告書等
源泉徴収簿
5年【労働安全衛生法】
一般並びに特殊健康診断の個人票(但し、製造許可対象物質等(特別管理物質)の製造・取扱業務従事者の健康診断記録は30年)
【労働基準法】
労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類は5年間保存。ただし、賃金請求権の消滅時効期間に合わせて経過措置が設けられており、当分の間3年。
4年【雇用保険法】
雇用保険被保険者に関する書類
3年【労働基準法】
労働者名簿
賃金台帳
雇入、解雇に関する書類(労働条件通知書、解雇予告通知書等)
災害補償に関する書類
賃金に関する重要な書類
労働時間に関する書類(タイムカード等)
労働基準法に基づく労使協定
衛生委員会議事録
労働基準法関係の書類保存期間は経過期間後に5年に延長されます。
【労働保険の保険料の徴収等に関する法律】
労働保険料徴収に関する書類(雇用保険被保険者関する書類は4年)
【労働者災害補償保険法】
労災保険に関する書類(完結の日から起算)
【労働安全衛生法】
特別教育の記録(但し、雇入時教育及び職長教育に関する記録の保存規定は無い)
安全委員会、衛生委員会の記録
作業環境測定の記録、並びに作業環境測定結果の評価の記録(但し、原則3年、放射線5年、粉じん7年、ベリリウム等30年、石綿40年)
【労働者派遣法】
派遣元管理台帳
派遣先管理台帳
2年【健康保険法】
健康保険に関する書類
【厚生年金法】
厚生年金保険に関する書類
【雇用保険法】
雇用保険に関する書類(被保険者に関する書類は4年)
書類保存期間一覧表

書類保存について知っておきたいこと

なぜ書類は何年も保存しなければならないの?

書類の保存は主に以下の目的があります。法律で保存期間が定められている書類があるので注意しなければなりません。

  • 取引の証明: 商取引や契約内容を証明するために必要となります。
  • 税務調査への対応: 税務署から提出を求められた際に、正確な帳簿や証憑書類を提示できるようにするためです。法律で保存期間が定められています。
  • 労働基準法、労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、その他公的な手続きで作成した書類は法律で保存期間が定められています。
  • トラブル発生時の証拠: 顧客や取引先との間でトラブルが発生した場合、事実関係を証明する重要な証拠となります。

代表的な書類の保存期間と起算日

それでは、具体的な書類の保存期間を見ていきましょう。

1. 税務関係書類

税務関係の書類は、会社の規模や事業内容に関わらず、非常に重要です。

  • 帳簿(仕訳帳、総勘定元帳など): 7年間
  • 決算関係書類(貸借対照表、損益計算書など): 7年間
  • 現金預金取引等関係書類(領収書、請求書、契約書、預金通帳など): 7年間

2. 会社法関係書類

会社法では、会社の運営に関わる重要な書類の保存期間が定められています。

  • 計算書類(貸借対照表、損益計算書など)および事業報告: 10年間
  • 株主総会議事録、取締役会議事録: 10年間

決算関係書類については、税務関係と会社法で保存期間が異なるため、長い方の10年間で保存しておくのが安全です。

3. 労働関係書類

従業員の雇用や労働条件に関わる書類も、法律で厳格に定められています。

  • 労働者名簿、賃金台帳、雇入れ、解雇、退職に関する書類: 5年間
  • タイムカード、残業命令書などの記録: 5年間

起算日は従業員の退職日、死亡日、解雇の日からとなります。賃金台帳や労働時間に関する書類は、最後の記載がなされた日からとなります。

4. その他の書類

  • 契約書:
    • 金銭消費貸借契約書など: 債権の消滅時効(5年または10年)を考慮して保管する必要があります。時効が成立しても、後から紛争になる可能性を考慮し、契約終了後5〜10年程度の保管が望ましいとされています。
  • 医療費の領収書:
    • 医療費控除を受ける場合、申告期限から5年間は保管が必要です。
  • 不動産売買契約書:
    • 物件を所有している間、または売却後も一定期間(税務上の理由で5〜10年程度)の保管が推奨されます。

まとめ

書類の法定保存期間は、その書類の種類や目的によって様々です。

「この書類、いつまでとっておく?」と迷ったら、まずは以下のポイントを確認してみてください。

  1. 何の目的で保管する書類か?(税務、会社法、労働関係など)
  2. 保存期間は何年か?
  3. 起算日はいつか?

これらの情報を踏まえて、不要な書類は適切に処分し、必要な書類はきちんと整理して保管することで、オフィスも心もスッキリします。

もし判断に迷う書類があれば、専門家(税理士、弁護士など)に相談することをお勧めします。


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