論理的で説得力のある企画書・提案書を作成するためのテンプレート構成案をご提案します。
企画書・提案書系は、読み手を「説得」し「承認」を得ることを最大の目的とするため、論理展開と一貫性を重視した構成にすることが重要です。
企画書・提案書 テンプレート構成案
I. 表紙と基本情報(ヘッダー情報)
瞬時に内容と提案の重要度が把握できるように、簡潔に記載します。
項目 | 記載内容のルール | 記載例 |
タイトル | 提案のゴール(何をしたいか)と対象を簡潔に記載。 | 【新規顧客開拓】デジタルリード獲得施策 提案書 |
提出先 | 提案を承認する決裁者または部門名。 | 〇〇取締役 / 営業統括部 |
提出日 | 提出する日付(YYYY/MM/DD)。 | 2025/10/10 |
作成者/作成部門 | 提案責任者と所属部門。 | 企画開発部 田中 太郎 |
文書番号 | 規定の採番ルールに従う。 | MKT-PRP-0012 |
エグゼクティブ・サマリー
- 目的: 忙しい決裁者が最初に読む部分です。この提案の最も重要な情報を1ページにまとめ、提案全体の合意を得るための基礎を作ります。
- 記載内容(以下の3点を強調):
- 提案の結論(What): この提案で何を達成したいか。
- (例:新製品Aの市場シェアを3ヶ月で10%獲得する。)
- 提案の根拠(Why): なぜそれを今すぐやる必要があるのか(解決すべき課題)。
- (例:既存事業の売上が頭打ちになっているため。)
- 期待される効果(Benefit): 提案によって得られる最大のメリット(費用対効果)。
- (例:年間売上〇〇百万円の増加と、ブランドイメージの向上。)
- 提案の結論(What): この提案で何を達成したいか。
現状の分析と課題
- 目的: なぜこの提案が必要なのか、その背景と根拠を示す。読み手に「確かに問題だ」と認識させるための最重要セクションです。
現状分析
- 市場動向、競合状況、自社の既存ビジネスの現状などを、データや事実(ファクト)に基づいて客観的に説明します。
- (例:当社の顧客満足度は業界平均を上回っているが、リード獲得コストが年々20%増加している。)
課題の特定
- 現状分析の結果、解決すべき具体的な問題点(課題)を明確に定義します。
- (例:課題1:リード獲得コストの上昇。課題2:競合他社と比較してデジタルマーケティング投資が遅れていることによる機会損失。)
提案内容
- 目的: 特定した課題を解決するための具体的な方法と実行計画を示す。
提案のコンセプト・概要
- 提案の核となる考え方や、全体像を簡潔な図やキャッチフレーズで表現します。
- (例:課題の解決には「既存顧客のリピート率向上」と「新規リードの低コスト化」の二軸での施策が必要です。)
具体的な施策とアクションプラン
- 課題ごとに、具体的にどのようなアクションを実行するかを詳細に記述します。
- (例:施策A:ウェブサイトのリニューアル(UI/UX改善)。施策B:インサイドセールス部門の強化とツールの導入。)
体制図と役割分担
- 提案の実行に関わるメンバー、責任者、部門間の連携を図で示します。
計画と評価
- 目的: 提案実行のスケジュール、必要なリソース(費用)、「成功」の定義を明確にする。
スケジュール
- フェーズごとに、具体的なマイルストーン(節目)と完了予定日を示します。
- (例:フェーズ1:準備期間(1ヶ月)、フェーズ2:実行期間(3ヶ月))
予算と費用対効果
- 提案実行に必要な総費用と、その内訳(人件費、外注費、ツール費用など)を明確にします。
項目 | 費用(単位:万円) | 備考 |
システム導入費 | 500 | ライセンス費用含む |
外部コンサルティング費 | 300 | 初期設定・トレーニング費用 |
合計 | 800 |
評価指標
- 提案が成功したと判断するための具体的な指標と目標値を設定します。
- KGI(最終目標): 年間売上10%増
- KPI(中間指標): 契約リード数〇〇件/月、ウェブサイト訪問者数〇〇人/月
リスクと対応策
- 提案実行中に発生しうるリスクとその対応策を事前に示し、提案の実現性を高めます。
- (例:リスク:主要メンバーの離脱。対応策:代替要員の確保と業務マニュアルの作成。)
テンプレート活用のポイント
- 「Why→What→How」の論理展開を徹底:
- III章(課題)で「なぜやるべきか (Why)」を定義。
- IV章(提案)で「何をするか (What)」を提示。
- V章(計画)で「どうやって実現するか (How)」を具体化します。
- ビジュアルの活用: 図やグラフ、表を積極的に使用し、文字情報が多い企画書を読みやすく、視覚的に訴えるものにします。
- 提出先の視点: 提出先(決裁者)が最も関心を持つ「コスト」「スケジュール」「リターン(効果)」をV章で明確に、かつ迅速に理解できるように配置することが重要です。