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  • 退職者はどこまで引き継ぎをしなければならないか?

    引き継ぎ義務について

    法的な義務について

    労働基準法などの法律に「退職者は必ず引き継ぎをしなければならない」といった規定はありません。

    ただし、労働契約法3条4項にある「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。」という規定や、民法の信義誠実の原則から、退職時にも一定の範囲で誠実に対応する義務があると解されます。

    実務上は、多くの会社が就業規則等に「業務の引き継ぎを行うこと」と定めています。

    就業規則による拘束力

    就業規則に「退職に際しては業務の引き継ぎを誠実に行うこと」と定められていれば、労働者はこれに従う義務があります。

    ただし、退職は労働者の権利ですので、引き継ぎの不備を理由に退職を妨げることはできません。

    引き継ぎを一切行わず、会社に大きな損害や混乱を与えた場合には「職務怠慢」等として懲戒処分を検討する余地はあります。

    ただし、懲戒処分は退職日までにできることであり、退職後には処分できません。

    また、そもそも、会社が社員の業務を把握していれば引き継ぎも簡単に終わるはずなので、一方的に従業員の責任にすることはできません。「引き継ぎが不十分だった」という程度で重い処分を科すのは裁判例上も難しいでしょう。

    したがって「できる範囲で」ということが現実的な落としどころになります。

    退職後に判明した引き継ぎもれ

    退職後に業務上の引継ぎ義務は基本的にありません。退職日までの間は誠実に引き継ぐという一定の義務がありますが、退職後に呼び出されて追加対応をする義務まではありません。

    引き継ぎ書について

    引き継ぎ書の作成は、法的な義務ではありませんが、一般的に行われています。

    引き継ぎ書の基本的な構成

    引き継ぎ書に決まった書式はありませんが、一般的には以下の項目を含めると良いでしょう。

    1. 基本情報:書類のタイトル、作成日、作成者、引き継ぎ先(後任者)の名前など
    2. 業務一覧:担当している業務をリストアップします。
    3. 引き継ぎ内容:それぞれの業務について、具体的な進め方や注意点などを記載します。
    4. 資料・ファイル一覧:業務で使用している資料やファイルの保管場所、アクセス方法などを記載します。
    5. その他:引き継ぎに関する連絡先や、口頭での補足事項など

    各項目の具体的な内容

    1. 業務一覧

    まずは、担当しているすべての業務を洗い出しましょう。年間、月間、週間のルーティン業務や、イレギュラーな業務、進行中のプロジェクトなども忘れずにリストアップします。

    2. 詳細な引き継ぎ内容

    このセクションが最も重要です。「誰が見ても分かるように」を意識して、具体的に記載しましょう。

    • 業務の目的:なぜこの業務を行うのか、その意義や目的を伝えます。
    • 業務フロー:業務の開始から完了までの流れを順を追って説明します。
    • 使用ツール・システム:業務で使用するシステム名やソフト名、ログイン情報などを記載します。
    • キーパーソン:業務に関わる社内外の連絡先や担当者名を記載します。
    • 注意点・コツ:業務を進める上での注意点や、円滑に進めるためのコツなどを共有します。

    3. 資料・ファイル一覧

    業務で使用する資料やファイルの保管場所、アクセス方法を明確に示します。ファイル名やフォルダ名も具体的に記載すると後任者が探しやすいです。

    引き継ぎ書を書かなかったらどうなるか?

    法的な義務ではないため、引き継ぎ書を書かなかったからといって罰則はありません。

    しかし、引き継ぎが不十分だったために会社に大きな損害が出た場合、会社側が「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」違反を主張し、損害賠償を求めるケースは考えられます。

    ただし、実際に損害賠償が認められるケースは極めて稀で、相当な悪意や過失が認められない限り、会社が訴訟に踏み切ることはほとんどありません。

    退職日までに間に合わない場合

    引き継ぎは通常業務と並行して行うため、時間的に厳しいと感じる方も多いです。もし退職日までに引き継ぎが完了しそうにない場合は、早めに上司に相談しましょう。

    相談することで、引き継ぎ内容の優先順位を決めたり、周囲の協力を得られたりするなど、解決策が見つかるかもしれません。


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  • 社員が作ったプログラムの著作権は誰のものか?

    会社のもの

    社員が業務中に作成したプログラムの著作権は、原則として会社に帰属します。これは、著作権法における「職務著作」という制度によるもので、会社の指示で従業員が職務上作成したプログラムの場合、特別な定めがない限り、著作者は会社です。

    「特別な定め」というのは、就業規則や雇用契約書などで、著作物に関する権利は作成した当該従業員に帰属する旨を定めている場合です。めったにありません。

    退職したらどうなるか

    退職後も、会社に著作権があるので、作った当人であっても、ソースコードをそのままコピーしたり、構造や記述をそのまま流用した場合は著作権侵害になり得ます。

    とは言っても、次の会社でもプログラム作成の業務に携われば、前職で経験したプログラム経験を役立てることはあるでしょう。

    ここで注意しなければならない点を解説します。

    アイデアやノウハウの扱い

    著作権は、ソースコードや具体的な文章・画面デザインなどの表現を保護します。

    アイデア・アルゴリズム・業務上の知識そのものは著作権の対象外です。

    したがって、他社に移ってプログラムを書くときに、同じような発想で書いたとしても、別のコードでゼロから書き直すのであれば、著作権侵害にはあたらないとされています。

    コードのコピーはだめです。また、コピーしていなくても同一のものに見えるくらい類似していると疑いを持たれがちなので、注意が必要です。

    他に注意すべき点

    秘密保持義務と競業避止義務に注意が必要です。

    秘密保持義務(守秘義務)

    会社の業務上知り得た顧客情報や営業ノウハウを新しい会社で使うと、著作権ではなく「不正競争防止法」「秘密保持契約違反」などの問題になることがあります。

    競業避止義務

    就業規則や雇用契約で、退職後一定期間は同業で同じような業務をしないといった条項がある場合は、別途注意が必要です。


    会社事務入門事務処理のいろいろと事務処理の効率化>このページ

  • 産業医は会社の健康診断にどのように関与するのですか?

    産業医の健康診断への関与の範囲

    産業医は「診断そのものを行う」役割ではなく、健康診断の結果を踏まえた事後措置に関与することが中心です。

    準備段階での関与

    実施計画の相談

    健康診断の計画立案への助言: 事業場の特性(有害物質の有無、作業環境など)を考慮し、必要な検査項目の追加や、診断実施時期について事業者へ助言します。

    項目の確認

    健康診断の必須項目は法律で定められていますが、必要に応じて追加検査を助言することがあります。

    例:騒音作業のある工場 → 聴力検査の頻度や方法を助言

    実施段階での関与

    健診自体を診断する必要はなく、結果を基に就業上の措置の意見を述べる。

    産業医が健康診断を実施する場合もありますが、通常は健康診断は、健康診断を実施する医療機関で行います。産業医が自ら健診を行う義務はありません。

    実施後の関与

    異常所見があった場合

    産業医は、健康診断結果を確認し、異常所見がある労働者に対して、受診勧奨(専門医受診のすすめ)、生活習慣の改善指導などを助言します。

    事業主に対して就業上の措置に関する意見(労働時間短縮、配置転換、一時休養など)を述べます。

    産業医は「その労働者の主治医」ではなく、「事業場全体の健康管理を担う立場」です。したがって、自ら健康診断を行っていなくても、健診結果や医療機関からの情報をもとに、就業上の意見を述べることができます。

    例:「高血圧(要医療)」と出た → 産業医は「主治医の治療を受けつつ、一定期間は残業を減らすように」と事業者に意見する。

    例:「腰痛あり」と診断されている → 産業医は「重量物取り扱い作業から外す」よう事業者に助言する。

    実務上のイメージ

    健康診断の「診断」は健診医の役割です。

    産業医は「診断結果をもとに、職場で安全に働けるかどうかを判断し、事業者へ意見を述べる」役割です。


    関連記事:産業医の職務と権限

    会社事務入門労働安全衛生法に基づく健康診断>このページ

  • ストレスチェック後の医師による面接指導とはどういうものか?

    制度の趣旨

    ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された労働者が申し出た場合、事業者は医師による面接指導を受けさせる義務があります。

    目的は、労働者の心身の健康状態を把握し、必要な就業上の措置につなげることです。

    ストレスチェック後の面接指導を行うのは医師のみであり、ストレスチェックの実施者になれる保健師や精神保健福祉士であっても、面接指導を行うことはできません。

    この場合の医師というのは、産業医が想定されていますが、産業に限られません。

    指導とは誰に対するものか

    面接指導の中心は労働者本人に対する医学的な助言・指導です。例としては、生活習慣の見直し、睡眠改善、受診勧奨などです。

    その上で、医師は事業者に対して、労働時間の調整、配置転換、一時休養の必要性など、就業上の措置の意見を提出します。

    面接指導の流れ

    ① 申出

    面接指導の対象者となるのは高ストレス者と判断されるなど医師の面接指導が必要とされた従業員のうち、本人から面接指導を申し出た人です。

    面接指導の申し出は結果の通知から1か月以内に、面接指導の実施は申し出から1か月以内に行う必要があります。

    ② 面接指導の実施

    産業医や精神科医等が本人と面接します。

    内容は、ストレスの原因(職場環境・人間関係・業務量など)、睡眠・食欲・気分の変化、過重労働の有無、心身の健康状態などについて、本人の希望や不安を確認します。

    医師による面接指導は、対面での面接が原則ですが、実施者が表情やしぐさなどを確認できるといった一定の要件を満たせば、テレビ電話などの通信機器を用いた面接指導を行うことができます。これは長時間労働者への医師による面接指導と同様の扱いです。

    ③ 医師の助言・指導(本人向け)

    今後の生活や受診に関するアドバイスをします。必要に応じて専門医療機関の受診を勧めることもあります。

    ④ 医師の意見書作成(事業者向け)

    本人の同意を前提に、事業者へ「就業上の措置に関する意見」を提出します。これには、労働時間の制限、配置変更の検討、休養の必要性などが含まれます。

    医師による意見は、面接指導終了後1か月以内に聴取しなくてはなりません。

    ⑤ 事業者の対応

    医師の意見を踏まえ、就業上の措置を講じる義務があります。ただし、本人のプライバシー保護に十分配慮しなければなりません。

    産業医以外の医師が面接指導した場合

    法令上の位置づけ

    ストレスチェック制度に関する医師の面接指導は、労働安全衛生法に規定されています。

    ここでは「医師による面接指導」とだけ定められており、必ずしも産業医に限られていません。つまり、他の医師でも実施可能です。

    ただし、労働安全衛生法で、産業医は事業者に対して労働者の健康管理について意見を述べる役割を担っています。したがって、実務上は以下のように整理されます。

    実務上の扱い

    面接指導を行った医師は、事業者に「就業上の措置に関する意見書」を提出します。

    その内容を踏まえて事業者は就業上の措置を検討しますが、その際に産業医の職務と権限を考慮して、事業者から産業医に情報を共有する必要があります。

    その他実務上のポイント

    面接指導は医師と労働者との信頼関係が前提で、守秘義務が重要になります。したがって、事業者に伝えるのは「必要最小限の意見」であり、診断名など詳細は伝えられないことがあります。

    面談の記録は、実施後5年間保存することが義務付けられています。

    面接指導を申し出た(あるいは申し出ない)こと、面接指導の結果などを理由として、その労働者に対して不利益取り扱いをしてはいけません。


    関連記事:産業医の職務と権限

    会社事務入門ストレスチェックのあらまし>このページ

  • 在庫商品(棚卸資産)を処分するときの注意点

    棚卸資産とは

    棚卸資産とは、企業が販売する目的で保有している商品、製品、またはその生産に使用する材料のことです。小売店なら店頭や倉庫の商品、製造業なら原材料・仕掛品・完成品などが該当します。

    棚卸資産は「在庫」と呼ぶこともあります。基本的に同じ意味ものです。社内に残っている商品などを通常「在庫」と呼びますが、決算時に計上するときに「棚卸資産」という勘定名を用います。

    棚卸資産の評価

    棚卸資産は、帳簿に記載されている数量と一致することが大事ですが、それだけでなく、品質や状態も大事です。 破損や腐食などが発生している商品は、棚卸資産としての価値が減じているので、そのまま同じ価格で計上しておくのは不都合です。適切な価格に訂正するか、商品を処分する(除却)必要があります。

    棚卸で発見された商品価値がなくなった商品の除却処理について、いくつかの注意点があります。

    除却損を計上するポイント

    税務上、除却損が認められるためには、「客観的に見て、もはや販売が困難であり、事業の用に供する見込みがない」という事実を証明する必要があります。単に「売れない」という主観的な理由では不十分です。

    以下の対策を講じることで、税務調査への備えをすることができます。

    除却の理由を明確にする

    なぜこの商品が売れないのか、その理由を客観的に説明できるようにします。例えば、

    陳腐化: モデルチェンジ、新しい技術の登場、流行の終焉などにより、市場での需要がなくなった。

    破損・劣化: 長期保管により、商品のパッケージや本体に目に見える傷や汚れがある。

    市場性の喪失: 特定のイベントや季節に特化した商品で、時期を逃してしまった。

    社内での意思決定プロセスを記録する

    除却処理は、社長や担当役員の独断ではなく、組織として正式に決定したものであることを示すことが重要です。

    稟議書、指示書などに、除却の理由、対象商品、除却方法などを記録し、決裁者の署名や押印をもらっておきましょう。

    物理的な処分を証明する

    除却は、帳簿上だけでなく、実際に商品を物理的に処分することが原則です。

    これは、税務調査において架空の除却損と見なされるリスクがあるためです。除却処理をしたのであれば、その商品は物理的に処分(廃棄、売却、譲渡など)し、帳簿上の処理と物理的な状態を一致させることが重要です。また、証拠の写真や産廃業者の処分証明書を保存しておきましょう。

    廃棄時の写真や動画: 廃棄している状況を、日付や商品が特定できるように撮影しておきます。

    廃棄証明書: 産業廃棄物処理業者に依頼して処分する場合は、必ず廃棄証明書を発行してもらい、保管しておきます。

    売却: ゼロまたはごくわずかな金額で売却する場合も、売却先との契約書や請求書、入金の記録などを残しておきます。

    除却以外の選択肢

    除却だと否認されるのではないかと感じる場合、または完全に価値がなくなったとまでは言えない場合、除却以外の会計処理を検討することもできます。

    棚卸資産の評価損を計上する

    商品の価値が著しく下落したと認められる場合、帳簿上の価額を時価まで引き下げる評価損を計上することができます。

    ただし、税務上、この評価損が認められるのは「著しい陳腐化」など、一定の厳しい要件を満たす場合に限られます。単に売れ残っているというだけでは、なかなか認められにくいのが実情です。

    安価での販売を試みる

    B級品としての販売、あるいは専門業者への安価な一括売却なども選択肢です。

    わずかでも収益があれば、その分は売上として計上し、仕入原価との差額が損失となります。除却損を計上するよりも税務調査で指摘されるリスクは低い方法です。


    会社事務入門事務処理のいろいろと事務処理の効率化棚卸しの手順>このページ

  • 従業員が300人を超えれば公益通報の対応体制が必要です(公益通報対応マニュアル付き)

    常時使用する労働者が300人を超える事業者には「公益通報対応体制の整備義務」 が課されています。消費者庁のガイドラインをもとに、具体的にやるべきことを整理しました。

    まとめると、300人超の事業者は、通報窓口の設置、担当者の指定と責任体制の明確化、通報者保護(秘密保持・不利益取扱い禁止)、調査・是正措置・フィードバックの仕組み、規程整備と周知・教育を整える必要があります。300人以下の事業者に対しては努力義務になります。

    通報窓口の設置

    従業員数301人以上の事業者に対し、「公益通報対応業務従事者の指定」が義務付けられ、適切な通報窓口を設置することとされました。

    内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられる内部公益通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定めなければなりません。

    通報先は、可能であれば社外弁護士や外部専門機関を活用することも推奨されています。

    通報者の秘密保持

    通報者を保護することは公益通報者保護法の主眼です。

    公益通報をしたことを理由とした解雇や労働者派遣契約の解除は無効と定められており(改正公益通報者保護法3条、4条)、公益通報をしたことを理由とした不利益な取扱いも禁止されています(改正公益通報者保護法5条)。

    公益通報対応業務従事者に対し、正当な理由なく、公益通報者を特定できる情報を漏らしてはならないという守秘義務が定められました。

    この守秘義務は過去に公益通報対応業務従事者だった人も対象です。守秘義務に違反すると、30万円以下の罰金を科せられることがあります。

    通報対応のプロセスを整備

    内部や外部から情報提供を受けたら、以下の流れで対応を進めましょう。

    STEP1 通報者への受領の通知

    通報者の連絡先がわかっていれば、メールや文書で受領した旨を通知します。

    STEP2 通報内容を確認する

    通報内容を確認します。不正や法令違反の可能性がポイントです。安易に「公益通報にあたらない」と判断してしまうと、後になって重大なトラブルを招く危険が発生します。

    判断が遅れると、通報者が不信感をもって外部通報に移行することが多いので、迅速に進めましょう。

    STEP3 調査する

    不正や法令違反の可能性が高い事案であれば、提供された情報について調査を開始しなければなりません。

    • 提供された情報の内容が正しいのか
    • 証拠はあるか
    • 実際に被害が発生しているのか
    • どの程度大きな問題になっているか

    通報した本人だけではなく、周囲の人や関係者からも聞き取りなどの調査が必要です。

    その際、通報者のみならず関係者にも不利益が及ばないように慎重に対応しなければなりません。

    調査対象者のプライバシーや権利を守るための配慮も必要です。

    STEP4 適切に処分する

    調査の結果、問題発生を把握できたら是正のための措置をとらなければなりません。

    不正が行われていたら正さなけれなりませんし、場合によっては法的措置も必要となるでしょう。不正行為を行っていた従業員に懲戒処分が必要になることもあります。

    次いで、再発防止措置も必要です。

    内部通報があった場合の具体的な対処は、状況や通報内容、調査結果によって異なります。

    内部規程・周知

    政府指針において求められる事項について、内部規程において定め、規程の定めに従って運用しなければなりません。

    公益通報対応マニュアル(サンプル) を示します。

    公益通報対応マニュアル(ひな型)

    第1章 総則

    1. 本マニュアルは、当社における公益通報の受付・調査・是正措置を適切に行い、通報者の保護を確実にすることを目的とする。
    2. 本マニュアルに基づき、通報者の秘密を保持し、不利益取扱いを行わないことを徹底する。

    第2章 通報窓口の設置

    1. 当社は、公益通報を受け付ける窓口を以下のとおり設置する。
      • 内部窓口:コンプライアンス部門(電話・メール・書面)
      • 外部窓口:顧問弁護士事務所(連絡先別途周知)
    2. 通報は、実名・匿名いずれでも受け付ける。

    第3章 担当者と責任体制

    1. 当社は「公益通報対応責任者」を指名する。
    2. 公益通報対応責任者は、通報受付・調査担当者を任命し、通報処理全体を統括する。
    3. 担当者は、通報内容および通報者情報を厳格に管理し、守秘義務を負う。

    第4章 通報の受付と記録

    1. 通報を受け付けた場合は、速やかに受付日時、通報経路、通報内容を記録する。
    2. 通報者には受付を確認した旨を通知する(匿名の場合を除く)。
    3. 通報者の同意がない限り、通報者の氏名や通報経路を第三者に開示してはならない。

    第5章 調査の実施

    1. 公益通報対応責任者は、必要に応じて関係部門・外部専門家を交えて調査を行う。
    2. 調査にあたり、通報者に追加情報を求める場合がある。
    3. 調査記録は文書として保存し、秘密保持に十分配慮する。

    第6章 是正措置とフィードバック

    1. 調査の結果、法令違反等が認められた場合には、速やかに是正措置を講じる。
    2. 是正措置の内容・進捗は、可能な範囲で通報者に通知する。
    3. 措置結果は経営層に報告し、再発防止策を検討する。

    第7章 通報者の保護

    1. 通報者に対する解雇・降格・不利益な配置転換・嫌がらせ等の取扱いを禁止する。
    2. 不利益取扱いの疑いが生じた場合は、公益通報対応責任者が速やかに調査し、必要な是正措置を行う。
    3. 通報者が匿名を希望する場合は、最大限尊重する。

    第8章 教育・周知

    1. 本マニュアルの内容は、全従業員に周知徹底する。
    2. 定期的に研修を行い、公益通報制度の趣旨と運用方法を理解させる。
    3. 通報窓口の連絡先・利用方法を常時確認できるように掲示・イントラネットに掲載する。

    第9章 記録と保存

    1. 通報受付・調査・是正措置の経過および結果は文書に記録し、公益通報対応責任者が管理する。
    2. 記録の保存期間は原則5年間とする。

    第10章 改定

    1. 本マニュアルは、法令改正その他必要に応じて見直し、改定する。

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