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  • 外国人労働者雇用上の注意事項

    在留資格を確認する

    外国人労働者を採用する場合には、日本国内で就労するための要件を充たしているかどうかを確認しなければなりません。

    外国人の方の在留資格や在留期間は、外国人登録証明書又は旅券面の上陸許可証印、就労資格証明書等により確認できます。また、資格外活動の許可を得ているか否かについては、資格外活動許可書により確認することができます。

    在留管理の詳細は、出入国在留管理庁ホームページに掲載されています。

    就労資格のない外国人を就労させることは法律で禁止されています。不法就労した外国人だけでなく、不法就労させた事業主も処罰の対象となります。不法就労助長罪は3年以下の懲役および300万円以下の罰金となっています。令和6年6月に成立した改正法により5年、500万円に引き上げられることになっています。なお、雇用しようとする際に就労資格がないことを知らなかったと主張しても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には不法就労助長罪が成立するので充分な注意が必要です。

    留学等により在留している場合

    在留資格のうち、文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在の6種類は、原則として就労が認められません。「留学」、「就学」及び「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人の方がアルバイト等の就労活動を行う場合には、地方入国管理局で資格外活動の許可を受けることが必要です。

    観光ビザ

    観光ビザで日本に入国している人は「短期滞在」の在留資格なので収入を伴う事業を運営したり、また、報酬を得る活動に従事することはできません。したがって、雇用すると問題が生じる可能性があります。

    留学生

    留学生をアルバイトとして雇用するには、入国管理局で「資格外活動許可」を得ておく必要があります。

    「資格外活動許可」の窓口は入国管理局の出張等です。詳しくは入国管理局ホームページの各種手続き案内の資格外活動許可を参照して下さい。また、大学が手続きの代行や相談を行っている場合があるので、まずは大学に確認して下さい。

    就労時間の規制にも注意が必要です。

    資格外活動の許可を得れば、「留学」の在留資格をもって在留する外国人の方については原則として1週28時間まで、「就学」の在留資格をもって在留する外国人の方については原則として1日4時間まで就労することが可能です。

    また、「留学」の在留資格をもって在留する外国人は、在籍する教育機関が夏休み等の長期休業期間中については、1日8時間まで就労することが可能です。これらの就労は包括的に許可されますが、教育機関の長期休業期間等、具体的な許可の範囲については、「資格外活動許可書」により確認することができます。

    卒業後

    大卒の留学生が日本で就職するには、「留学」から「技術」ヘ在留資格の変更をしなければなりません。

    外国人研修・技能実習制度

    産業上の技術・技能・知識を修得してもらう目的で、外国の労働者を一定期間日本の産業界に受け入れる制度が「外国人研修・技能実習制度」です。単純労働力として受け入れるものではなく、国際的な人材育成として実施する制度です。しかし、劣悪な労働条件で働かせているケースが問題になっています。

    特定技能外国人労働者

    2019年4月から、在留資格に「特定技能」が追加されました。特定技能は、技能実習とは違い、外国人の方を労働者として受け入れる在留資格です。人手不足が深刻であると認められた一定の分野において外国人労働者の就労が可能となりました。

    特定技能1号は、特定産業分野において、相当程度の知識または経験を持つ外国人に向けた在留資格 です。すぐに一定の業務をこなせる水準であることが求められます。試験があります。

    特定技能2号は特定技能1号修了者が移行できる資格です。特定技能2号は更新が無期限であるため、就労先がある限り日本に在留することが可能です。

    外国人雇用状況の届出

    外国人労働者(特別永住者及び在留資格「外交」と「公用」の者を除く)の雇入れまたは離職の際に、当該外国人労働者の氏名、在留カード番号、在留資格、在留期間等について確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることが、労働施策総合推進法により義務付けられています。

    雇用保険の被保険者である外国人については、雇用保険の被保険者資格の取得届又は喪失届を提出することで外国人雇用状況の届出を行ったことになります。備考欄に、在留資格、在留期限、国籍等を記載します。また、在留カード番号も必要です。

    届出期限は取得届又は喪失届の提出期限と同様に、雇入れの場合は翌月10日までに、離職の場合は翌日から起算して10日以内です。

    雇用保険の被保険者ではない外国人については、外国人雇用状況届出書(様式第3号)を提出してください。届出期限は雇入れ離職の場合ともに翌月末日までです。

    記載事項は、在留カード、パスポート(資格外活動については資格外活動許可書等)により確認します。

    外国人労働者の雇用労務責任者の選任

    事業主には、外国人労働者の雇用管理の改善及び再就職支援の努力義務が課されています。また、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、外国人労働者の雇用労務に関する責任者を選任する必要があります。

    労働基準法等の適用

    外国人労働者についても、労働関係法令は当然に適用されます。労働基準法第3条に「労働者の国籍などを理由として、賃金、労働時間その他労働条件について差別的な取り扱いをしてはならない」と定められています。

    採用にあたっては、日本人に対する場合と同様に、雇入通知書などを交付し、労働条件を明確にしたうえで雇用しましょう。また、雇用契約書は、日本語の雇用契約書と英語(できれば、入社する人の国の言語)の雇用契約書を用意しましょう。

    厚生労働省ホームページに、日本語を併記した多言語による労働条件通知書がアップされています。

    上記ページ内の「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」です。

    社会保険などの取扱い

    社会保険については外国人も日本人と同じです。加入条件を満たしていれば加入対象になり、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」「厚生年金保険被保険者アルファベット氏名(変更)届」にパスポート、在留カードなどの添付書類を揃えて提出します。

    社会保険の被扶養者にするには、一部の例外を除き、国内に住所を有していることが条件です。

    労災保険、雇用保険の適用も日本人と同様です。加入条件を満たしていれば加入対象になります。

    社会保障協定締結国の外国人は、期間が5年を超えない見込みであれば、その期間は日本の法令の適用を免除して相手国の法令を適用し、5年を超える見込みのときは最初から日本の法令を適用します。

    日本の老齢年金は10年の加入で受給資格を得ることができるので、短期間の加入でも、社会保障協定締結国の年金制度と通算して10年以上になれば、将来日本から年金を受給できることになります。6ヶ月以上厚生年金保険に加入している場合、帰国した2年以内に請求をすれば、脱退一時金を請求できます。


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  • ストレスチェックのあらまし

    ストレスチェックとは

    ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、その結果により、自身のストレスがどのような状態にあるのかを把握し、必要に応じて医師による面接指導を受ける制度です。

    また、事業者は、面接指導を実施した医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じるほか、医師の意見を衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会へ報告するなど、適切な措置を講じなければなりません。

    実施義務がある事業場

    労働安全衛生法第66条の10において、事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならないとされています。

    一般に「ストレスチェック」と言われていますが、法律上は「心理的な負担の程度を把握するための検査」です。

    常時50人以上の労働者を使用する事業場に実施が義務付けられています。50人未満の事業場は当分の間努力義務ですが、ストレスチェックを実施した場合には助成金(ストレスチェック助成金)の対象となる場合があります。

    「常時50名以上」とは、勤務時間や日数に関係なく、週1回程度のアルバイトやパート社員も含み、継続雇用中の労働者をカウントします。

    なお、定期健康診断の対象者と同様、正社員の4分の3時間以下のパート社員や休職している労働者には実施しなくても差し支えありません。

    実施時期は、経年変化をチェックするためにも、毎年同じ月に実施することが推奨されています。

    実施者体制

    実施者

    ストレスチェックの実施者は、ストレスチェックを実施し、その結果を踏まえ、面接指導の必要性を判断する者です。

    産業保健や精神保健に関する知識を持つ医師、保健師、必要な研修を修了した看護師や精神保健福祉士、歯科医師(歯科医師は問診票の選択肢にあるストレスの状況や本人の健康状態の質問で判断できる範囲に限られます)と公認心理師が実施者になれます。

    また、有資格者であっても、その職場において、理事長や施設長などの人事権者である場合は実施者にはなれません。

    産業医や保健師等が社内にいない、またはいても対応できない場合には、外部機関にストレスチェックの実施を委託することもできますが、厚生労働省の指針では、外部に委託する場合にも、当該事業場の産業医が共同実施者となることが望ましいとしています。

    実施事務従事者

    実施者を補助するために、事業者は実施事務従事者を指名することができます。この場合、人事権を持たない衛生管理者や事務職員等から指名する必要があります。

    実施事務従事者は、調査票の回収や実施者との連携などの事務作業を行います。また、守秘義務が課せられます。

    実施手順

    準備

    実施前に以下の事項を準備します。

    1.事業者による方針の表明
    2.衛生委員会での調査審議
    3.労働者に説明・情報提供
    4.規程の作成(ストレスチェック実施規程など)
    5.調査票

    関連記事:ストレスチェック実施規程 ストレスチェック|就業規則

    実施

    実施事務従事者は、調査票を対象労働者に配布し、記入した調査票を回収します。

    厚生労働省が「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を無償配布しています。PCで利用できるアプリですが、紙の調査票で実施しCSV等へ入力したデータをインポートすることも可能になっています。

    下記リンクからダウンロードできます。

    外部リンク:厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム

    このプログラムは、改正労働安全衛生法に基づき、2015年12月より施行されたストレスチェック制度が事業者にて円滑に導入できるよう、ストレスチェックの受検、ストレスチェックの結果出力、集団分析等が出来るプログラムです。

    検査結果を本人に通知

    検査結果の扱いは次のようになります。

    検査を実施した医師、保健師等から直接本人に通知されます。本人の同意なく事業者に提供することは禁止されています。

    実施者は結果を事業者に通知することについて同意するか確認します。

    同意がある場合は個別結果を事業者に通知します。

    労働安全衛生法第66条の10第2項 事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行つた医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。

    医師による面接指導を実施

    検査の結果、一定の要件に該当する労働者(高ストレスであるという結果が出た者)から申出があった場合、事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません。

    関連記事:ストレスチェック後の医師による面接指導とはどういうものか?

    集団分析を行う

    実施者は、ストレスチェックの結果を職場ごとに集団的分析を行い、その結果を事業者に提供します。事業者は職場環境の改善のために活用します。

    報告書を提出

    常時50人以上の労働者を使用する事業場は、毎年1回、労働者のストレスの状況を検査(ストレスチェック)し、その実施状況を労働基準監督署長に報告する義務があります。

    労働基準監督署に検査結果等報告書(様式第六号の二)を提出します。報告書には産業医の記名押印欄があります。

    この報告書は、ストレスチェックの実施義務がある事業場が実施しなかった場合も提出する義務があります。また、ストレスチェックを実施したにもかかわらず受検者がいなかった場合でも報告書を提出する義務があります。

    なお、この報告は2025年1月1日より電子申請による提出が義務づけられています。


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  • メンタルヘルスケアにおける職場環境

    職場環境等の重要性

    従業員の心の健康には、

    □ 作業環境
    □ 作業方法
    □ 従業員の心身の疲労の回復を図るための施設及び設備等
    □ 職場生活で必要となる施設及び設備等
    □ 労働時間
    □ 仕事の量と質
    □ セクシュアルハラスメント等職場内のハラスメントを含む職場の人間関係
    □ 職場の組織及び人事労務管理体制
    □ 職場の文化や風土等

    等の職場環境が単独にあるいは複合的に影響を与えます。

    こうした職場環境が適切であるかチェックして、不備な点不足している点を一つ一つ改善することは、従業員の心の健康の保持増進に大変効果的です。

    職場環境等の評価と問題点の把握

    職場環境等を改善するためには、まず、職場環境等を評価し、問題点を把握することから始めます。

    このため、事業者は、上司や従業員からの意見聴取、事業場内産業保健スタッフ等(産業医等、衛生管理者等、保健師等、心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等)による職業性ストレス簡易調査票などの調査票等を用いた職場環境等の評価結果等を活用して、職場環境等の具体的問題点を把握します。

    職場環境等の改善

    事業者は、職場環境等を評価し、問題点を把握した上で、様々な観点から職場環境等の改善を行います。

    また、事業者は、その改善の効果を定期的に評価し、効果が不十分な場合には取組方法を見直す等、対策がより効果的なものになるように継続的な取組に努める必要があります。

    事業場内産業保健スタッフ等は、職場環境等の評価結果に基づき、職場の上司に対してその改善を助言するとともに、上司と協力しながらその改善を図ります。

    上司は、従業員の労働の状況を日常的に把握し、個々の従業員に過度な長時間労働、過重な疲労、心理的負荷、責任等が生じないようにする等、従業員の能力、適性及び職務内容に合わせた配慮を行うことが重要です。

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  • メンタルヘルスケアにおける教育研修と情報提供

    教育研修と情報提供を行う

    事業者は、4つのケアが適切に実施されるよう、それぞれの職務に応じ、メンタルヘルスケアの推進に関する教育研修・情報提供を行うよう努めなければなりません。

    必要に応じて社外研修等への参加についても配慮する必要があります。

    社内に教育研修担当者を計画的に育成することも大事です。

    セルフケアのための研修と情報提供

    セルフケアを促進するためには、上司を含む全ての従業員に対して、次に掲げる項目について教育研修、情報提供を行う必要があります。

    ・メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
    ・ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識
    ・セルフケアの重要性及び心の健康問題に対する正しい態度
    ・ストレスへの気づき方
    ・ストレスの予防、軽減及びストレスへの対処の方法
    ・自発的な相談の有用性
    ・社外の相談先等

    ラインに対する研修と情報提供

    ラインによるケアを促進するため、上司に対して、次に掲げる項目等を内容とする教育研修、情報提供を行う必要があります。

    ・メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
    ・職場でメンタルヘルスケアを行う意義
    ・ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識
    ・上司の役割及び心の健康問題に対する正しい態度
    ・職場環境等の評価及び改善の方法
    ・従業員からの相談対応(話の聴き方、情報提供及び助言の方法等)
    ・心の健康問題により休業した者の職場復帰への支援の方法
    ・事業場内産業保健スタッフ等との連携及びこれを通じた事業場外資源との連携の方法
    ・セルフケアの方法
    ・社内の相談先及び外部機関に関する情報
    ・健康情報を含む従業員の個人情報の保護等

    事業場内産業保健スタッフ等に対する研修と情報提供

    事業者は、事業場内産業保健スタッフ等(産業医等、衛生管理者等、保健師等、心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等)によるケアを促進するため、事業場内産業保健スタッフ等に対して、次に掲げる項目等を内容とする教育研修、情報提供を行う必要があります。
    ・メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
    ・職場でメンタルヘルスケアを行う意義
    ・ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識
    ・事業場内産業保健スタッフ等の役割及び心の健康問題に対する正しい態度
    ・職場環境等の評価及び改善の方法
    ・従業員からの相談対応(話の聴き方、情報提供及び助言の方法等)
    ・職場復帰及び職場適応の支援、指導の方法
    ・外部機関との連携(ネットワークの形成)の方法
    ・教育研修の方法
    ・外部機関の紹介及び利用勧奨の方法
    ・心の健康づくり計画及び体制づくりの方法
    ・セルフケアの方法
    ・ラインによるケアの方法
    ・社内の相談先及び外部機関に関する情報
    ・健康情報を含む従業員の個人情報の保護等

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  • 4つのメンタルヘルスケア

    メンタルヘルスケアは、以下の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要です。厚生労働省が定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に沿って説明します。

    1.セルフケア

    心の健康づくりを推進するためには、従業員自身がストレスに気づき、これに対処するための知識、方法を身につけ、それを実施することが重要です。

    ストレスに気づくためには、従業員がストレス要因に対するストレス反応や心の健康について理解するとともに、自らのストレスや心の健康状態について正しく認識できるようにする必要があります。

    このため、事業者は、従業員に対して、セルフケアに関する教育研修、情報提供を行い、心の健康に関する理解の普及を図る必要があります。

    また、相談体制の整備を図り、従業員自身が上司や職場内産業保健スタッフ等に自発的に相談しやすい環境を整える必要があります。ストレスへの気づきのために、セルフチェックを行う機会を提供することも効果的です。

    また、上司自身にとってもセルフケアは重要です。事業者は、セルフケアの対象者として上司も含める必要があります。

    例えば次のような対応を

    自分のメンタル不調は自分が一番早く気がつくはずです。しかし、仕事が忙しい、休みたくない、病気が怖い、などの気持ちから先送りしてかなり悪化してから手を打つことが多いようです。悪化してからだと回復に時間がかかります。

    そこで、まずメンタル不調にならないための心がけが大事です。自分はならないという気持ちを捨てて、誰でも油断すればなるという自覚をもって、下記のことを心がけることでメンタル不調を避ける可能性が高まります。

    睡眠をチェック
    必要な睡眠時間を確保する

    飲酒をチェック
    できれば飲まない、飲んでも飲みすぎない、休肝日を設定

    運動をチェック
    運動の習慣をつくる。毎日の散歩、ラジオ体操、スポーツジムへ通う

    などなど。

    職場で行われるストレスチェックを活用しましょう。調査票には正直に事実を記入しましょう。高ストレスと判定されると、面接指導を申し出ることができます。せっかくの機会だととらえて積極的に受けましょう。

    2.ラインによるケア

    上司は、部下である従業員の状況を日常的に把握しているので、個々の職場における具体的なストレス要因を把握し、その改善を図ることができる立場にあります。

    したがって、上司は、職場環境等の把握と改善、従業員からの相談対応を行わなければなりません。

    上司がこの役割を適切に行うことができるように、事業者は、上司に対して、ラインによるケアに関する教育研修、情報提供を行う必要があります。

    なお、業務を一時的なプロジェクト体制で実施する等、通常のラインによるケアが困難な業務形態にある場合においても適切なケアが行われるように、指揮命令系統の上位にいる者等によりケアが行われることも必要です。

    従業員の心身の不調に、まず対応する立場にあるのは直属の上司です。管理職に対し、部下の心身の状態をそれとなく把握することが仕事の一部であることを理解させ、まだ、どのようにコミュニケーションをとればよいか、研修などよって理解を深めていく必要があります。

    基本は、よく話しを聞くことであり、決して説教をしないことです。そして、相談者のプライバシーを守ることに注意し、相談者との信頼関係を損なわないようにしましょう。そして、上司の大きな役割は、メンタルヘルス担当者へ正確に繋ぐことです。要点を記憶またはメモをして、本人と一緒に申出の要点を確認しましょう。

    これから対策を始める会社であれば、まず管理職研修から入るのが一般的だと思われます。単発ではなく、定期的に、出来れば毎年実施することが望ましいのはもちろんのことです。

    研修を実施しても、実際に問題に直面すると、いろいろと対応に迷う場面が出てくるものなので、管理職を支援する仕組みをつくる必要があります。具体的には、さらに上の上司への報告相談をルール化することや、上の上司にメンタルヘルス担当者を加えた3者協議の場を作ることをルール化することも考えられます。

    管理職は往々にして数字をあげることが自分の役割だという意識がありますが、これからは、会社と共に従業員の健康や安全を確保することが役割の一つであることを認識する必要があります。

    3.職場内スタッフ等によるケア

    職場内の産業保健スタッフ等は、セルフケア及びラインによるケアが効果的に実施されるよう、次のことを実施します。

    ① 従業員及び上司に対する支援
    ② 心の健康づくり計画に基づく具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
    ③ メンタルヘルスに関する個人の健康情報の取扱い
    ④ 職場外資源とのネットワークの形成やその窓口となる

    等、心の健康づくり計画の実施に当たり、中心的な役割を果たします。

    このため、事業者は、職場内産業保健スタッフ等によるケアに関して、次の措置を講じる必要があります。

    ① 職務に応じた専門的な事項を含む教育研修、知識修得等の機会の提供を図ること。
    ② メンタルヘルスケアに関する方針を明示し、実施すべき事項を委嘱又は指示すること。
    ③ 職場内産業保健スタッフ等が従業員の自発的相談等を受けることができる制度及び体制を、それぞれの職場内の実態に応じて整えること。
    ④ 職場内メンタルヘルス推進担当者を、職場内産業保健スタッフ等の中から選任するよう努めること。職場内メンタルヘルス推進担当者は、産業医等の助言、指導等を得ながら職場のメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する。
    ⑤ 職場内メンタルヘルス推進担当者としては、衛生管理者等や常勤の保健師等から選任することが望ましいこと。なお、職場の実情によっては、人事労務管理スタッフから選任することも考えられる。
    ⑥ 一定規模以上の職場にあっては、職場内に又は企業内に、心の健康づくり専門スタッフや保健師等を確保し、活用することが望ましい。
    ⑦ 事業者は心の健康問題を有する従業員に対する就業上の配慮について、職場内産業保健スタッフ等に意見を求め、また、これを尊重する。

    事業場内産業保健スタッフとは、産業医等、衛生管理者等及び事業場内の保健師等をいいます。事業場内産業保健スタッフ等とは、事業場内産業保健スタッフ及び事業場内の心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等をいいます。なお、このサイトでは「職場内」という表現を多く用いていますが、法律上は「事業場内」です。

    産業医等

    産業医等とは、産業医その他労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師をいいます。

    産業医等は、職場環境等の改善、健康教育・健康相談その他従業員の健康の保持増進を図るための措置のうち、医学的専門知識を必要とするものを行うという面から、職場の心の健康づくり計画の策定に助言、指導等を行い、これに基づく対策の実施状況を把握します。

    また、専門的な立場から、セルフケア及びラインによるケアを支援し、教育研修の企画及び実施、情報の収集及び提供、助言及び指導等を行う。就業上の配慮が必要な場合には、事業者に必要な意見を述べます。

    専門的な相談・対応が必要な事例については、職場外資源との連絡調整に、専門的な立場から関わる。さらに、長時間従業員等に対する面接指導等の実施やメンタルヘルスに関する個人の健康情報の保護についても中心的役割を果たします。

    衛生管理者等

    衛生管理者等とは、衛生管理者等衛生管理者、衛生推進者及び安全衛生推進者をいいます。

    衛生管理者等は、心の健康づくり計画に基づき、産業医等の助言、指導等を踏まえて、具体的な教育研修の企画及び実施、職場環境等の評価と改善、心の健康に関する相談ができる雰囲気や体制づくりを行います。

    また、セルフケア及びラインによるケアを支援し、その実施状況を把握するとともに、産業医等と連携しながら職場外資源との連絡調整に当たることが効果的です。

    保健師等

    衛生管理者以外の保健師等は、産業医等及び衛生管理者等と協力しながら、セルフケア及びラインによるケアを支援し、教育研修の企画・実施、職場環境等の評価と改善、従業員及び上司からの相談対応、保健指導等に当たります。

    心の健康づくり専門スタッフ
    心の健康づくり専門スタッフとは、精神科・心療内科等の医師、心理職等をいいます。

    職場内に心の健康づくり専門スタッフがいる場合には、職場内産業保健スタッフと協力しながら、教育研修の企画・実施、職場環境等の評価と改善、従業員及び上司からの専門的な相談対応等に当たるとともに、当該スタッフの専門によっては、事業者への専門的立場からの助言等を行います。

    人事労務管理スタッフ

    人事労務管理スタッフは、上司だけでは解決できない職場配置、人事異動、職場の組織等の人事労務管理が心の健康に及ぼしている具体的な影響を把握し、労働時間等の労働条件の改善及び適正配置に配慮する役割があります。

    4.職場外資源によるケア

    メンタルヘルスケアを行う上では、職場が抱える問題や求めるサービスに応じて、メンタルヘルスケアに関し専門的な知識を有する各種の職場外資源の支援を活用することが有効です。

    事業場外資源とは、事業場外でメンタルヘルスケアヘの支援を行う機関及び専門家をいいいます。

    また、従業員が相談内容等を職場に知られることを望まないような場合には、職場外資源を活用することが効果的です。

    職場外資源の活用にあたっては、これに依存することにより事業者がメンタルヘルスケアの推進について主体性を失わないよう留意すべきです。

    このため、事業者は、メンタルヘルスケアに関する専門的な知識、情報等が必要な場合は、職場内産業保健スタッフ等が窓口となって、適切な職場外資源から必要な情報提供や助言を受けるなど円滑な連携を図るよう努める必要があります。

    また、必要に応じて従業員を速やかに医療機関及び地域保健機関に紹介するためのネットワークを日頃から形成しておく必要があります。

    特に、小規模職場においては、職場外資源として地域産業保健センターの活用が有効です。

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  • 勤務間インターバル

    勤務間インターバルとは

    勤務間インターバルとは、労働者が一つの勤務を終えてから次の勤務が始まるまでの時間のことです。

    勤務間インターバルが足りなければ、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保できません。

    EUの勤務間インターバル規制では「24時間につき、最低でも連続した11時間の休息時間」と示しています。

    わが国においてすでに導入している企業の例でも、勤務間インターバルが11時間の例がみられます。

    睡眠時間8時間に通勤時間、食事や風呂などを考慮すると、11時間が軸になると考えられます。

    仮に、8時から17時までが通常勤務の会社で11時間のインターバルを実施すると、夜の10時まで残業した場合は、11時間の間をあけるために、8時ではなく9時以降に出社しなければなりません。

    法制化

    労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の2条1項の規定により、勤務間インターバルを設定する努力義務が事業主に課せらることになりました。

    第2条1項
    事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。

    「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」の部分です。

    政府は2025年までに、導入する企業の割合を15%以上にすることを目標に掲げています。

    就業規則例

    この制度を導入するのであれば就業規則の改正が必要です。厚生労働省のホームページに就業規則の規定例が出ています。

    (勤務間インターバル)
    第◯条 いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、◯時間の継続した休息時間を与える。

    このままでも良いのですが、法律上は努力規定なので、上記の「◯時間の継続した休息時間を与える」を「◯時間の継続した休息時間を与えるよう努力する」としても問題ないでしょう。また、同じく努力規定であるので、「いかなる場合も」と規定するまでもないと思われます。

    次いで、この例の第2項で、継続した休息時間が与えられなかった場合にどうするかを規定しています。

    例1
    一つは、勤務間インターバルを守って勤務できなかった時間を労働時間に参入して賃金を払う定め方です。

    2  前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。

    労働時間とみなされた時間は当然有給になります。前日の残業代に加えて一定の金銭補償をするということになります。企業に金銭負担をさせることで残業抑制効果をねらっているのかもしれません。

    例2
    勤務間インターバルを確保するために遅く出勤しても良いという定め方です。

    2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時間は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。

    この場合、遅く出勤した日は終業時間もその分繰り下がるのか、終業時間を同じにして所定労働時間勤務したとみなすのか明確に規定した方がよいでしょう。この日に遅刻控除がなくて定時退勤できるのであれば、実質は例1と同じ扱いになります。

    例2
    厚生労働省が示した規定例には例外も示されています。

    ただし、災害その他避けることができない場合は、その限りではない。

    例外も規定するべきですが、この規定例では「その限りでない」ケースは非常に限定的だと思われます。


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