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労働時間

勤務間インターバル

Last Updated on 2023年9月21日 by

勤務間インターバルとは

勤務間インターバルとは、労働者が一つの勤務を終えてから次の勤務が始まるまでの時間のことです。

勤務間インターバルが足りなければ、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保できません。

EUの勤務間インターバル規制では「24時間につき、最低でも連続した11時間の休息時間」と示しています。

わが国においてすでに導入している企業の例でも、勤務間インターバルが11時間の例がみられます。

睡眠時間8時間に通勤時間、食事や風呂などを考慮すると、11時間が軸になると考えられます。

仮に、8時から17時までが通常勤務の会社で11時間のインターバルを実施すると、夜の10時まで残業した場合は、11時間の間をあけるために、8時ではなく9時以降に出社しなければなりません。

法制化

労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の2条1項の規定により、勤務間インターバルを設定する努力義務が事業主に課せらることになりました。

第2条1項
事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。

「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」の部分です。

政府は2025年までに、導入する企業の割合を15%以上にすることを目標に掲げています。

就業規則例

この制度を導入するのであれば就業規則の改正が必要です。厚生労働省のホームページに就業規則の規定例が出ています。

(勤務間インターバル)
第◯条 いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、◯時間の継続した休息時間を与える。

このままでも良いのですが、法律上は努力規定なので、上記の「◯時間の継続した休息時間を与える」を「◯時間の継続した休息時間を与えるよう努力する」としても問題ないでしょう。また、同じく努力規定であるので、「いかなる場合も」と規定するまでもないと思われます。

次いで、この例の第2項で、継続した休息時間が与えられなかった場合にどうするかを規定しています。

例1
一つは、勤務間インターバルを守って勤務できなかった時間を労働時間に参入して賃金を払う定め方です。

2  前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。

労働時間とみなされた時間は当然有給になります。前日の残業代に加えて一定の金銭補償をするということになります。企業に金銭負担をさせることで残業抑制効果をねらっているのかもしれません。

例2
勤務間インターバルを確保するために遅く出勤しても良いという定め方です。

2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時間は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。

この場合、遅く出勤した日は終業時間もその分繰り下がるのか、終業時間を同じにして所定労働時間勤務したとみなすのか明確に規定した方がよいでしょう。この日に遅刻控除がなくて定時退勤できるのであれば、実質は例1と同じ扱いになります。

例2
厚生労働省が示した規定例には例外も示されています。

ただし、災害その他避けることができない場合は、その限りではない。

例外も規定するべきですが、この規定例では「その限りでない」ケースは非常に限定的だと思われます。


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