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  • 健康診断|就業規則

    健康診断について定める

    規定例

    (健康診断)
    第57条 会社は従業員に対して、採用の際及び毎年1回(深夜業その他特定有害業務に従事する者は6か月ごとに1回)、その他、法令に基づく健康診断を実施する。

    2 前項の健康診断のほか、法令で定められた有害業務に従事する従業員に対しては、特別の項目についての健康診断を行う。

    3 従業員は会社が指示した健康診断を受診しなければならない。

    4 従業員は、健康診断実施機関が健康診断の結果を会社に通知することを拒否できない。また、健康診断結果が個人に通知された場合であっても、その健康診断結果を会社に提出する義務がある。

    5 会社が指示した健康診断を希望しない従業員は、他の医療機関において会社が指定する診断項目を満たす健康診断を受診し、その結果を証明する書面を会社に提出しなければならない。ただし、当該健康診断に要する時間は無給とし、当該健康診断の費用は自己負担とする。

    6 健康診断の結果必要と認めるときは、会社は当該従業員に対して、労務提供の拒否または就業禁止の措置、労働時間の短縮、配置転換その他健康保持上必要な措置を命ずることがある。また、正当な理由なく健康診断を受診しない場合、またはその結果を報告しない従業員に対して、労務提供を拒否または就業禁止の措置をとることがある。

    7 従業員が次のいずれかに該当するときは、会社は従業員に対して、会社の指定する医師の健康診断の受診を指示することがある。
    ① 傷病を理由にしばしば欠勤する場合
    ② 身体又は精神上の疾患に罹患していることが疑われる場合
    ③ その他、会社が必要と認める場合

    ポイント

    第2項で特殊健康診断についても規定します。法令に定められた有害業務を行わない会社はこの規定を置く必要がありません。

    第3項は労働者の受診義務です。労働者には、事業主の行う健康診断を受ける義務があります。(労働安全衛生法第66条第5項)。

    第4項は診断結果の提出についての定めです。医療機関が、個人情報保護を理由に診断結果を会社に直接渡さないことがあります。会社は、労働安全衛生法に定められた健診結果の保管義務を果たすためにも、安全配慮義務に対応するためにも健康診断の結果を入手する必要があるので規定します。

    第5項は事情があって他の従業員と一緒に受診したくない、などの特別な事情に配慮した規定です。

    第6項は健康診断の結果を受けて、相応の措置をとるための規定です。

    第7項は、定期健康診断を待つのでは遅すぎると判断するときに備えた規定です。

    関連記事:健康診断実施上の注意点

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は健康診断の部分を次のように示しています。

    (健康診断)
    第57条  労働者に対しては、採用の際及び毎年1回(深夜労働に従事する者は6か月
    ごとに1回)、定期に健康診断を行う。
    2 前項の健康診断のほか、法令で定められた有害業務に従事する労働者に対しては、特別の項目についての健康診断を行う。
    3 第1項及び前項の健康診断の結果必要と認めるときは、一定期間の就業禁止、労働時間の短縮、配置転換その他健康保持上必要な措置を命ずることがある。

    事業者には健康診断を行う義務があります。すべての事業場で実施しなければなりません。

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  • 海外派遣労働者の健康診断

    海外派遣者への健康診断を実施する義務

    海外に6ヶ月以上派遣される労働者には健康診断を実施する必要があります。

    実施時期は海外派遣前と海外派遣後に1回ずつです。

    労働安全衛生法では、海外で勤務する本人のみの健康診断を義務にしていますが、帯同する家族がいる場合は同様の健康診断を受けさせることが望ましいでしょう。

    健康診断項目

    定期健康診断の項目に加え、医師が必要と判断した場合には追加検査が可能です。

    また、国によっては就労ビザ取得に際し特殊な検査を要する場合があります。

    一般的には、海外では日本のような医療を受診できない可能性があるので、できるだけ詳細な健診を受けさせることが望まれます。

    なお、6ヶ月以内に雇用時健診や定期健診を行っている場合は、同一の検査項目を省略することができます。

    健康診断の結果

    健康診断の結果で要精密検査や要治療となった場合は、派遣の中止も含めた検討が必要です。医師と相談して問題ないとなったときも、現地での医療体制について特に念入りな調査をし、また、英文での健康診断結果を持参させることが必要です。

    派遣中の健康診断

    労働安全衛生法では、毎年1回の定期健康診断を義務付けていますが、海外の事業所に働く労働者にはこの法律が適応されません。

    しかし、海外派遣労働者への安全配慮という観点から、できるだけ、年に1度は帰国させて、その際に、定期健康診断と同様の検査を実施することが望まれます。

    海外出張者の扱い

    海外派遣者への健康診断は、6ヶ月以上という条件がついています。したがって、短期の海外出張は、この健康診断に含まれません。

    しかし、海外出張の前後は多忙になることも多く、また環境の変化で体調を悪くする人も少なくありません。特に持病のある人には適切な健康指導が必要です。


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  • 特殊健康診断について

    特殊健康診断とは

    特殊健康診断とは、一定の有害な業務に従事する労働者等を対象として実施する健康診断です。労働安全衛生法第66条第2項、第3項、じん肺法第3条に定められている健康診断です。

    特殊健康診断の結果によって、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮などの措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は改善などの適切な措置を講じなければなりません。

    また、記録を作成し、5年間若しくは30年間保存する必要があります。

    特殊健康診断を行う業務

    労働安全衛生法で特殊健康診断を実施しなければならないとされている業務は、次の通りです。

    1.高気圧業務
    高圧室内業務または潜水業務に従事する労働者に対して、雇入れの際或いは当該業務への配置換えの際6ヶ月以内1回健康診断を実施しなければなりません。

    2.放射線業務
    放射線業務に従事する労働者に対しては雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその後6月以内ごとに1回定期に、健康診断を実施しなければなりません。

    3.特定化学物質業務
    特定化学物質を取り扱う労働者に対しては雇入れの際、当該業務へ配置替えの際および6月以内ごとに1回定期に実施しなければなりません。また過去に特定化学物質を取り扱ったことのある労働者についても6月以内ごとに同様に健康診断を実施しなければなりません。

    4.石綿業務
    粉じん作業に従事または従事した労働者に対しては、①就業時②定期③定期外④離職時に、健康診断をしなければなりません。

    5.鉛業務
    鉛業務に従事する労働者に対して、雇入れの際或いは配置換えの際6ヶ月以内1回健康診断を実施しなければなりません。

    6.四アルキル鉛業務
    四アルキル鉛等業務に従事する労働者に対しては雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその3月以内ごとに1回定期に、健康診断を実施しなければなりません。

    7.有機溶剤業務
    有機溶剤業務に従事する労働者に対して、雇入れの際或いは配置換えの際6ヶ月以内1回健康診断を実施しなければなりません。

    以上のうち、一定の特定化学物質業務や石綿業務などについては、それらの業務に従事しなくなった場合でも実施しなければなりません。

    指導勧奨による特殊健康診断

    指導勧奨による特殊健康診断とは、労働安全衛生法により定められた特殊健康診断とは別に、行政からの通達により指導勧奨されている特種健康診断のことです。

    これは6ヶ月に1回とされています。

    1.紫外線、赤外線にさらされる業務
    2.強烈な騒音を発する場所における業務

    3.マンガン化合物(塩基性酸化マンガンに限る。)を取り扱う業務、またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務

    4.黄りんを取り扱う業務、またはりんの化合物のガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務

    5.有機りん剤を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務

    6.亜硫酸ガスを発散する場所における業務

    7.二硫化炭素を取り扱う業務またはそのガスを発散する場所における業務(有機溶剤業務に係るものを除く。)

    8.ベンゼンのニトロアミド化合物を取り扱う業務またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務

    9.脂肪族の塩化または臭化化合物(有機溶剤として法規に規定されているものを除く。)を取り扱う業務またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
    10.砒素またはその化合物(三酸化砒素を除く。)を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務

    11.フェニル水銀化合物を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務

    12.アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基またはエチル基であるものを除く。)を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務

    13.クロルナフタリンを取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務

    14.よう素を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務

    15.米杉、ネズコ、リョウブまたはラワンの粉じん等を発散する場所における業務

    16.超音波溶着機を取り扱う業務

    17.メチレンジフェニルイソシアネート(M.D.I)を取り扱う業務またはこのガスもしくは蒸気を発散する場所における業務

    18.フェザーミル等飼肥料製造工程における業務

    19.クロルプロマジン等フェノチアジン系薬剤を取り扱う業務

    20.キーパンチャーの業務

    21.都市ガス配管工事業務(一酸化炭素中毒)

    22.地下駐車場における業務(排気ガス)

    23.チェンソー使用による身体に著しい振動を与える業務

    24.チェンソー以外の振動工具(さく岩機、チッピングハンマー、スインググラインダー等)の取り扱い業務

    25.重量物取り扱い業務

    26.金銭登録の業務

    27.引金付工具を取り扱う業務

    28.肢体不自由児施設、特別養護老人ホーム等重症心身障害児者の入所施設における介護業務

    29.VDT作業

    30.レーザー機器を取り扱う業務またはレーザー光線にさらされるおそれのある業務

    結果報告

    特殊健康診断を実施したときは実施後遅延なく結果報告書を労働基準監督署に提出しなければなりません。

    健康診断結果報告書の様式は厚生労働省ホームページの「各種健康診断結果報告書」のページに掲載されています。


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  • 深夜業従事者の自発的健康診断

    自主的健康診断とは

    深夜業に従事する労働者であって、自己の健康に不安を有する者が、自らの判断で受診した健康診断の結果を事業者に提出した場合に、事業者に事後措置等を講ずる義務が生じます。(安衛法第66条の2)

    費用については、任意の健康診断であるため、事業主に負担義務はありません。

    この自発的健康診断は「6か月間を平均して1か月4回以上深夜業に従事」した場合に認められます。

    特定業務従事者とみなされる深夜業従事者は「業務の常態として深夜業を1週1回以上又は1月に4回以上行う業務」とされているので、少し違いがあります。

    つまり、自発的健康診断は「常態として」深夜業を行っていなくても対象になります。通常は日勤勤務の労働者が、業務多忙で夜10時を過ぎるような残業が1か月平均4回以上になってしまうような場合が想定されます。

    事後措置の実施義務

    この健康診断の結果を健康診断を受けた日から3か月以内事業者に提出した場合に、事業者は、医師から意見を聞き、事後措置を講じるように義務付けられています。

    なお、特定業務従事者である深夜業従事者が自発的健康診断を受診した場合は、特定業務従事者の健康診断(年2回)の1回分を受けたものとみなされます。


    関連記事:深夜業従事者の特定業務従事者健康診断

    会社事務入門安全衛生法に基づく健康診断>このページ

  • 深夜業従事者の特定業務従事者健康診断

    深夜業は特定業務の一つです

    特定業務従事者健康診断を実施しなければならない特定業務には「深夜業を含む業務」が含まれます。

    関連記事:特定業務従事者健康診断

    深夜業に常時従事する労働者

    深夜業に常時従事する労働者に対しては、その業務への配置替えの際に行う健康診断、及び6か月に1回定期に行う健康診断を実施しなければなりません。

    常時従事とは、通達で「深夜業を含む業務に関しては、業務の常態として、深夜業を1週1回以上または1か月に4回以上行う業務」と示されています。(昭和23.10.1基発1456号)

    業務の常態としてということなので、通常は深夜業を行わない事業場において、たまたま残業が遅くなって10時を過ぎることがあったというだけでは特定業務従事者には該当しないと考えられますが、シフト制などにより深夜勤務を常態として実施している事業場では、その事業場において少しでも深夜勤務をする労働者は特定業務従事者として扱う方がよいでしょう。

    自発的健康診断

    深夜業を含む業務についてはもう1つ健康診断があります。安衛法第66条の2に定められた自発的健康診断です。

    関連記事:深夜業従事者の自発的健康診断


    会社事務入門安全衛生管理体制健康診断について特定業務従事者健康診断>このページ

  • 特定業務従事者の健康診断

    特定業務従事者健康診断

    特定業務従事者の健康診断は、労働安全衛生規則第45条に基づく法定健診です。深夜業などの特定業務に従事する労働者に対して、特定業務への配置替えの際、そして6か月以内ごとに1回、定期健康診断と同じ項目の健康診断を行わなければなりません。

    特定業務とは

    1 多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所における業務

    2 多量の低温物体を取り扱う業務および著しく寒冷な場所における業務

    3 ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務

    4 土石、獣毛等の塵埃または粉末を著しく飛散する場所における業務

    5 異常気圧下における業務

    6 削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

    7 重量物の取り扱い等重激な業務

    8 ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

    9 坑内における業務

    10 深夜業を含む業務

    関連記事:深夜業従事者の特定業務従事者健康診断

    関連記事:深夜業従事者の自発的健康診断

    11 水銀、ヒ素、黄リン、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸、その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

    12 鉛、水銀、クロム、ヒ素、黄リン、フッ化水素、塩素、塩酸、硝酸,亜硫酸,硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸,ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気または粉塵を発散する場所における業務

    13 病原体によって汚染のおそれが著しい業務

    14 その他労働大臣が定める業務

    対象者

    常時使用する労働者が対象です。具体的には、期間の定めのない契約により使用される者、期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者が対象になります。

    パート労働者等の短時間労働者も、上記の雇用期間の条件に加えて、その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であれば対象になります。

    また、4分の3以上を満たせば義務になりますが、概ね2分の1以上である者に対しても実施するのが望ましいとされています。


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