Last Updated on 2024年8月29日 by 勝
在留資格を確認する
外国人労働者を採用する場合には、日本国内で就労するための要件を充たしているかどうかを確認しなければなりません。
外国人の方の在留資格や在留期間は、外国人登録証明書又は旅券面の上陸許可証印、就労資格証明書等により確認できます。また、資格外活動の許可を得ているか否かについては、資格外活動許可書により確認することができます。
在留管理の詳細は、出入国在留管理庁ホームページに掲載されています。
就労資格のない外国人を就労させることは法律で禁止されています。不法就労した外国人だけでなく、不法就労させた事業主も処罰の対象となります。不法就労助長罪は3年以下の懲役および300万円以下の罰金となっています。令和6年6月に成立した改正法により5年、500万円に引き上げられることになっています。なお、雇用しようとする際に就労資格がないことを知らなかったと主張しても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には不法就労助長罪が成立するので充分な注意が必要です。
留学等により在留している場合
在留資格のうち、文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在の6種類は、原則として就労が認められません。「留学」、「就学」及び「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人の方がアルバイト等の就労活動を行う場合には、地方入国管理局で資格外活動の許可を受けることが必要です。
観光ビザ
観光ビザで日本に入国している人は「短期滞在」の在留資格なので収入を伴う事業を運営したり、また、報酬を得る活動に従事することはできません。したがって、雇用すると問題が生じる可能性があります。
留学生
留学生をアルバイトとして雇用するには、入国管理局で「資格外活動許可」を得ておく必要があります。
「資格外活動許可」の窓口は入国管理局の出張等です。詳しくは入国管理局ホームページの各種手続き案内の資格外活動許可を参照して下さい。また、大学が手続きの代行や相談を行っている場合があるので、まずは大学に確認して下さい。
就労時間の規制にも注意が必要です。
資格外活動の許可を得れば、「留学」の在留資格をもって在留する外国人の方については原則として1週28時間まで、「就学」の在留資格をもって在留する外国人の方については原則として1日4時間まで就労することが可能です。
また、「留学」の在留資格をもって在留する外国人は、在籍する教育機関が夏休み等の長期休業期間中については、1日8時間まで就労することが可能です。これらの就労は包括的に許可されますが、教育機関の長期休業期間等、具体的な許可の範囲については、「資格外活動許可書」により確認することができます。
卒業後
大卒の留学生が日本で就職するには、「留学」から「技術」ヘ在留資格の変更をしなければなりません。
外国人研修・技能実習制度
産業上の技術・技能・知識を修得してもらう目的で、外国の労働者を一定期間日本の産業界に受け入れる制度が「外国人研修・技能実習制度」です。単純労働力として受け入れるものではなく、国際的な人材育成として実施する制度です。しかし、劣悪な労働条件で働かせているケースが問題になっています。
特定技能外国人労働者
2019年4月から、在留資格に「特定技能」が追加されました。特定技能は、技能実習とは違い、外国人の方を労働者として受け入れる在留資格です。人手不足が深刻であると認められた一定の分野において外国人労働者の就労が可能となりました。
特定技能1号は、特定産業分野において、相当程度の知識または経験を持つ外国人に向けた在留資格 です。すぐに一定の業務をこなせる水準であることが求められます。試験があります。
特定技能2号は特定技能1号修了者が移行できる資格です。特定技能2号は更新が無期限であるため、就労先がある限り日本に在留することが可能です。
外国人雇用状況の届出
外国人労働者(特別永住者及び在留資格「外交」と「公用」の者を除く)の雇入れまたは離職の際に、当該外国人労働者の氏名、在留カード番号、在留資格、在留期間等について確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることが、労働施策総合推進法により義務付けられています。
雇用保険の被保険者である外国人については、雇用保険の被保険者資格の取得届又は喪失届を提出することで外国人雇用状況の届出を行ったことになります。備考欄に、在留資格、在留期限、国籍等を記載します。また、在留カード番号も必要です。
届出期限は取得届又は喪失届の提出期限と同様に、雇入れの場合は翌月10日までに、離職の場合は翌日から起算して10日以内です。
雇用保険の被保険者ではない外国人については、外国人雇用状況届出書(様式第3号)を提出してください。届出期限は雇入れ離職の場合ともに翌月末日までです。
記載事項は、在留カード、パスポート(資格外活動については資格外活動許可書等)により確認します。
外国人労働者の雇用労務責任者の選任
事業主には、外国人労働者の雇用管理の改善及び再就職支援の努力義務が課されています。また、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、外国人労働者の雇用労務に関する責任者を選任する必要があります。
労働基準法等の適用
外国人労働者についても、労働関係法令は当然に適用されます。労働基準法第3条に「労働者の国籍などを理由として、賃金、労働時間その他労働条件について差別的な取り扱いをしてはならない」と定められています。
採用にあたっては、日本人に対する場合と同様に、雇入通知書などを交付し、労働条件を明確にしたうえで雇用しましょう。また、雇用契約書は、日本語の雇用契約書と英語(できれば、入社する人の国の言語)の雇用契約書を用意しましょう。
厚生労働省ホームページに、日本語を併記した多言語による労働条件通知書がアップされています。
上記ページ内の「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」です。
社会保険などの取扱い
社会保険については外国人も日本人と同じです。加入条件を満たしていれば加入対象になり、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」「厚生年金保険被保険者アルファベット氏名(変更)届」にパスポート、在留カードなどの添付書類を揃えて提出します。
社会保険の被扶養者にするには、一部の例外を除き、国内に住所を有していることが条件です。
労災保険、雇用保険の適用も日本人と同様です。加入条件を満たしていれば加入対象になります。
社会保障協定締結国の外国人は、期間が5年を超えない見込みであれば、その期間は日本の法令の適用を免除して相手国の法令を適用し、5年を超える見込みのときは最初から日本の法令を適用します。
日本の老齢年金は10年の加入で受給資格を得ることができるので、短期間の加入でも、社会保障協定締結国の年金制度と通算して10年以上になれば、将来日本から年金を受給できることになります。6ヶ月以上厚生年金保険に加入している場合、帰国した2年以内に請求をすれば、脱退一時金を請求できます。
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