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稟議制度について

Last Updated on 2023年10月22日 by

稟議制度とは

稟議は「りんぎ」と読みます。

稟議とは、「こういうことしてもいいですか?」と上層部にお伺いをすることです。お願いしたい内容を記載した文書を稟議書といいます。

稟議は、下位の者が提案内容を書く(起案する)→関係者に回付する(承認を得る)→権限者が許可する(決裁される)→(実行する) というプロセスで完了します。

関係者に回付されるので、途中で異議がでてくれば稟議は終了し、許可されなかったことになります。

なので、多くの場合は、稟議の前に了承を得て回ります。「根回し」とか「社内営業」といます。こういうのが無駄だという意見もあるのですが、いろいろな考え方があることが分かったり、自分の考えが調整されてよりましなものになったりする効果もあります。

稟議制度は、日本独特の意思決定プロセスだといわれています。でも 海外ドラマをみていると、分厚い書類を出してプレゼンして上司のOKをとる場面がありますから、承認のプロセスはあるのだと思います。

稟議の対象

何を稟議の対象にするかは会社によって異なります。通常は稟議規程によって運用します。

稟議規程のサンプル

「あれほしいんですがいいですか?」という場合に、その購入額が少額のものについては、稟議制度によらず、一定の役職に権限をあたえて、申請→許可という、稟議の簡略形で運用するところが多いです。

上位に対して決裁を求めるという点では稟議と同じですが、関係者への回付がないところが稟議と違います。

そのような簡略形も含めて稟議と呼ぶ会社もあります。

一般的には、高額物品の購入や設備投資、新規取引や与信の増額、取引先への投資や貸付などが稟議対象となります。高額とはいくらからを言うのか、などの細かいことは、稟議規程で定めておきます。

なお、取締役規程などで、取締役会で決議しなければならないと定められている事項については、社長決裁を経て取締役会で承認されて初めて実施できることになります。

稟議制度のメリット

口頭でお願いするのと違って、文書にすることで実行したい行為が明確になります。

稟議という正式なお墨付きが手に入るので「俺は聞いていない」というの人が現れにくくなります。

文書ですから、終わってもしばらく保管されます。過去の稟議は自分が起案するときに参考になります。

稟議制度のデメリット

面倒なことです。「あれ買っていいでしょうか」「いいよ」の会話で終わることを、わざわざ文書にしてハンコをもらうのですから。

また、書類が回るのに時間がかかるのも欠点です。

関係者が同意したうえで決裁者に回ってくるので、決裁者が不同意にしにくい流れになり、結果的に責任の所在があいまいになることも欠点の一つだといわれています。(個人の責任というより全体の責任になるわけです)

稟議制度が必要な会社

逐一社長に説明して、口頭で「よしやろう」と返事があれば実行する、そういう会社であれば稟議制度はいりません。

稟議制度は、会社の成長過程で、取引先が増えて、伴なって契約の数も増えて、社長一人では手が回らなくなった段階で必要になります。

では、中小企業には必要ないかというと、そうとも言い切れません。

稟議制度を始めると、一言でいうときちんとした会社らしくなってきます。社外の目も変わってきます。稟議制度があると知られるときちんとした会社だとみてくれる要素になります。

内部的にも少し引き締まります。ですから、ウチは小さいからといわず、小さいうちから導入して当たり前にしてしまうことが大事のように思います。


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