業務用パソコンの社外持ち出しを許可するときの注意点

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Last Updated on 2025年9月28日 by

業務用パソコン持ち出しルールについて一般的な管理手法を紹介します。

業務用パソコン持ち出しルール

近年、働き方の多様化に伴い、社外での業務遂行機会が増加しています。これまでの都度承認制では、業務効率の低下を招くケースが見受けられるようになりました。

そこで、情報セキュリティを確保しつつ業務効率を向上させるため、業務特性に応じた新しいパソコン持ち出しルールを策定しました。併せて、公共の場でのPC利用における注意点について解説します。

ルールの概要

このルールでは、部署の業務内容に応じて、「原則禁止・必要時のみ許可制」と「常時持ち出し前提」の2つのカテゴリに分類します。

カテゴリ対象部署(例)持ち出しルールセキュリティ対策
原則禁止・必要時のみ許可制管理部門、開発部門、企画部門など事前申請・承認必須 → 持ち出しの都度、申請フォームにて申請し、上長が承認する。技術的対策 ・フルディスク暗号化 ・画面ロック(自動・手動)
常時持ち出し前提営業部門、サービス部門など四半期申請 → 定期的に持ち出し許可を申請し、承認を得る。以降の都度申請は不要。技術的対策フルディスク暗号化(必須)リモートワイプ(必須) ・MDMによる位置情報管理 ・業務システムへのVPN接続必須

各カテゴリの運用ルール

① 「原則禁止・必要時のみ許可制」の運用

持ち出し頻度が低い部署向けのルールです。

  • 申請方法: 申請フォームを利用し、持ち出し日時、目的、行き先を記入します。申請が承認されると、台帳に記録されます。
  • 目的外の利用禁止: 持ち出しが許可された業務以外での利用は禁止します。
  • 技術的対策:
    • 全ての業務用PCにフルディスク暗号化を適用します。これにより、紛失・盗難時にデータが読み取られるリスクを排除します。
    • 短時間の離席時でも、画面ロックを徹底するよう義務付けます。一定時間操作がない場合は、自動でロックがかかる設定も導入します。

② 「常時持ち出し前提」の運用

外回りが多い営業部門など、持ち出しが前提となる部署向けのルールです。

  • 申請方法: 四半期ごとにまとめて持ち出し許可を申請します。承認済みのPCには、PCに貼付するシールやデジタル許可証などを発行し、持ち出し時に承認済みであることを視覚的に示します。
  • 技術的対策の強化: 許可されたPCに対し、以下のセキュリティ対策を必須とします。
    • フルディスク暗号化: 上記同様、紛失・盗難時のデータ漏洩を防ぎます。
    • リモートワイプ: PCの紛失・盗難時に、遠隔操作でデータを消去できるシステムを導入します。万一の際は、速やかに情報システム部門に連絡してください。
    • MDM(モバイルデバイス管理)の導入: PCの利用状況、位置情報などを一元管理し、不審な挙動を検知できるようにします。
    • VPN接続の義務化: 公衆Wi-Fiなどの安全性が不確かなネットワーク利用時は、必ずVPNを介して接続するよう義務付けます。
  • 物理的対策の徹底:
    • 覗き見防止フィルターの装着を義務付けます。
    • PCから離れる際は、盗難防止用ワイヤーでPCを固定するよう徹底します。

公共の場でのPC利用における注意点

新幹線やカフェなど公共の場でのパソコン利用は、情報漏洩や盗難のリスクが高まります。会社の情報資産を守るため、以下の点を徹底してください。

  • 画面の「覗き見」に注意してください
    • 他者から画面を覗き見られる「ショルダーハック」を防ぐため、覗き見防止フィルターの装着を必須とします。
    • パスワード入力や機密性の高い情報の閲覧・編集は、極力人目のない場所で行うようにしてください。
  • 公衆Wi-Fiの利用は原則禁止です
    • 駅やカフェなどで提供されている公衆Wi-Fiは、通信が盗聴されるリスクがあります。
    • 社用パソコンで公衆Wi-Fiに接続することは原則禁止とします。
    • インターネット接続が必要な場合は、会社のモバイルWi-Fiルーターや、スマートフォンのテザリングを利用してください。
  • 盗難・紛失に備えてください
    • 短時間の離席時でも、必ずパソコンの画面をロック(Windowsキー + L)してください。
    • 席を離れる際は、盗難防止用ワイヤーでPCを固定することを推奨します。

周知と教育

ルールの適用に際し、従業員のセキュリティ意識向上を目的として以下の施策を実施します。

  • セキュリティ研修の実施: 部署ごとの新しいルールと、その背景にあるセキュリティリスクについて、改めて研修を実施します。
  • ガイドラインの配布: 公共の場でのPC利用方法(例:VPN接続手順、画面ロックの徹底など)をまとめたガイドラインを配布します。