短時間正社員就業規則のサンプル

会社規程

短時間正社員制度を導入するための就業規則のサンプルを示します。

短時間正社員の就業規則は、基本的な部分(服務規律、懲戒、災害補償など)は通常の正社員の就業規則(本則)を適用とし、労働時間、賃金、人事評価など、短時間勤務に伴って異なる部分だけを「別規定」または「特則」として定めるのが効率的です。

短時間正社員就業規則

第1条(目的)

本規則は、会社の労働者のうち、期間の定めのない労働契約を締結しつつ、フルタイム正社員と比較して所定労働時間が短い「短時間正社員」に適用する労働条件、服務規律その他の就業に関する事項を定める。本規則に定めのない事項については、正社員就業規則(以下「本則」という)を適用する。

第2条(定義)

本規則でいう短時間正社員とは、次の要件をすべて満たす者とする。

  1. 期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結していること。
  2. 一週間の所定労働時間が、本則に定めるフルタイム正社員の所定労働時間よりも短いこと。
  3. 時間当たりの基本給、賞与及び退職金等の算定方法が、同種のフルタイム正社員と同等であること。

第3条(適用対象者)

短時間正社員として雇用する者、または次の事由によりフルタイム正社員から短時間正社員への転換を会社が承認した者に適用する。

  1. 育児または家族の介護を行う者。
  2. 疾病、負傷または心身の健康維持を理由とする者。
  3. 自己啓発(学業)または地域貢献活動を理由とする者。
  4. その他、会社が特に認めた事由による者。

第4条(所定労働時間)

  1. 短時間正社員の一日の所定労働時間は〇時間〇分とし、始業時刻および終業時刻は個別の労働契約または辞令等に定めるものとする。
  2. 前項にかかわらず、育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度の適用を受ける者については、同法の定めるところによる。
  3. 会社は、業務上の必要がある場合、個別合意により所定労働時間または労働日を変更することがある。

第5条(休憩時間)

短時間正社員の休憩時間は、労働基準法第34条に基づき、所定労働時間に応じて付与する。

第6条(時間外労働および休日労働)

  1. 短時間正社員に対し、原則として時間外労働を命じない。
  2. 業務上やむを得ない事由により、時間外労働または休日労働を命じる必要がある場合は、個別合意に基づきこれを行う。ただし、その場合においても、労働時間は本人の健康と短時間正社員となる理由を最大限考慮する。

第7条(基本給および諸手当)

  1. 短時間正社員の基本給は、フルタイム正社員の基本給を基礎とし、所定労働時間に応じて比例的に決定する。
  2. 所定労働時間に関わらず、短時間正社員にも通勤手当、単身赴任手当など、支給要件を満たす諸手当を支給する。ただし、時間外労働を前提とする手当、または労働時間に比例して算定する手当については、その算定方法を別に定める。

第8条(賞与および退職金)

短時間正社員の賞与および退職金は、フルタイム正社員と同一の算定方法(時間当たりの基本給を基に算定)を適用する。

第9条(人事評価)

  1. 人事評価は、短時間正社員であることを理由に不利益な取り扱いを行わず、職務内容と短縮された労働時間を考慮した目標設定に基づき、公平に行う。
  2. 昇給、昇格、昇進については、勤務時間や労働日数を理由として一律に制限しないものとする。

第10条(フルタイム正社員への転換)

  1. 短時間正社員がフルタイム正社員への転換を希望する場合、会社は転換の機会を与えるための措置を講じる。
  2. 転換の要件および手続きは、別に定める基準(例:面接、業務能力評価、フルタイム勤務の可否確認等)に基づき決定する。
  3. 転換が認められた場合、労働条件は本則に定めるフルタイム正社員の条件を適用する。

検討事項

この就業規則サンプルは、短時間正社員の「無期雇用」と「待遇の均等」(時間当たりの基本給などが同等)という核心的な要件を満たしつつ、実務上必要となる勤務時間の個別設定や、評価の公平性に関する条項を盛り込んでいます。

特に、時間外労働や休日労働の取り扱い、そして人事評価の公平性は、導入後のトラブルを避けるために詳細に定める必要があります。具体的な賃金や評価の算定式については、別途「賃金規程」や「評価規程」の特則として定めることをお勧めします。

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