官報の電子化
明治16年の創刊以来、紙の印刷物として発行されてきた官報は、令和7年(2025年)4月1日から電子化されました。
「官報の発行に関する法律」の施行により、現在は内閣府の官報発行サイトに掲載される電子データが官報の正本となっています。
インターネットを利用できない方への配慮として、官報の情報を記載した書面(官報掲載事項記載書面)の交付や、通信障害などの場合は書面官報の発行・頒布の措置も定められています。
したがって、紙の官報は原則として廃止され、電子版が正式なものとなっていますが、完全に書面での入手手段がなくなったわけではありません。
官報への公告掲載申し込みの一般的な手順
官報が電子化された後も、会社などの「公告」の掲載申し込み手続き自体は、原則としてこれまでと同様に「官報公告等取次店(官報サービスセンター)」を通じて行います。
具体的な手順は取次店によって多少異なりますが、主な流れは以下のようになります。
- 公告の種類と内容の決定
- 掲載したい公告(例:合併公告、決算公告、解散公告など)の種類と、公告文の原稿内容を決定します。
- ポイント: 会社法などの法令に基づき、必要な記載事項を満たしているか確認が必要です。特に債権者異議申述公告には、最終貸借対照表の開示状況の記載が必須です。
- 取次店(官報サービスセンターなど)の選択と連絡
- 各都道府県にある「官報サービスセンター」や、その他の「官報公告等取次店」を選びます。
- ほとんどの取次店で、全国どこからでも申し込みが可能です。
- 申し込み方法の選択と原稿の提出
- 多くの取次店で、以下のいずれかの方法で申し込みと原稿提出が可能です。
- Web入力フォーム:オンラインで公告の種類を選び、必要事項と原稿を入力・送信します。
- メール・FAX・郵送:申込書(取次店のWebサイトからダウンロード)と作成した原稿ファイル(WordやExcelなど)を送信します。
- ※原稿作成用のひな型を提供している取次店もあります。
- 多くの取次店で、以下のいずれかの方法で申し込みと原稿提出が可能です。
- 原稿の確認と校正
- 取次店が原稿内容を確認し、問題があれば連絡がきます。
- 必要に応じて校正が行われ、掲載日や料金の見積もりが確定します。
- 正式な申し込みと掲載
- 校正が完了し、原稿が確定すると、指定された掲載日に官報(電子版)に公告が掲載されます。
- 掲載後、取次店から掲載資料(掲載された官報のPDFデータなど)と請求書が送付されます。
掲載完了後
- 登記添付書類としての利用(法務局への提出など)
- 官報が電子化されたため、登記の添付書類として公告を提出する場合、官報発行サイトからダウンロードしたPDFファイルをそのまま電磁的記録媒体(CD-R、DVD-R等)に保存して提出するか、オンライン申請で添付データとして提出します。
- ダウンロードした官報をプリントアウトした紙は、登記申請に利用できないので注意が必要です。