クマが出没する地域内にある会社はどのような対策をすればよいか

防火・防災

クマが出没する地域にある会社として、従業員と来客の安全確保と、クマを会社敷地内に寄せ付けない環境づくりの二つの側面から対策を講じることが重要です。

クマを寄せ付けないための環境整備

クマは食べ物や隠れ場所を求めて人里に近づきます。誘引物を徹底的に排除することが基本です。

  • 誘引物の適切な管理・撤去
    • 生ゴミ・残飯の管理徹底: 従業員の食堂や休憩室から出る生ゴミ、廃棄食材、残飯などを、クマが容易に開けられない頑丈なフタ付きの容器に入れ、施錠できる場所や屋内の定位置に保管します。匂いが漏れないように密閉を心がけ、屋外に放置しないようにします。
    • 倉庫・保管場所の施錠: クマが侵入して食べ物や揮発性物質(ガソリン、オイルなど)を嗅ぎつけないよう、倉庫や物置、ゴミ保管場所などは施錠を徹底します。
    • 敷地内の果実・誘引木の除去: 敷地内にクリや柿などの実のなる木がある場合は、実が熟す前に早めに収穫するか、管理が困難な場合は伐採を検討します。
  • 敷地の見通しを良くする
    • 藪の刈払い: 敷地周辺や建物沿いの藪、草むらなどを定期的に刈り払い、クマが身を隠せる場所をなくして見通しを良くします。
    • 防護柵の設置: 必要に応じて、電気柵や物理的な柵を設置し、敷地への侵入を防ぐことを検討します。電気柵はクマに「この場所に入ると痛い」という学習効果を与える心理柵として機能します。クマの掌(肉球)は通電性が良いため、鼻先や体に電線が触れると強い電気ショックを受け、その場所への接近を避けるようになります。
    • 防護柵の設置を検討する際は、まずはお住まいの市町村役場の農林課や環境課、鳥獣対策担当部署に相談することをお勧めします。補助金の情報が得られたり、設置方法の指導を受けられたりする場合があります。

従業員・来客の安全確保と周知徹底

万が一クマが出没した場合の対応と、日頃からの注意喚起が不可欠です。

事前準備と周知

  • 出没情報の収集と共有
    • 自治体、警察、地域の出没情報(ウェブサイト、アプリ、防災無線など)をこまめにチェックし、最新の情報を従業員に共有します。
    • 特にクマの行動が活発になる早朝や夕方は警戒が必要です。
  • 屋外作業の制限と対策
    • クマの出没情報がある場合、屋外作業を一時的に中止する、または複数人で行うルールを定めます。
    • 屋外作業時には、クマ鈴やラジオなどで音を出し、人の存在をアピールするよう徹底します。
  • 対策グッズの常備
    • クマ撃退スプレー(唐辛子エキスなど)を準備し、使用方法を事前に学習しておきます。
    • クマ撃退スプレーは、万が一接近戦を余儀なくされたときに、有効性が認められている唯一の護身具です。クマが近づいてきた(有効射程距離内、約3〜5メートル)のを確認してから、顔面に集中して噴射します。
    • ホイッスル、爆竹なども、クマを威嚇するために有効な場合があります。
    • 消火器を噴射して追い払った例もあります。
  • 避難場所と誘導の確認
    • クマが出た場合の一時避難場所(建物内、車内など)を指定し、避難経路を確認しておきます。

遭遇時の対応

  • 目撃・遭遇時
    • 大声を出さず、走って逃げない(クマを刺激する可能性があります)。
    • クマから目を離さず、ゆっくりと後ずさりして距離を取ります。
    • 建物内や車内に速やかに避難します。
    • 避難できない場合は、電柱や岩などを間に挟み、体を丸くして防御姿勢をとる準備をします。
  • 従業員・来客への周知
    • 目撃情報があった際は、館内放送や張り紙などで速やかに周知し、屋外にいる人々を建物内に誘導します。
    • 従業員に対して、個人での行動(通勤・退勤時の単独行動)に十分注意するよう促します。
  • 緊急連絡
    • クマが出没した場合の緊急連絡先(自治体の担当部署、警察など)を事前に確認し、社内で周知徹底します。
    • 通報する際は、必ずご自身の安全を確保した上で、目撃した「日時、場所、頭数、大きさ、進行方向、被害の有無」などをできるだけ正確に伝えてください。
    • 通常の目撃情報:市町村役場
    • 緊急性が高い場合:警察

これらの対策をマニュアル化し、従業員への教育・訓練を実施することで、リスクを最小限に抑えることができます。

貴社が位置する自治体のクマ対策ガイドラインや地域の出没状況によって、より重点的に行うべき対策が変わってくる場合がありますので、それらを確認することをお勧めします。