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契約書が見つからない!を防ぐための管理ルールとシステム活用法

Last Updated on 2025年8月2日 by

「あの契約書、どこにいったっけ?」

会社の成長とともに増え続ける契約書。いざという時に必要な書類が見つからない、紛失してしまった、といったトラブルは、ビジネスにおいて大きなリスクとなり得ます。

この記事では、契約書管理の重要性から、様々な管理方法のメリット・デメリット、そして法律上の注意点までを徹底解説します。

なぜ、契約書管理は重要なのか?

契約書は、会社にとって重要な法的証拠です。適切に管理されていないと、以下のような問題が発生する可能性があります。

訴訟リスクの増大: 契約内容の確認に時間がかかり、対応が遅れる。

コンプライアンス違反: 法律で定められた保管期間を守れず、罰則の対象となる。

ビジネス機会の損失: 必要な契約書をすぐに取り出せず、商談が滞る。

これらのリスクを回避するためには、体系的な管理ルールと、それを支えるシステムが不可欠です。

紙ベースの管理:基本にして最もシンプル

伝統的な管理方法である紙ベースの管理は、物理的な原本を保管する安心感があります。

メリット

導入コストが低い: ファイルやキャビネットがあればすぐに始められます。

法的要件を満たしやすい: 原本保管が求められるケースに確実に対応できます。

デメリット

検索性が低い: 必要な書類を探すのに時間がかかります。

紛失・劣化のリスク: 火災や水害などで失われる可能性があり、紙の劣化も避けられません。

保管スペースが必要: 書類が増えるほど、保管場所が圧迫されます。

管理ルールのポイント

ファイリングルール(案件名、取引先、日付など)を統一する。

キャビネットや書庫の鍵を管理し、アクセスを制限する。

保管期間終了後の廃棄ルールを定める。

PDF化によるグループウェア管理:デジタルの第一歩

紙の契約書をスキャンしてPDF化し、社内グループウェアやファイルサーバーで管理する方法です。

メリット

検索性が向上: ファイル名やキーワードで検索できるため、探す時間が短縮されます。

保管スペースの削減: 物理的な保管場所が不要になります。

共有が容易: 必要な人にすぐにデータを共有できます。

デメリット

原本管理は別途必要: 法律上、原本保管が必要な書類も多いため、紙の原本も併せて管理する必要があります。

セキュリティ対策が必要: 意図しないデータ流出のリスクがあります。

スキャン作業の手間: 契約書が増えるほど、PDF化の作業が負担になります。

管理ルールのポイント

スキャンしたファイルの命名規則を統一する。

原本とPDFの紐づけ方法を明確にする。

アクセス権限を設定し、閲覧者を制限する。

クラウドサービスを使った管理:最もスマートな方法

契約書管理に特化したクラウドサービスを利用する方法です。

メリット

高い検索性: 契約書の内容まで全文検索できるサービスもあります。

厳重なセキュリティ: 多くのサービスで、高度なセキュリティ対策が施されています。

ワークフロー機能: 契約締結までの承認プロセスをシステム上で管理できます。

更新通知機能: 契約の更新時期を自動で知らせてくれます。

デメリット

導入コストがかかる: 月額利用料や初期費用が発生します。

サービス選定の手間: 自社のニーズに合ったサービスを見つける必要があります。

システム依存: サービスが停止した場合、一時的に閲覧できなくなるリスクがあります。

管理ルールのポイント

サービスの利用方法に関する社内マニュアルを作成する。

アカウント管理とパスワード管理を徹底する。

定期的にバックアップを取る。

法律上の制約と注意点

契約書管理において、法律上の制約を無視することはできません。特に以下の点に注意が必要です。

電子帳簿保存法(電帳法)

2022年の法改正により、一定の要件を満たせば、紙で受け取った契約書もスキャンして電子データとして保存することが可能になりました

ただし、タイムスタンプの付与や真実性を確保するための措置など、様々な要件があります。

原本保管の必要性

一部の法律では、紙の原本保管が義務付けられている場合があります。

例えば、不動産登記に関する書類や公正証書などです。弁護士や専門家に相談し、自社の書類が該当しないか確認しましょう。

契約書管理は、単に書類を整理するだけでなく、会社のコンプライアンスを守り、事業をスムーズに進めるための重要な土台です。

自社の状況や予算に合わせて、最適な管理方法とルールを構築し、大切な契約書を完璧に守りましょう。


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