中堅社員研修の準備と実施のポイント

社員研修・自己啓発

Last Updated on 2025年10月6日 by

入社3年目前後の社員は、業務に慣れ、「独り立ちしたプレイヤー」から「組織の中核を担う中堅社員(将来のリーダー候補)」へと意識を切り替える重要な時期です。この時期の研修は、「主体性」「問題解決力」「後輩指導力」の強化に焦点を当てることが効果的です。

中堅社員研修 モデルカリキュラム(2日間)

2日間を想定した中堅社員研修のモデルカリキュラムと、盛り込むべき具体的な内容を示します。

研修の目的

  • プロフェッショナル意識を確立し、「与えられる側」から「自ら考え、周囲を巻き込む側」へと意識を転換する。
  • 後輩指導・育成の基本スキルを習得し、チームのパフォーマンス向上に貢献する。
  • 問題発見・解決のプロセスを体系的に学び、業務の中核者として成果を出す力を強化する。

1日目:マインドセットと問題解決力の強化

時間帯テーマ目的と学習内容形式
午前プロフェッショナルマインドの再構築中堅社員に期待される役割の明確化
・「業務を完遂する」から「仕組みを作り、価値を創造する」への意識転換
・オーナーシップ(当事者意識)とフォロワーシップの重要性
・これまでの経験とスキル、今後のキャリアパスの検討
講義、 個人ワーク
ロジカルシンキング基礎思考の基盤強化
・MECE(モレなく、ダブリなく)の考え方
・ピラミッドストラクチャーを使った論理的な構成
講義、 演習
午後問題発見・解決力業務改善と課題解決の実践
・「発生した問題」と「潜在的な課題」の明確化(真因の特定)
・仮説思考に基づいた情報収集と検証サイクル
・効果的な意思決定のプロセス
講技、 グループワーク (自社の事例)
部門間連携・交渉力周囲を巻き込み、合意を形成する
・他部署との協力関係構築の重要性
・Win-Winの関係を目指す交渉の基本と実践
講義、 ロールプレイング
終了1日の振り返り本日の学びと、明日への意気込みの共有

2日目:後輩指導・コミュニケーションと実践応用

時間帯テーマ目的と学習内容形式
午前後輩指導(OJT)の基本「教えられる側」から「教える側」へ
・OJTトレーナーとしての役割と心構え
ティーチング(教え方)の基本(スモールステップ、褒め方など)
・成長を促す仕事の任せ方と進捗チェック
講義、 実践演習
フィードバック・コーチング部下・後輩の自律を促すスキル
・効果的なフィードバックの伝え方(事実と解釈を分ける)
コーチングの基本(傾聴、効果的な質問
講義、 ロールプレイング
午後タイム・生産性マネジメント個人のパフォーマンス最大化
・中堅社員に求められる業務の優先順位付けの基準
・「重要度」と「緊急度」のマトリクス活用
・業務の「ムリ・ムダ・ムラ」の発見と改善
講義、 個人ワーク
実践に向けたアクションプラン研修内容の実務への落とし込み
・「2週間で現場で実践すること」を具体的に設定
・問題解決、後輩指導、業務改善の各テーマで目標設定
宣言と相互フィードバック
個人ワーク、 発表
終了まとめと修了研修アンケート、経営層からのメッセージ

研修を成功に導くためのポイント

1. 「内省」と「将来」の時間を確保する

入社3年目は日々の業務に追われがちです。研修では一度立ち止まり、「これまでの経験から何を学んだか(経験学習サイクル)」「今後、会社でどのような役割を担いたいか」というキャリア観をじっくり考える時間を設けることが、中だるみ防止とモチベーション維持に非常に有効です。

2. 具体的なアウトプットを重視する

知識のインプットだけでなく、「自社の業務における問題解決ケース」や「後輩への指導シミュレーション」など、具体的な演習を通じてアウトプットさせることで、現場に戻ってからの行動変容につながります。特にロールプレイングは効果的です。

3. 「当社の中堅社員像」を明確に伝える

研修の最初に、経営層や人事から「当社が中堅社員(入社3~5年目)に特に期待すること」を明確に伝えてください。これにより、受講者は抽象的なスキル習得ではなく、自分の会社での具体的な役割として研修内容を捉えられます。