カテゴリー: 社員研修

  • 新入社員研修に組み込む「特殊詐欺対策研修」のやり方

    新入社員向けの特殊詐欺防止の講義カリキュラムを作成しました。特殊詐欺の「手口」と「心理」を理解することに重点を置き、具体的な対策を身につけられる内容にしました。

    導入:特殊詐欺とは何か?

    • 特殊詐欺の定義: そもそも特殊詐欺って何?
    • 被害の現状: 新入社員がターゲットにされやすい理由
    • 特殊詐欺の種類: 代表的な手口と近年の傾向

    知っておきたい! 特殊詐欺の典型的な手口

    新人社員研修向けの「特殊詐欺」の講義で、それぞれの詐欺の手口を具体的に説明するための内容を作成しました。

    各手口について、以下の3つのポイントを解説します。

    1. 手口の概要: どのような詐欺か、全体像をシンプルに説明。
    2. 具体的な会話例: 詐欺師が実際に使うセリフを提示し、臨場感を持たせる。
    3. 被害を防ぐポイント: その手口に騙されないための具体的な対策を解説。

    オレオレ詐欺

    • 手口の概要: 家族や親族(息子、孫など)を名乗り、「電話番号が変わった」「携帯をなくした」などと言って、冷静な判断を奪い、金銭を要求する手口です。
    • 具体的な会話例:
      • 詐欺師:「もしもし、俺だよ、俺。携帯変えたから、この番号を登録しといて。」
      • 被害者:「声が違うみたいだけど?」
      • 詐欺師:「風邪をひいててさ。実は、会社の金をなくしちゃって、今日中に振り込まないとクビになるんだ。絶対誰にも言わないでくれ。」
    • 被害を防ぐポイント:
      • すぐに電話を切る: 一度冷静になる時間を作る。
      • 本人確認: 以前の番号や、家族にしか分からない情報(誕生日、ペットの名前など)を尋ねる。
      • 絶対に誰にも言わない、はウソ: 「誰にも相談するな」と言われたら、詐欺と疑う。

    還付金詐欺

    • 手口の概要: 市役所や税務署、年金事務所などの公的機関を名乗り、「医療費の還付金がある」「税金の還付手続きができます」などと言って、ATMに誘導し、操作させてお金を振り込ませる手口です。
    • 具体的な会話例:
      • 詐欺師:「〇〇区役所の△△と申します。医療費の還付金手続きがまだ済んでいません。期限は本日までです。」
      • 被害者:「どうすればいいですか?」
      • 詐欺師:「金融機関のATMで手続きができます。今から電話をつないだまま、お近くのATMに行ってください。私が操作方法をお伝えします。」
    • 被害を防ぐポイント:
      • 公的機関は電話でATMを指示しない: 公的機関が電話でATMの操作を指示することはありません。
      • 不審に思ったら: 一度電話を切り、自分で調べて元の公的機関の電話番号にかけ直して確認する。

    架空料金請求詐欺

    • 手口の概要: 「有料サイトの利用料金が未納になっている」「未払いの請求がある」などとメールやハガキを送り付け、支払いを要求する手口です。
    • 具体的な会話例:
      • (ハガキやメール)「利用料金が未納のまま放置されています。本日中にご入金がない場合、法的措置に移行します。」
      • 詐欺師(電話):「お支払いがないため、法的措置の手続きに入らせていただきます。支払いの意思があるか確認させてください。」
    • 被害を防ぐポイント:
      • 無視する: 身に覚えのない請求は、基本的に無視する。
      • 焦って連絡しない: 焦って書かれている電話番号に連絡すると、詐欺師の思うつぼ。
      • メールのURLをクリックしない: 不審なメールのURLは絶対にクリックしない。

    預貯金詐欺

    • 手口の概要: 警察官や銀行協会の職員などを名乗り、「あなたの口座が犯罪に利用されている」「キャッシュカードの交換手続きが必要です」などと言って、キャッシュカードや暗証番号を騙し取る手口です。
    • 具体的な会話例:
      • 詐欺師:「〇〇警察署の△△です。あなたの口座情報が詐欺グループに流出している可能性があります。古いキャッシュカードを新しいものに交換する必要があるため、すぐに取りに伺います。」
    • 被害を防ぐポイント:
      • 警察官はキャッシュカードを預からない: 警察官や銀行職員が自宅を訪ねてキャッシュカードを預かることは絶対にない。
      • 暗証番号は教えない: どんな理由であれ、暗証番号は誰にも教えない。

    サポート詐欺

    • 手口の概要: パソコンの画面に「ウイルスに感染しています」「セキュリティ警告」などの偽のメッセージを表示させ、表示された電話番号にかけさせ、解決費用と称して金銭を騙し取ったり、遠隔操作で情報を盗み取る手口です。
    • 具体的な会話例:
      • (パソコンの画面)「警告:お使いのパソコンはウイルスに感染しています。すぐにこの番号にお電話ください。050-XXXX-XXXX」
      • 詐欺師(電話):「サポートセンターです。パソコンを遠隔操作で確認しますので、指示通りに操作してください。」
    • 被害を防ぐポイント:
      • 偽警告画面を信じない: 画面に表示される警告は、ほとんどが偽物。
      • 表示された番号に電話しない: 焦らず、表示された番号には絶対に電話しない。
      • 遠隔操作は拒否する: 知らない相手にパソコンを遠隔操作させることは絶対に避ける。

    SNS型投資・ロマンス詐欺

    • 手口の概要: SNSやマッチングアプリで知り合った人物が、恋愛感情を抱かせたり、親しい友人関係を築いたりして信頼させ、高額な投資話や資産運用を持ちかけ、金銭を騙し取る手口です。
    • 具体的な会話例:
      • 詐欺師:「実は、FXや仮想通貨の投資で儲けているんだ。絶対に損しない投資先を教えるから、君も一緒にやらないか?」
      • 被害者:「でも、投資は怖くて…」
      • 詐欺師:「僕が丁寧に教えるから大丈夫だよ。僕と君の将来のためだと思わない?」
    • 被害を防ぐポイント:
      • 会ったことのない人物を安易に信じない: SNSやアプリで知り合っただけの人物からのお金の話は、詐欺と疑う。
      • うますぎる儲け話は詐欺: 「絶対に儲かる」「元本保証」といったうまい話は、すべて詐欺。
      • 第三者に相談する: 一人で判断せず、家族や友人に相談する。

    これらの具体的な説明と会話例を盛り込むことで、新入社員はそれぞれの詐欺手口の「パターン」を認識し、いざという時に「これはあの手口だ」と気づくことができるようになります。

    なぜ騙されてしまうのか? 詐欺師が利用する心理

    • 緊急性の演出: 「今すぐ振り込まないと大変なことになる」
    • 権威性の利用: 「警察です」「市役所です」など公的機関を名乗る
    • 孤独感の利用: 新しい環境で不安な気持ちにつけ込む
    • 正常性バイアス: 「まさか自分が騙されるわけがない」という思い込み
    • 罪悪感・善意の利用: 「困っている人を助けたい」という気持ちにつけ込む

    特殊詐欺から身を守るための具体的な対策

    • 基本的な心構え: 「おかしいな?」と思ったらどうするか?
    • 4つのキーワード: 「電話に出ない」「一人で決めない」「すぐに振り込まない」「相談する
    • 実践的な対処法:
      • 自宅の電話を常に留守番電話設定にする
      • 知らない電話番号には出ない、折り返さない
      • お金の話は一人で判断しない
      • すぐに家族や警察に相談する
      • 多額の現金を引き出さない
      • 怪しいURLはクリックしない、添付ファイルを開かない

    ロールプレイング

    新入社員研修での特殊詐欺防止のロールプレイングでは、現実的なシナリオを通じて、詐欺の手口を見抜き、冷静に対応する練習を行います。詐欺師役と新入社員役に分かれ、断るための具体的なセリフや行動を学ぶことが目的です。

    シナリオの選定

    新入社員が遭遇しやすい詐欺手口を厳選し、2〜3つのシナリオを用意します。

    知っておきたい! 特殊詐欺の典型的な手口から選択してください。

    ロールプレイングの進め方

    ロールプレイングは、以下のステップで進めます。

    1. 導入: まず、各シナリオの背景(例:「実家にかかってきた電話」「パソコンに表示された警告」など)を説明します。詐欺師役には、具体的なセリフや話すペース、声のトーンなどを事前に指示しておきます。
    2. 実践:
      • 新入社員役: 講師やベテラン社員が務める詐欺師役と対話します。
      • 詐欺師役: 用意したシナリオに沿って、緊急性権威性を装いながら、言葉巧みに金銭を要求します。
    3. 講師のフィードバック: ロールプレイング後、講師が「どこで不審に感じたか」「どうすればよかったか」などを新入社員に尋ねます。この際、「断るセリフ」や「とるべき行動」(例:「一度電話を切ります」「家族に確認します」など)を具体的に指導します。

    ロールプレイングのポイント

    • 「間」の重要性: 即答せずに「一度電話を切る」「考える時間をもらう」ことの重要性を強調します。
    • 具体的な行動の習得: 「電話を切る」「相談する」「すぐに振り込まない」という3つの行動を繰り返し練習します。
    • チームでの意見交換: 参加者同士で「自分ならどう対応するか」を話し合わせ、多様な視点から対策を考えさせます。

    このロールプレイングを通じて、新入社員は実際の状況に近い形で特殊詐欺を体験し、言葉に詰まらず、冷静に「NO」と言う練習をすることで、実効性の高い被害防止策を身につけることができます。

    質疑応答とまとめ

    • Q&Aセッション: 受講者からの質問に答える
    • まとめ: 特殊詐欺は身近な問題であることの再確認

    この講義を通して、新入社員が特殊詐欺の危険性を自分事として捉え、いざという時に冷静に対応できる力を身につけることを目指します。


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  • OJT指導員用マニュアル:新入社員の成長を促すために

    OJT指導員向けのマニュアルのサンプルを示します。OJTの成功は、指導員の適切な関わり方にかかっています。新入社員の成長を促し、指導員自身の負担を軽減するためのポイントをまとめました。

    OJT指導員用マニュアル(サンプル)

    1. 信頼関係の構築を最優先にする

    OJTは、単なる業務指導ではありません。新入社員が安心して質問や相談ができる心理的な安全性を築くことが最も重要です。

    挨拶と声かけ: 毎日、元気な挨拶で迎え、積極的に話しかけましょう。

    傾聴の姿勢: 新入社員の話に耳を傾け、意見や考えを受け止める姿勢を見せましょう。

    業務外のコミュニケーション: 休憩時間やランチなどで、プライベートな話も交えながら、人柄を知る努力をしましょう。

    2. スモールステップで「成功体験」を積ませる

    最初から完璧を求めず、小さな目標を一つひとつクリアさせていくことが大切です。成功体験が、新入社員の自信とやる気を引き出します。

    簡単なタスクから始める: 電話応対や簡単なデータ入力など、比較的負担の少ない業務から始めましょう。

    具体的な指示: 「あれやっておいて」ではなく、「〇〇の資料を、来週の会議までに作成してください」のように、期日目標を明確に伝えましょう。

    できたことを具体的に褒める: 「すごいね」だけでなく、「〇〇の資料、とても見やすくて分かりやすいね」のように、具体的に褒めることで、何が評価されたのかが伝わりやすくなります。

    3. 「教える」よりも「考えさせる」を意識する

    一方的に知識を詰め込むのではなく、新入社員自身に考えさせることで、自律的な成長を促すことができます。

    質問の投げかけ: 疑問に思っていることや、どうすればよいか困っていることに対して、「どうしたらいいと思う?」と問いかけ、一緒に答えを探しましょう。

    フィードバックの工夫: 失敗した時には、「なぜそうなったと思う?」と問いかけ、原因を自分で考えさせましょう。その上で、解決策を一緒に考え、次にどう活かすかを話し合います。

    OJT計画書を共有: OJTの目標やスケジュールを新入社員と共有し、「何を、いつまでに」学ぶべきかを認識してもらいましょう。

    4. 報連相(報告・連絡・相談)の習慣化を促す

    報連相は、業務を円滑に進める上で不可欠なスキルです。OJT期間中に、その重要性を伝え、習慣づけさせましょう。

    タイミングを具体的に伝える: 「困ったことがあったら相談してね」だけでなく、「〇〇の業務で作業が止まったら、すぐに相談してね」のように具体的な状況を伝えましょう。

    相談しやすい雰囲気づくり: 忙しい時でも、話しかけられたら手を止め、新入社員の方を向いて話を聞くようにしましょう。

    報連相のフィードバック: 適切なタイミングで報連相ができた時には、「すぐに相談してくれてありがとう。助かったよ」と伝え、ポジティブなフィードバックをすることで、次も報連相をしようという意識を高めましょう。

    これらのポイントを意識してOJTに取り組むことで、新入社員の成長を力強くサポートできるはずです。新入社員が自信を持って業務に取り組めるよう、温かく見守りながら指導していきましょう。


    関連記事:OJT教育の効果的な進め方と指導法の教育カリキュラム

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  • 外部研修・オンライン研修を効果的に活用する方法

    社員研修を検討する際、「社内研修だけでは限界がある…」「もっと効率的に学びを提供したい」と感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、外部研修とオンライン研修を効果的に活用する方法について解説します。

    外部研修:プロの知見を最大限に活かす

    外部研修とは、研修専門会社が提供するプログラムに参加する形式の研修です。自社にはない専門的な知識やスキルを学ぶのに最適です。

    研修会社の選び方

    研修会社を選ぶ際は、以下のポイントを押さえましょう。

    研修内容の専門性: 自社のニーズに合致した専門分野を持つ会社を選びましょう。例えば、マネジメント層の育成ならリーダーシップ研修に強みがあるか、技術職なら最新技術に対応しているか、などを確認します。

    実績と評判: 導入実績や受講者の声を確認することで、信頼性を判断できます。

    講師の質: 講師の経歴や専門性、教えるスキルも重要です。可能であれば、体験セミナーなどに参加して直接確認するのも良いでしょう。

    アフターフォロー: 研修後のフォローアップ体制が整っているかどうかも、効果を左右する重要な要素です。

    オンライン研修:時間と場所の制約を超えて学ぶ

    近年、急速に普及しているのがオンライン研修です。インターネットを通じて、いつでもどこでも学習できるのが最大のメリットです。

    eラーニングの活用

    オンライン研修の代表的な形式がeラーニングです。eラーニングは、動画コンテンツやクイズ形式の教材で学習を進めます。

    メリット: 受講者が自分のペースで学習できるため、多忙な社員でも受講しやすいです。また、繰り返し学習できるため、定着率を高める効果も期待できます。

    デメリット: 講師との直接的なコミュニケーションが少ないため、疑問点をその場で解決しにくい場合があります。

    ライブ配信研修

    Zoomなどのツールを使ったリアルタイムの研修です。対面研修に近い臨場感があり、質疑応答やグループワークも可能です。

    メリット: 講師や他の受講者と双方向のコミュニケーションが取れるため、一体感が生まれます。

    デメリット: 時間が固定されるため、スケジュール調整が必要です。

    最新トレンド:リスキリングと学び直しの重要性

    現代は変化のスピードが速く、一度身につけたスキルが陳腐化する時代です。そこで注目されているのが、リスキリング(Reskilling)です。

    リスキリングとは、新しいスキルを学び直し、新たな職務や働き方に対応することを指します。

    外部研修の活用: DX(デジタルトランスフォーメーション)やAIに関する専門的な知識は、外部研修を活用して効率的に学ぶのが効果的です。

    オンライン研修の活用: 最新技術やトレンドは常に変化します。eラーニングを活用すれば、最新の情報を手軽にキャッチアップし、スキルをアップデートし続けることができます。

    社員の自律的な学びを支援し、時代の変化に対応できる組織を作るためにも、外部研修やオンライン研修を戦略的に活用することが不可欠です。


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  • ハラスメント研修は義務ですか?その内容は?

    ハラスメント研修は義務ですか

    ハラスメント研修の義務化は、主に以下の法律に規定されています。

    労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)

    第30条の2で、事業主は職場におけるパワーハラスメントを防止するために必要な措置を講じなければならないと規定されています。

    大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から義務化されています。

    男女雇用機会均等法

    第11条で、事業主は職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために必要な措置を講じる必要があると規定されています。

    男女雇用機会均等法とは?知っておきたいポイントを分かりやすく解説

    育児・介護休業法

    第25条で、事業主は職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(マタニティハラスメント、ケアハラスメント)を防止するために必要な措置を講じる必要があると規定されています。

    これらの法律に基づき、厚生労働省が具体的な「雇用管理上講ずべき措置等に関する指針」を定めており、その中で研修の実施が重要な措置の一つとして挙げられています。

    研修の内容について

    厚生労働省の指針や関連情報から、ハラスメント研修で盛り込むべき内容は以下の点が挙げられます。

    事業主の方針等の明確化と周知・啓発

    職場におけるハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ・ケアハラ等)の内容や、ハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること。

    行為者に対して厳正に対処する旨の方針や対処の内容(就業規則等への規定)を労働者に周知・啓発すること。

    相談窓口の担当者、人事部門、管理職など、関係者がハラスメントに関する関心と理解を深めること。

    ハラスメントの定義と種類、具体例

    各ハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ・ケアハラなど)の定義を理解させる。

    ハラスメントに該当する具体的な言動や行為の例を提示し、してはいけないことの理解を深める。特に、パワハラについては「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害されるもの」という3つの要素を説明し、6つの類型(身体的攻撃、精神的攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害)を具体的に解説することが有効です。

    「指導」と「ハラスメント」の線引きを明確にする。

    ハラスメントが労働者や企業に与える影響

    ハラスメントが被害者にもたらす精神的・身体的苦痛、モチベーション低下、生産性低下などの悪影響を理解させる。

    企業イメージの低下、訴訟リスク、人材流出など、企業全体に与える悪影響についても説明する。

    相談窓口と対応フロー

    ハラスメントに関する相談窓口がどこにあるのか、どのような体制で相談を受け付けるのかを明確にする。

    相談があった場合の事実確認、被害者・行為者への対応、再発防止措置などの具体的な対応フローを説明する。

    相談者や行為者のプライバシー保護、相談したことによる不利益な取り扱いの禁止を徹底する。

    ハラスメントの予防と対策

    労働者一人ひとりがハラスメントをしない、させないための意識を持つことの重要性を強調する。

    日頃からのコミュニケーションの重要性、多様な価値観の尊重について考える機会を設ける。

    管理職に対しては、部下との適切なコミュニケーション、指導のあり方、ハラスメント発生時の初期対応など、より実践的な内容を盛り込む。

    その他

    最新の法改正や社会情勢を踏まえた内容とすること。

    従業員の属性(一般社員、管理職、新入社員など)に合わせて、内容や深さを調整することも効果的です。

    一方的な講義だけでなく、グループワークや事例検討などを取り入れ、参加者が主体的に考える機会を設けることも推奨されます。

    厚生労働省のウェブサイト「あかるい職場応援団」では、ハラスメント対策に関する詳細な情報や、企業向けの各種ガイドライン、研修資料などが提供されていますので、参考にされることをお勧めします。

    ハラスメント防止研修レジメ(例)

    以下は、ハラスメント防止研修のレジュメの一例です。対象者を一般的な従業員(管理職・一般社員含む)と想定し、半日程度の研修を想定した内容です。貴社の具体的な課題や従業員の皆さんの状況に合わせて、内容の深さや重点を置くポイントを調整してください。特に、事例を用いたグループワークやロールプレイングを取り入れると、より実践的な研修になります。

    本研修の概要

    研修目的

    ハラスメントの定義と種類、具体例を理解する。

    ハラスメントが個人と組織に与える悪影響を認識する。

    ハラスメントを未然に防ぎ、快適な職場環境を維持するための行動を学ぶ。

    ハラスメントが発生した場合の適切な対応について理解を深める。

    研修対象

    全従業員(管理職、一般社員)

    研修時間

    3時間(休憩15分含む)

    1. はじめに:なぜ今、ハラスメント対策が必要なのか?(15分)

    社会情勢と企業の責任

    ハラスメントに関する法改正(パワハラ防止法の義務化など)の背景

    企業の社会的責任とハラスメント対策の重要性

    ハラスメントが企業にもたらすリスク(信用の失墜、人材流出、法的措置など)

    本研修の目的と重要性

    「自分ごと」として捉えることの重要性

    快適な職場環境づくりのために、全員で取り組むべきこと

    2. ハラスメントの基礎知識:知ることから始める(60分)

    ハラスメントとは何か?

    ハラスメントの共通認識:相手の尊厳を傷つけ、就業環境を害する行為

    悪意の有無に関わらずハラスメントになる可能性

    各種ハラスメントの定義と具体例

    パワーハラスメント(パワハラ)

    定義:優越的な関係を背景に、業務の適正な範囲を超えて行われる言動であって、労働者の就業環境を害するもの

    6つの類型とその具体例(身体的攻撃、精神的攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害)

    「指導」と「パワハラ」の線引き:どこからがハラスメントか?

    セクシュアルハラスメント(セクハラ)

    定義:職場において行われる性的な言動に対する、労働者の意に反する対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすること

    典型的な具体例:対価型、環境型

    同性間、男性から女性へのセクハラだけでなく、女性から男性へのセクハラ、同性間のセクハラも含まれること

    妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(マタハラ・ケアハラ)

    定義:職場において行われる妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関する言動により、就業環境が害されたり、不利益な取扱いを受けたりすること

    典型的な具体例と留意点

    その他のハラスメント(アルコールハラスメント、モラルハラスメントなど、必要に応じて触れる)

    被害者・加害者・周囲の人の心理と影響

    ハラスメントが被害者にもたらす影響(精神的・身体的健康、モチベーション、キャリアなど)

    無自覚な加害者にならないために

    見て見ぬふりをする周囲の人が職場に与える影響

    3. ハラスメントの予防と良好な職場環境づくり(60分)

    企業としての方針と取り組み

    当社のハラスメント防止規程、就業規則の確認

    懲戒処分の対象となることの明確化

    相談窓口の周知と利用促進

    一人ひとりができるハラスメントの予防策

    コミュニケーションの重要性:日頃からの良好な人間関係構築

    多様性の尊重:価値観、文化、バックグラウンドの違いを理解する

    アサーティブネス:相手を尊重しつつ、自分の意見を適切に伝えるスキル

    アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見):自分の思い込みに気づき、ハラスメントに繋がる言動を防ぐ

    「嫌だ」と感じたら伝える勇気:早期対応の重要性

    見て見ぬふりをしない勇気:周囲の人の役割

    管理職に求められる役割(管理職が参加している場合、特に強調)

    部下の状態を常に把握するアンテナ

    適切な業務指示・指導とハラスメントとの線引き

    日頃からのコミュニケーションと信頼関係の構築

    ハラスメントの兆候を早期に察知し、対応する意識

    4. ハラスメント発生時の対応と相談窓口の活用(45分)

    ハラスメントを受けてしまったら

    一人で抱え込まない:相談することの重要性

    相談窓口の利用方法、相談ルート

    事実の記録:いつ、どこで、誰が、何を、どうしたか

    ハラスメントを目撃したら

    見て見ぬふりをしない

    相談を促す、あるいは相談窓口へ情報提供する

    相談があった場合の対応プロセス

    相談内容の聴取とプライバシー保護

    事実確認の方法

    被害者・行為者への対応(配置転換、懲戒処分など)

    再発防止策の検討と実施

    相談者・行為者への不利益な取り扱いの禁止

    当社の相談窓口と担当者

    具体的な相談窓口(担当部署、担当者名、連絡先など)

    相談後の流れについて改めて説明

    5. 質疑応答とまとめ(15分)

    質疑応答

    研修の振り返り

    快適な職場環境は全員で作るものというメッセージ

    本日の研修内容を今後の行動に活かすことへの期待

    持ち物

    筆記用具

    (配布資料があれば)配布資料


    関連記事:社員教育について

    会社事務入門職場内のトラブルに会社はどう対応するハラスメント対策の留意点>このページ

  • 社内研修のコンプライアンス研修レジメ(案)

    コンプライアンス研修レジュメ

    なぜ、コンプライアンスが重要なのか

    ・コンプライアンスとは?

    法令遵守だけでなく、社内規程、社会規範、企業倫理の遵守も含む広い概念

    企業活動における「当たり前のこと」を守ること

    ・なぜ重要なのか?

    企業価値の向上: 社会的信頼の獲得、ブランドイメージの向上

    リスクの回避: 法令違反による罰則、社会的信用の失墜、経営危機

    健全な企業文化の醸成: 公正で透明性の高い職場環境

    ・私たちの役割:

    一人ひとりがコンプライアンス意識を持ち、実践することが重要

    コンプライアンス違反がもたらす影響

    ・企業への影響

    経済的損失: 罰金、賠償金の支払い、株価の下落

    信用の失墜: 顧客離れ、取引停止、採用活動への悪影響

    事業活動への制限: 行政処分、業務停止命令

    従業員のモチベーション低下: 不安、不信感

    ・個人への影響

    法的責任: 逮捕、起訴、罰金、懲役

    社会的制裁: 解雇、懲戒処分、キャリアへの影響

    精神的負担: 後悔、自責の念

    特に注意すべきコンプライアンス領域

    ・ハラスメント

    種類: パワハラ、セクハラ、マタハラなど

    定義: 優越的な関係を背景とした言動、性的言動などにより、職場環境を害すること

    防止策: 個々の言動への意識、相談窓口の周知、被害者への配慮

    ・情報セキュリティ

    重要性: 個人情報、企業秘密、顧客データの保護

    リスク: 情報漏洩、不正アクセス、データの改ざん・消失

    対策: パスワード管理、不審なメールへの注意、持ち出しPC・USBの管理、機密情報の取り扱いルール遵守

    ・SNS利用

    リスク: 不適切な情報発信による企業イメージの毀損、情報漏洩、炎上

    注意点: 公私混同の禁止、個人情報や機密情報の書き込み禁止、誹謗中傷の禁止、一度投稿した情報は消しても尾を引くことを認識する

    ・知的財産

    重要性: 企業の技術やブランドを守る

    種類: 著作権、特許権、商標権など

    注意点: 他社の知的財産権侵害の禁止、自社の知的財産権の保護

    ・インサイダー取引

    定義: 会社の未公開情報を利用した株式等の取引

    禁止の理由: 公正な市場の維持

    注意点: 業務で得た未公開情報を利用した取引は厳禁

    ・その他

    贈収賄、利益供与の禁止

    個人情報保護法の遵守

    中小受託取引適正化法(旧下請法)、独占禁止法の遵守

    労働関連法規(労働時間、賃金など)の遵守

    コンプライアンス違反を防ぐために

    ・「おかしい」と感じたら立ち止まる

    「これくらいなら大丈夫だろう」という安易な考えを捨てる

    疑問を感じたら、すぐに確認する習慣をつける

    ・組織のルールを理解する

    就業規則、各種規程、ガイドラインなどを熟読し、理解する

    不明な点は必ず確認する

    ・相談・報告の徹底

    疑問点や不安な点があれば、上司や担当部署に相談する

    コンプライアンス違反を発見した場合は、速やかに報告する(内部通報制度の活用)

    相談・報告した人が不利益を被ることはありません(匿名での相談も可能)

    ・最新情報のキャッチアップ

    法改正や社会情勢の変化に常にアンテナを張る

    研修や社内通知を通じて、知識をアップデートする

    まとめ

    ・コンプライアンスは「自分ごと」

    他人事ではなく、自分自身が当事者であるという意識を持つ

    日々の業務において、常にコンプライアンスを意識する

    ・企業を守る、自分を守る、未来を守る

    コンプライアンス遵守は、企業と個人の双方を守るための重要な基盤

    健全な企業活動を通じて、社会に貢献していく

    質疑応答

    ご不明な点や疑問に思ったことがあれば、お気軽にご質問ください。


    会社事務入門社員教育の効果を最大化する研修設計の秘訣>このページ

  • 失敗しない社員研修計画の立て方:目的設定からプログラム設計まで

    社員研修計画策定・実施のステップ

    年間計画に基づいた社員研修を成功させるためには、以下のステップを踏むことが効果的です。

    現状分析とニーズの把握

    経営戦略・事業計画との連携: 貴社の経営戦略や事業計画を達成するために、社員にどのようなスキルや知識が必要か明確にします。

    社員の現状スキルと課題の洗い出し: 各部署や役職、個々の社員のスキルレベルを把握し、不足している点や強化すべき点を特定します。アンケート、ヒアリング、人事評価データなどが有効です。

    部門からの要望収集: 各部門の責任者や現場の社員から、業務遂行上必要と感じる研修内容やテーマを募ります。

    研修方針・目的の明確化

    年間を通してどのような人材を育成したいのか、研修全体の方針と目的を具体的に設定します。例えば、「自律的に課題解決できる人材の育成」「グローバルに活躍できるリーダーの育成」などです。

    研修体系の構築と年間計画の策定

    研修体系の設計: 階層別研修(新入社員、中堅社員、管理職など)、職種別研修(営業、技術、事務など)、テーマ別研修(コンプライアンス、DXなど)といった形で、研修の全体像を設計します。

    年間スケジュールの作成: 各研修の実施時期、期間、対象者、担当部署などを具体的に計画に落とし込みます。繁忙期を避けるなど、業務との兼ね合いも考慮しましょう。

    予算の確保: 研修実施に必要な予算を事前に確保します。外部講師費用、会場費、教材費などが含まれます。

    研修コンテンツの選定・開発

    社内講師で対応できるもの、外部の研修ベンダーを活用するもの、eラーニングを導入するものなど、ニーズと予算に合わせて最適なコンテンツを選定または開発します。

    研修の実施

    計画に基づいて研修を順次実施します。研修の告知、参加者募集、会場手配、資料準備などを滞りなく進めます。

    効果測定とフィードバック

    研修実施後には、アンケート、理解度テスト、行動変容の観察などを通じて、研修の効果を測定します。

    測定結果に基づいて、研修内容や運営方法を改善し、次年度の計画に活かします。研修は一度やって終わりではなく、継続的な改善が重要です。

    一般的な社員研修の種類とカリキュラム例

    次に、一般的な社員研修の種類とそのカリキュラム例をご紹介します。貴社のニーズに合わせて組み合わせてご活用ください。

    階層別研修

    社員の役職や経験年数に応じて実施する研修です。

    新入社員研修

    目的: 社会人としての基礎力、企業文化への理解、ビジネスマナーの習得

    カリキュラム例

    社会人としての心構え、会社の理念・ビジョン

    ビジネスマナー(挨拶、名刺交換、電話応対、来客応対)

    報連相(報告・連絡・相談)の基本

    PDCAサイクル

    情報セキュリティ、コンプライアンス

    OAスキル(Word, Excel, PowerPointの基本)

    OJT(On-the-Job Training)導入

    若手・中堅社員研修

    目的: 自律的な業務遂行能力の向上、後輩指導、課題解決能力の育成

    カリキュラム例

    ロジカルシンキング、問題解決力

    タイムマネジメント、セルフマネジメント

    コミュニケーションスキル(傾聴、質問、アサーション)

    フォロワーシップ

    キャリアプランニング

    後輩指導・OJTトレーナーとしての役割

    管理職・リーダー研修

    目的: 組織目標達成のためのマネジメント能力、リーダーシップ、部下育成能力の強化

    カリキュラム例

    リーダーシップ理論と実践

    目標設定と評価、フィードバック

    部下育成、コーチング、メンタリング

    チームビルディング、モチベーション管理

    ハラスメント防止、メンタルヘルス対策

    リスクマネジメント、危機管理

    経営戦略、組織論の基礎

    テーマ別研修(スキル・知識習得)

    特定のスキルや知識の習得を目的とした研修です。

    コミュニケーション研修

    目的: 円滑な人間関係構築、情報伝達能力の向上、交渉力の強化

    カリキュラム例

    聴く力(傾聴)、話す力(プレゼンテーション、説明)

    質問力、フィードバック

    非言語コミュニケーション

    アサーション、交渉術

    ファシリテーションスキル

    ロジカルシンキング・問題解決研修

    目的: 論理的思考力の向上、複雑な問題の解決能力の強化

    カリキュラム例

    MECE、ロジックツリー、ピラミッドストラクチャー

    仮説思考、クリティカルシンキング

    問題発見、課題設定、原因分析

    解決策の立案と実行、評価

    プレゼンテーション研修

    目的: 効果的な資料作成と魅力的なプレゼンテーション能力の習得

    カリキュラム例

    企画構成、ストーリーテリング

    スライド作成のポイント(デザイン、グラフ活用)

    話し方、声のトーン、ジェスチャー

    質疑応答対応、緊張緩和策

    営業スキル研修

    目的: 顧客開拓、商談成約、顧客関係構築能力の向上

    カリキュラム例

    顧客ニーズ把握、ヒアリングスキル

    商品知識、提案力

    クロージングスキル

    新規開拓、既存顧客深耕

    顧客心理、クレーム対応

    DX・ITスキル研修

    目的: デジタル技術の基礎知識習得、業務効率化ツールの活用

    カリキュラム例

    DXの基礎知識、AI・IoTの概要

    データ分析の基礎、BIツールの活用

    RPA導入、プログラミングの基礎(Pythonなど)

    クラウドサービスの活用(Office 365, Google Workspaceなど)

    コンプライアンス研修

    目的: 法令遵守意識の徹底、リスクマネジメント

    カリキュラム例

    個人情報保護法、労働基準法、中小受託取引適正化法(旧下請法)関連法令

    ハラスメント防止、情報セキュリティ

    SNS利用の注意点、インサイダー取引防止

    その他

    メンタルヘルス研修: ストレスマネジメント、ラインケアなど

    グローバル研修: 異文化理解、語学研修など

    これらの情報を参考に、貴社独自の年間社員研修計画を策定し、社員の皆様の成長と企業の発展に繋げてください。


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