労働契約の内容の理解の促進とは?労働契約法第4条をわかりやすく解説

労働契約

労働契約法 第4条(労働契約の内容の理解の促進)

労働契約法第4条は、労働契約の内容の理解を促進するという、契約締結や維持における使用者のの努力義務を定めています。

この条文の言わんとするところは、「労働契約は対等な合意(第3条、第6条)に基づいて成立するが、実態として情報量や交渉力に差があるため、使用者側が積極的に情報提供し、双方が書面で確認することで、その合意を実質的に確かなものにすべきだ」ということです。

条文の構成内容要点
第1項(使用者の義務)使用者は、労働者に提示する労働条件および労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。説明義務:使用者による丁寧な説明と情報提供を要求。
第2項(労使双方の努力)労働者および使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。書面化の推奨:契約内容の明確化と将来の紛争予防を目的とする。

ポイント

使用者による十分な「説明責任」の確保(第1項)

労働条件は、専門用語が多く、複雑になりがちです。また、一般的に労働者は使用者よりも情報が少ない立場にあります。

第4条第1項は、使用者に対し、提示する労働条件(賃金、労働時間、業務内容など)や、就業規則などを含めた契約全体の内容について、労働者が誤解なく、十分理解できるよう説明する努力を求めています。これは、労働契約における使用者側の情報提供・説明義務の根拠となる原則です。

トラブル防止のための「書面化の徹底」(第2項)

労働基準法第15条では、労働条件の主要な事項について書面による明示が義務付けられていますが、労働契約法第4条第2項は、それ以外の契約内容も含め、できる限り労使双方が書面で内容を確認することを推奨しています。

  • 目的: 口頭でのやり取りによる「言った」「言わない」の認識の齟齬を防ぐこと、そして、労働契約の内容を明確に確定させ、将来の労働紛争を未然に防止することにあります。
  • 特に期間の定めのある労働契約(有期契約)については、契約期間や更新の有無など重要な事項が曖昧になりやすいため、書面での確認が強く促されています。

要するに、第4条は、労働契約が単なる形式的な合意に留まらず、労働者が内容を真に理解し納得した上での実質的な合意となるよう、使用者による配慮と労使双方による書面化を求めることで、労働契約の適正化を図る規定です。