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安全衛生管理

店社安全衛生管理者について解説

Last Updated on 2025年7月10日 by

店社安全衛生管理者とは

労働安全衛生法施行令 第15条の3に「建設業であって同一の場所において労働者を使用して行われる作業について、当該場所において他の事業者と労働者が混在する状況にない場合で、かつ、労働者の数が50人未満である場合には、当該場所において作業を行う事業者は、店社安全衛生管理者を選任して、その者に安全衛生に関する業務を担当させなければならない。」と規定されています。

労働者が常時50人以上の大規模な建設工事現場では「統括安全衛生責任者」という別の役職が選任されますが、店社安全衛生管理者は、それよりは小規模ながらも一定の危険が伴う現場を対象にしています。

次の規模の場合に店社安全衛生管理者を選任しなければなりません。

業種 規模
ずい道等の建設の仕事 常時20人以上30人未満
一定の橋梁の建設の仕事
圧気工法による作業を行う仕事
主要構造部が鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設の仕事 常時20人以上50人未満

「店社」は一般でいうお店の意味ではなく、作業場の指導管理を行う本社、営業所等をさす用語です。つまり、現場代理人(現場のリーダー)が、実際に現場で安全管理を行うのですが、店社安全衛生管理者は、その現場の責任者たちに対して、本社(店社)の立場から指導や援助を行うことになります。

店社安全衛生管理者の職務

店社安全衛生管理者の職務は次の事項です。

1) 店社安全衛生管理者を選任した事業場が締結している請負契約に係る工事現場(選任区分を満たすもの)において、統括安全衛生管理を担当する者(現場代理人等)に対する指導を行うこと
2) 少なくとも毎月1回労働者が作業を行う場所を巡視すること
3) 労働者の作業の種類その他作業の実施状況を把握すること
4) 協議組織の会議に随時参加すること
5) 仕事の工程に関する計画、作業場所における機械、設備等の配置計画を作成及び当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人が安衛法又はこれに基づく命令の規定に基づき講ずべき措置が講じられていることを確認すること

店社安全衛生管理者の資格

店社安全衛生管理者になるには、経験(建設工事の施工における安全衛生の実務経験)が必要です。必要な経験年数は学歴によって違いがあります(大卒3年、高卒5年、その他8年)。労働安全衛生規則第十八条の七に定めがあります。

届け出について

厚生労働省のホームページの「職場のあんぜんサイト」の「店社安全衛生管理者」の項目にある「5)報告」には、

特定元方事業者は、事業の開始後、遅滞なく、当該場所を管轄する労働基準監督署長へ特定元方事業者の事業開始報告を行わなければなりませんが、店社安全衛生管理者を選任しなければならないときは、その旨及び店社安全衛生管理者の氏名を併せて報告する必要がある。

と書かれています。

これは、店社安全衛生管理者単独の「選任届」があるわけではなく、特定元方事業者(元請け)が建設事業を開始する際に提出する「特定元方事業者の事業開始報告書」の中に、店社安全衛生管理者を選任していれば、その氏名などを記載して報告する、という意味合いです。


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