いろいろな求人方法を解説

採用

求人方法には多様な種類があり、それぞれに異なる特徴と効果があります。主要な求人方法について、概要、メリット、デメリットを解説します。

縁故募集(縁故採用・リファラル採用)

概要

社員や役員の親族、知人、友人などを紹介してもらい、採用する方法です。特にリファラル採用は、社員からの紹介を通じて選考を行う、組織の多様性や公平性を重視する近代的な手法として注目されています。一方、縁故採用はより限定的で、紹介者の関係性によって選考プロセスが簡略化されたり、採用が前提となったりする傾向があります。

メリット

  • 採用コストの削減: 求人広告費や人材紹介手数料がかからないため、大幅なコストカットが可能です。
  • ミスマッチの低減: 応募者は事前に紹介者を通じて会社のリアルな情報を得ているため、入社後のギャップが少なく、定着率が高くなる傾向があります。
  • 信頼性の確保: 紹介者がいるため、採用人材の身元がはっきりしており、信頼性が高いです。
  • 選考期間の短縮: 通常の選考プロセスの一部が短縮されることが多く、迅速な採用が可能です。

デメリット

  • 応募数の不安定さ: 紹介に依存するため、安定的な応募人数を見込むことや、大量採用には不向きです。
  • 組織の多様性の欠如: 似たような属性や価値観の人材が集まりやすく、組織の多様性が失われる可能性があります。
  • 不採用時の問題: 紹介者との関係性があるため、採用基準を満たさない場合でも不採用にしにくいなど、選考に私情が影響するリスクがあります。
  • 社内の不公平感: 他の社員や新入社員が、縁故採用者に対して不公平感を持つ可能性があり、モチベーションや人間関係に悪影響が出る場合があります。

ハローワーク(公共職業安定所)

概要

国が運営する公共の職業紹介サービスで、企業は無料で求人情報を掲載できます。地域に密着した求職者へのアプローチや、特定の助成金受給の要件となる場合がある点が特徴です。

メリット

  • 無料: 求人掲載、紹介、採用に至るまですべて無料で利用できます。
  • 幅広い層にアピール: 地域住民や、幅広い年齢層・職種の求職者が利用するため、広い母集団にアプローチできます。
  • 助成金の可能性: 採用ターゲットによっては、トライアル雇用奨励金などの各種助成金の対象となる場合があります。

デメリット

  • 情報発信の制限: 求人票の様式が決まっているため、企業の魅力を自由に、かつ十分にアピールしにくい側面があります。
  • ミスマッチのリスク: 企業や仕事内容の詳細が伝わりにくいため、応募者との間でミスマッチが起こりやすい場合があります。
  • 応募者対応の工数: 応募者の選定から面接、合否連絡まですべて自社で行う必要があります。

求人広告(Web求人サイト・紙媒体)

概要

民間の企業が運営する媒体に、費用を支払って求人情報を掲載する方法です。Webの求人サイト(転職サイト、アルバイトサイト)と、新聞広告やフリーペーパーなどの紙媒体があります。

メリット

  • 大量の母集団形成: 数十万〜数百万人規模の登録者がいるため、広範囲にわたって迅速に多くの応募者を集めることが可能です。
  • 詳細なアピール: 掲載スペースやプランに応じて、写真や動画、詳細な原稿などで自社の魅力を自由に発信できます(特にWebサイト)。
  • ターゲット層の絞り込み: 業種・職種特化型や、地域特化型の媒体を選べば、求める人材に効率的にアプローチできます。
  • 複数名採用時のコスト効率: 掲載期間や枠に対する費用のため、複数名採用しても追加の掲載料金はかからないことが一般的です(掲載課金型の場合)。

デメリット

  • 費用が発生: 掲載期間やスペースに応じて高額な掲載料金がかかり、採用に至らなくても費用は発生します。
  • 他社に埋もれるリスク: 多くの企業が掲載しているため、他社の求人に情報が埋もれてしまい、見てもらうためにオプション料金が必要になる場合があります。
  • 応募者対応の工数: 多数の応募があった場合、その対応や管理に時間と手間がかかります。

求人検索エンジン(Indeed, 求人ボックスなど)

概要

インターネット上の様々な求人情報を集約し、検索結果として表示するサービスです。自社の採用サイトなどに掲載した求人情報を連携することで無料で掲載できるほか、有料でクリック課金型の広告を出すこともできます。

メリット

  • 低コストでの掲載: 自社サイトの求人情報などを連携すれば、無料で掲載が可能です。
  • クリック課金制度: 有料の場合も、求人情報のクリック数に応じて費用が発生するため、無駄なコストを抑えやすいです。
  • アプローチの幅広さ: 既存の求人サイトと併用することで、より多くの求職者に情報を届けられます。

デメリット

  • 運用の手間: 応募効果を最大化するためには、キーワード設定やクリック単価調整など、継続的な運用が必要になります。
  • 競合との差別化: 多くの情報が集まるため、他の求人情報との差別化が難しく、埋もれないように有料オプションの活用が必要になる場合があります。

ダイレクトリクルーティング

概要

企業が求職者のデータベースにアクセスし、自社の採用要件に合った人材を検索して、企業側から直接スカウトメールを送る採用手法です。主に中途採用や専門職の採用で用いられます。

メリット

  • 欲しい人材に直接アプローチ: 企業が求めるスキルや経験を持つ人材を絞り込み、能動的にアプローチできるため、採用のミスマッチが少ないです。
  • 転職潜在層へのアプローチ: 今すぐ転職を考えていないが、良い機会があれば検討したいという転職潜在層にも接触できる可能性があります。
  • 採用スピードの向上: 選考プロセスが短縮されることがあり、スピーディな採用につながりやすいです。

デメリット

  • 費用と工数: データベースの利用料や、スカウトメール作成・送信に高い工数費用がかかります。
  • 返信率の低さ: 求職者側も多くのスカウトを受けているため、他社と差別化できる魅力的なスカウトを作成しないと、返信を得るのが難しい場合があります。

自社採用サイト・オウンドメディア

概要

企業が独自に制作・運営する採用専用のWebサイトや、ブログ、SNSなどを通じた情報発信(オウンドメディア)により、求職者を募集する方法です。

メリット

  • 情報発信の自由度: 掲載内容やデザインに制限がなく、自社の理念、文化、仕事のやりがいなどを詳細かつ自由に発信できます。
  • 企業理解度の向上: 企業への理解度や志望度が高い状態で応募に至るため、質の高い応募が集まりやすく、ミスマッチが低減します。
  • ブランディング効果: 採用活動を通じて、企業イメージの向上にもつながります。

デメリット

  • 立ち上げと運用の時間: サイトの立ち上げやコンテンツ制作に時間と手間がかかり、すぐに効果が出る即効性のある採用手法ではありません。
  • 集客の難しさ: 認知度が低い場合、求職者にサイトを見つけてもらうための集客対策(SEO対策など)が必要になります。