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個人情報保護

個人情報取扱事業者って何?分かりやすく解説します

Last Updated on 2025年7月28日 by

個人情報保護法という法律は、私たちの大切な個人情報(名前、住所、電話番号、生年月日など)を、企業や団体がどのように扱うべきかを定めたルールです。この法律の中で、特に重要な役割を果たすのが「個人情報取扱事業者」という存在です。

どんな人が「個人情報取扱事業者」になるの?

ここで重要なキーワードが「個人情報データベース等」と「事業の用に供している」です。

「個人情報データベース等」とは?

これは、ただ単に「個人情報がたくさんある」ということではありません。

「特定の個人情報を、コンピューターなどで簡単に検索できるように整理したもの」や、紙のデータであっても「特定の個人情報を、五十音順など一定のルールで分類・整理し、簡単に検索できるようにしたもの」を指します。

もっと分かりやすく言えば、「名前や会員番号などを入力すると、その人の住所や電話番号といった個人情報がすぐにパッと出てくるような状態の情報の集まり」と考えてください。

具体例:

・顧客リストを管理しているExcelファイル(氏名で検索できる)

・会員情報を管理しているデータベースシステム

・氏名順に並べられた名簿ファイル(紙でも、検索性が高ければ該当)

・従業員の個人情報(氏名、住所、連絡先など)を管理する人事システム

逆に、単に受け取った名刺を整理せずに机の引き出しにしまっているだけとか、たまたま集めたアンケート用紙を分類せず山積みにしてあるだけ、といった場合は、「個人情報データベース等」には該当しません。

「事業の用に供している」とは?

これは、「ビジネスや活動のために、その個人情報データベース等を使っている」という意味です。

「事業」というと、営利目的のビジネスをイメージしがちですが、個人情報保護法ではもっと広い意味で捉えます。

営利・非営利を問わない:

株式会社や個人事業主のような営利企業はもちろん、NPO法人、町内会、PTA、大学、病院、サークル活動など、利益を目的としない団体や活動も含まれます。

法人・個人の別を問わない:

企業や団体だけでなく、個人事業主やフリーランスの個人も該当します。例えば、オンラインショップを運営している個人事業主が顧客情報をデータベースで管理していれば、個人情報取扱事業者になります。

つまり、「何らかの活動(ビジネス、ボランティア、地域活動など)のために、検索可能な形で個人情報を集め、利用している人や組織」が「個人情報取扱事業者」になる、と理解してください。

では、無職の個人も「個人情報取扱事業者」になることがあるの?

はい、「無職の個人」であっても、その活動の内容によっては「個人情報取扱事業者」になる可能性があります。

ポイントは、「事業の用に供している」かどうかです。

例えば、無職の個人が趣味で以下のような活動を行っている場合を考えてみましょう。

オンラインで個人ブログを運営し、読者からメールアドレスを登録してもらい、それをリスト化して定期的にメルマガを配信している場合

メールアドレスという個人情報を「データベース化」(リスト化)し、「ブログ運営という活動(事業)」のために利用しているため、個人情報取扱事業者に該当する可能性があります。

フリーマーケットで物品販売をしていて、顧客の氏名や連絡先を管理している場合(継続性や規模による)

規模や継続性にもよりますが、顧客情報を体系的に管理し、今後の販売活動などに利用していれば、事業の用に供しているとみなされる可能性があります。

個人で教室を開いており、生徒の名簿をデータベースで管理し、連絡などに使用している場合

これも「教室運営という事業」のために個人情報データベースを使用しているため、該当します。

ただし、純粋に個人的な利用目的の場合は該当しません。

例えば、友人・知人の連絡先をアドレス帳に登録している、個人の年賀状リストを作成している、といった場合は、「事業の用に供している」とはみなされず、個人情報取扱事業者には該当しません。

まとめ

「個人情報取扱事業者」とは、「検索可能な形で個人情報(個人情報データベース等)を管理し、それを何らかの活動(ビジネス、非営利活動など)のために利用している、個人または団体」のことです。

営利・非営利、法人・個人の区別なく、活動の実態で判断されるため、「無職の個人」であっても、その活動内容によってはこの事業者となる可能性があります。

あなたがもし、何らかの個人情報を集め、整理し、活用している場合は、個人情報取扱事業者として、個人情報保護法に定められた義務(情報の適切な取得、利用目的の明示、安全管理措置、開示請求への対応など)を果たす必要がある、ということを覚えておきましょう。


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