Last Updated on 2025年9月7日 by 勝
個人情報保護法では、事業者が取り扱う個人情報について「漏えい・滅失・毀損の防止その他の安全管理措置」を講じることが義務付けられています。その際、国が示すガイドラインでは 組織的・人的・物理的・技術的 の4つの観点からの管理が整理されています。以下に概要と、中小企業でも実施しやすいポイントをまとめます。
組織的安全管理
概要
組織的安全管理措置とは、従業者の責任と権限を明確に定め、安全管理に対する規程や手順書を整備運用し、その実施状況を確認することをいいます。
中小企業でもできる管理例
- 個人情報の管理責任者を明確にする(例:代表や管理職を任命)。
- 個人情報を扱う業務の範囲を文書化し、必要な人だけがアクセスできるようにする。
- 定期的に自己点検や上長による確認を行う。
人的安全管理
概要
人的安全管理措置とは、従業者、役員等に対して、業務上秘密と指定された個人情報の非開示契約の締結や教育・訓練等を行うことをいいます。
中小企業でもできる管理例
- 入社時・定期的に個人情報保護の研修を行う(短時間でもOK)。
- 誓約書や守秘義務契約を取り交わす。
- 不注意での持ち出しや紛失を防ぐため、注意喚起を繰り返す。
物理的安全管理
概要
物理的安全管理措置とは、入退室の管理、個人情報の盗難の防止等の措置をいいます。
中小企業でもできる管理例
- 個人情報を保管する書類は施錠できる棚に入れる。
- 事務所に入れる人を制限する(来客は受付対応)。
- 席を離れる際にはパソコン画面をロックする。
- 廃棄する書類はシュレッダー処理する。
関連記事:個人情報保護法の物理的安全管理措置とは?狭い事務所でもできる対策は?
技術的安全管理
概要
技術的安全管理措置とは、個人情報及びそれを取り扱う情報システムへのアクセス制御、不正ソフトウェア対策、情報システムの監視等、個人情報に対する技術的な安全管理措置をいいます。
中小企業でもできる管理例
- パソコンやサーバにパスワードを設定し、定期的に変更する。
- ウイルス対策ソフトを導入し、常に更新する。
- 個人情報のデータはアクセス権限を制限する。
- 外部に送信する際は暗号化やパスワード付ZIPを利用する。
ポイント
すべての項目を完璧にやるのは難しいですが、規模に応じて「最低限これだけは」という対策を積み上げることが重要です。
特に中小企業では「責任者を決める」「教育する」「施錠・パスワード・シュレッダー」など、コストをかけずにできる対策から始めると実行しやすいです。
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