派遣元事業主の義務(主に待遇の決定・教育訓練)
派遣元は、派遣労働者の雇用主として、待遇の決定やキャリア形成支援に責任を持ちます。
賃金(待遇)の決定に関する義務
派遣元には、派遣労働者の待遇(賃金を含む)について、以下のいずれかの方法により、派遣先で同種の業務に従事する労働者との不合理な待遇差を解消する義務があります。
- 派遣先均等・均衡方式(義務):派遣先の同種の労働者(比較対象労働者)の待遇情報(賃金、教育訓練、福利厚生など)を入手し、それと比較して均等・均衡を図る。
- 労使協定方式(義務):労働者の過半数で組織する労働組合などと労使協定を締結し、協定で定める一定水準以上の賃金を支払う。
教育訓練に関する義務
- 段階的かつ体系的な教育訓練の実施(義務):すべての派遣労働者を対象に、そのキャリアアップに資するよう、段階的かつ体系的な教育訓練を無償かつ有給で実施しなければなりません。
- キャリアコンサルティングの機会の確保(義務):派遣労働者に対し、職業生活の設計に関する相談の機会(キャリアコンサルティング)を確保しなければなりません。
福利厚生に関する配慮義務
- 派遣労働者の福利厚生について、派遣先における同種の労働者との均衡を図るよう配慮する義務があります。
派遣先事業主の義務・配慮義務(主に情報提供・施設利用)
派遣先は、派遣労働者の就業場所を提供する企業として、待遇決定に必要な情報の提供や職場環境の整備に責任を持ちます。
賃金(待遇)に関する義務(情報提供)
- 比較対象労働者の情報提供(義務):派遣元が派遣労働者の賃金等の待遇を決定できるように、派遣先の同種の労働者(比較対象労働者)の業務内容、能力、経験、待遇(賃金・教育訓練・福利厚生など)に関する情報を、派遣元に提供しなければなりません。
教育訓練に関する義務・配慮義務
- 業務に必要な教育訓練の実施(義務):派遣先の労働者に業務に必要な能力を付与するための教育訓練を実施する場合、派遣労働者に対してもこれに準じた教育訓練を実施する義務があります。
- 必要な協力(配慮義務):派遣元が派遣労働者への教育訓練を円滑に実施できるよう、必要な協力を行うよう配慮する義務があります。
福利厚生に関する義務・配慮義務
- 食堂・休憩室・更衣室の利用機会の付与(義務):派遣先の労働者が利用する食堂、休憩室、更衣室については、派遣労働者に対しても利用の機会を与えなければなりません。
- その他の福利厚生施設の便宜供与(配慮義務):その他の福利厚生施設(物品販売所、病院、診療所、図書館、保養施設など)については、派遣労働者も利用できるよう便宜を供与するよう配慮する義務があります。

