Last Updated on 2023年2月26日 by 勝
株主から電話があったら
株式を上場している会社には、割に高い頻度で株主からの電話がかかってきます。
基本的には、一般株主や投資家からのご質問には丁寧に回答し、意見を承るという姿勢が大事です。
特に大株主からの電話にはより丁寧さが求められます。
しかし、株主を名乗って会社にかかってくる電話には、とても大変な電話が多い印象があります。
例えば、
君の名前は何と言うんだ
いきなり名前を聞いてくる人がいます。こういう人は、だいたい良くない方向に話しを進めようという意図をもっています。
名乗らないと名乗らないことを口実に「株主に対して名乗らないとは何事だ。会社はそのように教育をしているのか」などと発展します。
まずは、会社として、名乗るかどうか方針を決めておきましょう。名乗らないと決めるなら何と答えるかも含めて決めておかないと、応対に詰まってしまいます。
普通は名前くらいは答えます。
すると、
君の所属と役職名を言いなさい
名前と同様に所属と役職名くらいは仕方ないでしょう。しかし、その後に「念のために電携帯の話番号を聞いておこうか」などと発展したら、明確に断りましょう。「そうしたことはお答えしないことになっております」
これらの質問は、一つにはプレッシャーを与えるのが目的のようです。そして、何かの折には「誰それがこう言った」と言えるように証拠を固めているのです。
お前じゃ話にならない
所属と役職名を答えると、「お前じゃ話にならない。責任者をだせ」となることがあります。
この場合は、事前に会社で決めてある役割分担で対応するしかありません。つまり、自分が対応することになっている部分であれば、簡単に上司に代わることはできません。「私が承ることになっています。お話を承りたいと思います」
今の株価はいくらだ
電話を掛けてくる株主は、ほとんどの人は株価を知っているはずです。それをいきなり聞くのは、揺さぶりをかけているのです。「知らない」というと鬼の首を取ったように騒ぎ立てます。株式担当者であれば、市場が動き始めた段階で一度はチェックしておきましょう。
なぜ株価が下がったのか
これが一番多い質問です。ときには、なぜ上がっているのか、という質問もあります。
株価というものは市場が決めることであって、会社がコントロールできるものではありませんから、基本的には答えることができない質問です。しかし「株価は市場で決まりますので」などだけでは納得してくれません。
担当者としては、決算開示やプレスリリースの内容の範囲で「そういう影響があるかもしれませんが、詳細はわかりかねます」などと抑えた説明をするしかありません。
赤字決算になったなどの明確な理由があるときで、開示後であれば「大変申し訳ないことに前期は赤字になってしまいました。これも影響していると思っております」という対応になります。
なお、丁寧に答えても、「大損をしてしまった!」と怒鳴りつけてくる人もいます。どうしようもないので「はあ、申し訳ありません」などと相槌で逃げ切るようにします。間違っても何らかの約束をしてはいけません。こういう人は、そのうち「おい、ちゃんと聞いてるのか!」と怒鳴り始めるので、大変厄介です。
君の個人的な見解はどうなのか
答えれる範囲で答えていると「そういうことは分かっている。君自身はどう思っているんだ。」と個人の見解を尋ねる人がいます。
わざわざ電話してくるのですから、生の情報が欲しいのでしょう。気持ちは分かります。
しかし、いくら個人の意見だと念を押しても、会社の担当者が発言すれば会社として発言したことになってしまいます。また、後から「こう言ったじゃないか。どう責任をとるんだ」などと責められるのは目に見えています。
答えてはいけません「個人的な意見は言ってはならないことになっています」
株主総会のお土産を送ってくれ
株主総会が終わってから、お土産が出たか、そのお土産は何だったかという電話がくることがあります。そういう問い合わせのあと、多くは「用事があって行けなかったから自宅に送ってくれ」と言います。
普通は送りません。わざわざ総会場所にお出でいただいた人に差し上げたものですから、来なかった人に差し上げる道理はないのです。しかし、送らないと言うと、怒りだします。
想定問答集をつくるべき
株主からの電話は、そんなに多くのパターンはありません。これまでの事例を振り返って基本になる想定問答集をつくり、何か聞かれそうなトピックスがあれば、都度追加していきましょう。
想定問答集があるかないかで担当者の気持ちに大きな違いが出ます。出たとこ勝負で対応していると、精神をやられてしまう人もいるようです。
電話対応を廃止することも選択肢
電話での株主対応は、ネチネチと責め立てられたり、罵倒されることもあり、仕事として生産的でないことが多いの事実です。
株主からの問い合わせはウェブサイトからに限定することも選択肢です。
また、IRのページのQ&Aを充実して、ほとんどの質問に対する答えを用意すれば、株主にとって電話をする必要性が減少することになります。また、電話があっても、Q&Aに沿って答えればよいので担当者も楽になります。