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安全衛生管理

ストレスチェックのあらまし

Last Updated on 2024年11月1日 by

ストレスチェックとは

ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、その結果により、自分のストレスがどのような状態にあるのかを把握し、必要に応じて医師による面接指導を受ける制度です。

また、事業者は、面接指導を実施した医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、医師の意見を衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会へ報告するなど適切な措置を講じなければなりません。

実施体制

実施義務がある事業場

労働安全衛生法第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。

一般にストレスチェックと言っていますが、法律上は「心理的な負担の程度を把握するための検査」です。

常時50人以上の労働者を使用する事業場に義務が課せられています。50人未満の事業場は当分の間努力義務です。

常時50名以上とは勤務時間や日数に関係なく、週1回程度のアルバイトやパート社員も含んで、継続雇用中である労働者をカウントします。

なお、定期健康診断の対象者と同様、正社員の4分の3時間以下のパート社員や休職している労働者には実施しなくても差し支えありません。

実施時期は、経年変化をチェックするためにも、毎年同じ月に実施することが推奨されています。

実施者

ストレスチェックの実施者は、ストレスチェックを実施し、その結果を踏まえ、面接指導の必要性を判断する者です。

産業保健や精神保健に関する知識を持つ医師、保健師、必要な研修を修了した看護師や精神保健福祉士、歯科医師と公認心理師となっています。

また、有資格者であっても、その職場において、理事長や施設長などの人事権者である場合は実施者にはなれません。

産業医や保健師等が社内にいない、またはいても対応できない場合には、外部機関にストレスチェックの実施を委託することもできますが、厚生労働省の指針では、外部に委託する場合にも、当該事業場の産業医が共同実施者となることが望ましいとしています。

実施事務従事者

実施者を補助するために、事業者は実施事務従事者を指名することができます。この場合、人事権を持たない衛生管理者や事務職員等から指名する必要があります。

実施事務従事者は、調査票の回収や実施者との連携などの事務作業を行います。また、守秘義務が課せられます。

実施手順

事前準備

実施前に以下の事項を準備します。

① 事業者による方針の表明
② 衛生委員会での調査審議
③ 労働者に説明・情報提供
④ 規程の作成

ストレスチェック|就業規則

ストレスチェック実施規程のサンプル

調査票の配布と回収

実施事務従事者は、調査票を対象労働者に配布し、記入した調査票を回収します。

厚生労働省が「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を無償配布しています。PCで利用できるアプリですが、紙の調査票で実施しCSV等へ入力したデータをインポートすることも可能になっています。

下のリンクは「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」ダウンロードサイトです。

検査結果を本人に通知

検査結果の扱いは次のようになります。

① 検査を実施した医師、保健師等から直接本人に通知されます。本人の同意なく事業者に提供することは禁止されています。
② 実施者は結果を事業者に通知することについて同意するか確認します
③ 同意がある場合は個別結果を事業者に通知します

労働安全衛生法第66条の10
2 事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行つた医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。

医師による面接指導を実施

検査の結果、一定の要件に該当する労働者(高ストレスであるという結果がでた者)から申出があった場合、事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません。

面接指導を申し出た(あるいは申し出ない)こと、面接結果の結果などを理由としてその労働者に対して不利益取り扱いをしてはいけません。

① 実施者は面接指導の申し出の勧奨を行います
② 事業者は労働者からの面接指導の申し出を受け付けます
③ 事業者から医師に面接指導の実施を依頼します
④ 医師による面接指導を実施します
⑤ 事業者は、面接指導の結果を記録します。
⑥ 事業者は医師から意見を聴きます
⑦ 事業者は必要に応じて就業上の措置を実施します

医師による面接指導は、対面での面接が原則ですが、実施者が表情やしぐさなどを確認できるといった一定の要件を満たせば、テレビ電話などの通信機器を用いた面接指導を行うことができます。長時間労働者への医師による面接指導と同様です。

関連記事:長時間労働者への医師による面接指導制度

集団分析を行う

実施者は、ストレスチェックの結果を職場ごとに集団的分析を行い、その結果を事業者に提供します。事業者は職場環境の改善のために活用します。

報告書を提出

労働基準監督署に検査結果等報告書(様式第六号の二)を提出します。

この報告は令和7年1月1日より電子申請による提出が義務づけられています。

関連記事:労働者死傷病報告の電子申請について


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