Last Updated on 2025年8月29日 by 勝
株式会社の取締役会は取締役と監査役の全員の同意があれば開催を省略して書面決議できますか。
はい、できます。ただし、いくつかの要件を満たす必要があります。
取締役会の書面決議の条件
はい、できます。ただし、いくつかの要件を満たす必要があります。
株式会社の取締役会は、取締役全員の同意があれば、実際に会議を開催することなく書面での決議を成立させることが可能です。これを書面決議またはみなし決議と呼びます。
一人でも反対すればできません。
会社法と定款の要件
この制度を利用するためには、会社法370条に基づき、定款にその旨の定めがあることが必須です。定款に「取締役の全員が取締役会の決議事項について書面または電磁的記録により同意した場合、当該決議があったものとみなす」といった条文を記載しておく必要があります。
第三百七十条(抜粋) 取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
要件を満たせば、当該提案を可決した旨の決議があったものとみなせることになります。
監査役設置会社の場合
監査役設置会社においては、上記の要件に加えて、監査役がその議案について異議を述べていないことも必要となります。取締役全員が同意しても、監査役が異議を述べた場合は書面決議は成立しません。監査役は、取締役の職務執行を監査する立場にあるため、そのチェック機能が確保されています。
業務執行状況の報告は例外
書面決議は、迅速な意思決定には便利ですが、全ての決議事項に適用できるわけではありません。
代表取締役および業務執行取締役は、3か月に 1 回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならず、この報告の省略は認められません(会社法372条2項、363条2項)。
つまり、書面決議の要件が整っていても、3か月に1回は実際にに取締役会を開催しなければなりません。
特別の事情があるときは開催が必要
会社法で3か月に1回以上の開催が義務付けられているのは、業務執行状況の報告です。しかし、会社の状況によっては、より頻繁な取締役会の開催が必要となる場合があります。以下にその例を挙げます。
- 株主総会で定められた事項: 定款や株主総会の決議で「毎月取締役会を開催する」と定められている場合。
- 重要な事業計画の進捗: 重要なプロジェクトの進捗状況など、迅速な監督が求められる案件がある場合。
- M&Aや事業提携: M&Aや事業提携といった重要な経営判断を伴う場合、書面決議だけだと慎重審議をつくしたことが証明できないおそれがあります。
- 不祥事や緊急事態: 会社の信用に関わるような問題が発生した場合、書面決議だけだと会社の問題意識に疑問符がつくおそれがあります。
これらのケースでは、多様な意見を交換し、リスクや影響を多角的に検討する必要があるため、取締役会を実際に開催して議論することが本来求められます。3か月に1回という法定の頻度では不十分であり、必要に応じて臨時の取締役会を開催することが求められます。