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事故・災害

従業員を災害地に派遣するときの留意点(災害派遣規程付き)

Last Updated on 2025年8月29日 by

災害派遣を制度化する

大規模災害が発生したときに、復旧作業についてのノウハウを持つ企業が、社会貢献活動の一環として、従業員を災害地に派遣するときの留意点を説明します。

従業員の安全確保と法的リスク

最も重要なのは、従業員の安全確保です。災害現場は危険が伴うため、安全管理を徹底する必要があります。

  • 安全管理マニュアルの作成: 作業の危険を想定した安全マニュアルを作成し、事前に従業員に周知・研修を行います。
  • 事前の健康診断・体調チェック: 派遣する従業員には事前に健康診断を受けさせ、当日の体調も確認します。
  • ボランティア保険への加入: 派遣中の事故や怪我に備え、必ずボランティア活動保険に加入します。一般的な業務災害保険だけではカバーしきれないケースがあるため、別途の保険に加入することを強く推奨します。
  • 危険手当の支給: 危険を伴う作業に対して、危険手当を支給することも検討しましょう。

派遣手続きと公的機関との連携

現地での活動をスムーズかつ安全に行うためには、公的機関との連携が不可欠です。

  • 派遣先との事前調整: 被災地の役所や社会福祉協議会、災害ボランティアセンター等と事前に連絡を取り、どのようなニーズがあるか、どのような形で受け入れてもらえるかを確認します。これにより、現地で「やることがない」といった事態を避けられます。
  • 協定の締結: 可能であれば、事前に自治体や災害ボランティアセンターと災害時の支援に関する協定を締結することをお勧めします。これにより、いざという時にスムーズな受け入れが可能となり、企業としての社会貢献活動が明確になります。
  • 派遣期間と人数の設定: 派遣できる従業員の保持資格等、派遣できる人数、派遣できる期間等について、派遣先に明確に伝えて調整します。無理のない範囲での活動計画を立てることが重要です。

従業員の待遇と社内制度

業務として派遣は通常の社内制度を適用させますが、災害派遣という特殊性があるので、プラスアルファの配慮が必要になります。

  • 賃金・手当: 派遣期間中の賃金は通常通り支払います。
  • 諸経費の負担: 宿泊費、交通費、日当などは、出張規程に基づいて会社が負担します。出張規程では負担できない経費については、別途定める必要があります。
  • 活動報告の義務付け: 派遣から戻った従業員には、活動内容や得られた経験などを報告させ、社内で共有する機会を設けます。
  • 社内規定の整備: 「災害支援活動に関する規程」のような形で、目的、対象者、派遣手続き、待遇などを明文化します。これにより、制度の透明性が高まり、従業員が安心して利用できるようになります。

これらの点を踏まえ、貴社の実情に合った制度を構築されることをお勧めします。特に、安全管理と公的機関との連携は、円滑な活動に欠かせない要素です。

災害支援活動に関する規程(サンプル)

第1条(目的)
本規程は、当社が有する人材と技術を活用し、災害発生時における被災地の復旧・復興活動を支援するため、従業員を被災地へ派遣する制度を定める。

第2条(対象者)
派遣の対象となる者は、電気工事士、車両系建設機械運転技能講習終了、その他の災害地で必要とされる専門資格を有し、会社が派遣の必要を認めた従業員とする。

第3条(派遣先及び要請)
派遣先は、地方自治体、地元社会福祉協議会が設置する災害ボランティアセンター、またはこれに準ずる公的団体とする。
2 災害派遣については、会社が前項の団体と調整し、当該団体からの要請に基づき、会社が承認した場合に派遣する。

第4条(派遣期間)
派遣期間は、原則として数日間とし、会社がその都度事前に定める。派遣の延長が必要となる場合は、その都度、派遣従業員の意見を聴いたうえで会社が決定する。

第5条(勤務扱い)
派遣期間中は会社の業務として取り扱い、通常の勤務と同様に賃金を支給する。
2 派遣期間が属する月については、派遣日数にかかわらず、賃金規程に定める危険手当を支給する。
3 労働時間の算定は、通常の勤務時間を労働したものとみなすが、通常の勤務時間を超えて作業に従事した場合は、派遣従業員の申告に基づいて時間外割増賃金等を支給する。

第6条(旅費・経費)
派遣に要する旅費及び宿泊費は、当社旅費規程を適用する。
2 活動に必要な装備及び消耗品等については、会社が必要と認めた範囲で支給または経費負担する。

第7条(保険加入)
万一事故等が発生したときは、業務中の災害として労災保険の手続きを支援する。また、派遣に際して会社が保険料を負担してボランティア保険に加入する。

第8条(安全管理)
派遣従業員は、派遣先の指示に従い、安全の確保に十分留意して活動しなければならない。
2 事故または負傷が発生した場合は、直ちに派遣先及び会社に報告し、必要な措置を講じなければならない。

第9条(報告義務)
派遣終了後、派遣従業員は活動内容を報告書にまとめ、所属長を経て会社に提出しなければならない。派遣中であっても会社が求めた事項については速やかに報告しなければならない。


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